46番目

《版元さんは情報源》

 出版社には必ず編集者の他に営業マンがいる。 本は作って取次店に渡すだけでは売れないからだ。 書店を巡回している 「版元さん」 は、 自社商品の売り込み宣伝、 常備品や新刊の欠本調査、 雑談(?)を主な仕事としている。 そして自社の商品を売るためには、 その商品に関連する他社の商品が売れなければ自社の本も売れない、 というこの業界独特の特徴を知っているので、 他社出版情報にめっぽう詳しい人が多い。 また書店を多く巡回しているので書店の棚 (商品構成) にもうるさい人がいる。 自社商品を書店に売ってもらうためには、 書店の棚担当者と棚づくりの共同作業をすることが最も近道であることも知っている。
 だから棚づくりや商品についてわからぬことがあれば版元に聞けばよい。 だが欠点もある。 自社出版ジャンル以外の情報にはきわめて疎い。 なんでも知っているような顔をしていても基本的な商品知識については、 あたりまえだが 、書店さんの方が詳しい。 それでも版元さんから得るところは多いはずだ。

 「売れた」 「売れなかった」 ということですべてが終わってしまってはダメ。 どうして売れているのか、 なぜ売れないのか、 その原因は版元さんが一番よく知っている。 この次ぎの販売の手掛かりとなるこの情報だけは決して聞き逃してはいけない。 売れた原因は比較的わかりやすいのだけど、 売れなかった理由というのはなかなか把握できないものだ。 また、 商品情報だけでなく、 他店の売れ行き情報なんかも、 うまくいけば聞き出せるかもしれない。 版元にはいろんなことを根掘り葉掘り聞くのが正解。

 でもね、 売れなかったのに 「他ではうれてますよ」 というような嘘つき営業マンとはお付き合いしないように。

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