52番目

《売上カードとPOS》

 店によって仕組みは違うと思うが、 その日の売上、 つまり何が売れたかを認識するために、 売上カードを利用しているところが多いのではないだろうか。 担当者はそれを見ながら仕入れを考えたり、 売れ行きの動向を観察している筈である。 ベテランになると500冊ほどの売上カードから、 補充すべき商品、 常備カードあるいは自主カードの回転で間に合う商品、 その品に入荷した新刊ですぐに動きのあったもの、 平台の商品で追加すべきもの追加すると過剰になる商品などなどを10分もあれば判断できるものである。 これを機械にやらせるのがPOSシステムである。 機械は10分もかからない。 500のデータであれば瞬きする間に判断できる。 しかも発注を自動でこなすことが出来るのである。売れると判断した瞬間には注文が完了しているのだ。 ベテランでもこれは出来ない。 また人は学習し経験するために多くの時間を要するが、 組み上げられたシステムはその日からフル稼働できる。

 機械って奴は、 とても悲しい奴で、 人間なら学習や経験によっていろいろな場面でいろんな判断ができるのだけど、 教えてもらっていないことは無視しかできないのだ。 「そんなこともわからんのか」 とコンピュータに向かって咬みついている人がいるけど、 判断する材料を入力しておかないと動かないのがコンピュータだ。 だからコンピュータを正常に動かすためには、 人は多くの学習と経験を積み、 それを基に、 メンテナンスしていくことが、 とても大切な作業となる。 でも人が学習し経験を積むには時間がかかるものだ。 とするならば、キャリア (人が経験する時間) を短縮するために機械化したのにやっぱり、 キャリアが必要となると、 これはおかしい。 やっぱりおかしい。 どう考えても理屈が頭の中でグルグルと回ってしまう。

 実は私には売上カードを一枚一枚人が見ているのと、 POSが見るのとどこがどう違うのがかわからないのだけど、 どなたか解るように説明してください。

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