51番目

《ロボット書店》

 Aという本が、 いままさに棚からぬかれ、 お客がレジに運んだ。 レジにはバーコードの読み取り装置があり、 その上に本を置くと支払い金額が表示される。お客は自動販売機のような装置にカードを差し込むと決済され、 ゲートが開きお客は店を出て行く。 バーコードで読まれた買い上げ情報は即座に取次店に流れ、 売れた本の補充出荷がなされ、 翌日には書店に到着する。 Aという本は展示場所が決められているので、 補充用ロボットのアームにAという本を置くと、 ロボットはバーコードを読み取り、 展示されるべき棚まで行き、 棚に収めてくる。
 また一定期間が過ぎると、 売れ行きの悪い商品についてコンピュータがデータをはじきだしてくる。 Bと言う本は一年間まったく売れていないとか、 Cと言う本は新刊でもうすぐ委託期限が切れるうえに1冊しか売れていないとかいうデータである。 削除データを 「書店員」 がインプットすると、 ロボットはその棚まで行き、 在庫を抜いて来る。 削除データを元に返品作業が行われ、 取次店に返っていく。
 これはすでに実験的に行われている書店の未来像である。 ただし補充用ロボットの開発はまだまだ先の話だから、 この部分は 「書店員」 がすることになっている。

 書店現場の機械化は目を見張るものがある。 それによって確実なデータと省力化を手にしたと言えるが、 データを使い切るスペシャリストを養成することが急務になったとも言える。 これからの書店はデータを使いこなすスペシャリスト3人ほどと、 補充用ロボットさえあれば経営できると思うけど、 いつそうなるのかは私には解らない。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ