58番目

《POSと売上効率》

 コンビニやスーパーで、 商品管理システムとして発達したPOSシステムが書店に導入されて久しい。 すでに多くの書店が実績を上げているので、 ここでそのことについてとやかく言うつもりはないが、 取り扱い数 (管理アイテム数) を絞り込む勇気がなければ、 POSは書店で使いこなすのは無理、 と言い切ってしまいたい。 また、 POSを管理の道具として使いこなすだけの商品知識を持っている人がいなければ、 POSが出力するデータは単なる数字のオバケにしかすぎないということも言っておきたい。

 POSは商品を管理するのではなく、 商品の動きを数字として管理しているに過ぎないからだ。 同じ1回転の商品でも次の2回転目を予測するのは人間なのだ。 半年陳列して全く売れなかった本をPOSに命令して仕入れをストップする、 または返品するということを判断するのは書店人である。 もしこれを機械的に処理したとすれば、 棚の3分の2の本が消えるだろう。 効率販売という意味では売り場を3分の1にして人も減らせばいい。 実に売上効率の良い書店が誕生する。 そしてしばらくしてPOSに先程の方程式 「半年で全く売れなかった本の返品と仕入れストップ」 を命令する。 結果さらに効率の良い書店が誕生する?

 数字で管理すると言うことは、 極端かもしれないが上記のようなことである。 これが出来るのは限られた書店である。 少なくともアイテムの種類と数を絞り込める書店である。 そしてこのアイテムの種類と数を決めるのはPOSではなく人間であることは当然である。
 怒涛のごとく押し寄せる新刊をコントロールし、 刻々と変化する読者ニーズに合わせてアイテムの種類と数を管理するより、 もしかすると、 とりあえず何でも置いておくほうが効率がよかったりするかもしれない。

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