50番目

《POSに嫌われた本の行方》

 POSによる在庫管理と商品管理については結構たいへんだな、 と思う反面、 売れ筋と死に筋の判断には、 これは便利だと思う。 期間を決めてコンピュータにある回転以上の商品を抽出せよと命令すれば答えはすぐにでる。 店の全商品の回転数などとても調べきれない。 これは人間では出来ない相談だ。 また1年間一度も買って貰えなかった不良な商品はどれと聞くと、 コンピュータはハイハイといって答えてくれる。 売れないものは棚にあってもしょうがない 、返品である。 返品された本はその店で売れないというレッテルを貼った本だからそれ以降棚には復活しない。 残念だけど本当に復活しない。 それがPOS管理というものである。 これを認めるとPOSの意味がなくなる。 あくまでもデータによる管理を徹底することがPOSがPOSある理由である。 もしかしてもうちょっと置いとけば売れるんじゃないかなぁ、 なんていうことや、 この本好きだしというような人間的な感情の世界はPOSにはない。 売れないものは売れないのだ。 データが0回転を示しているのだ。 このデータこそが絶対なのだ。 出版社は 「そんなこと言わずに置いてくれない?」 と土下座して頼むだろうが、 一切認められない。 例えば常備の場合、 データ0回転で切り捨てたのに、 常備入れ換えでまた入って来てしまった、 ということになる。 POS管理はデータ管理だからこのようなことがあってはならない。 だから書店は常備を選択とするか、 常備を拒否する以外に選択肢はないのだ。 というわけで売れないという判を押された本は、 未来永劫その書店の店頭には並ばない。
 と断言したいのだけど本当そうなんだろうか。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ