71番目

《平台のヴォリューム》

 書店の平台というのは、 「この本は売れている本だから買ってね」 という意味や、 「この本は当店お薦めの1冊だからチョット手に取って見てね」、 という意味があるということは以前に書いた。 だから書店の平台はその書店の顔であるとも言える。 そういうものだからやはり堂々としたものでなくてはならない。

 よく見掛けるのだが、 平台の積み上げ数が少ない書店がある。 2冊くらいの本を積んでいるところがあるけど、 これはやめたほうがいい。 貧相である。 なんとなくケチ臭い。経済的事情でそうしているのかもしれないが、 せっかくこれは 「売りだ」 という商品がたった2冊しかないのであれば、 読者に売りたい気持ちが伝わらない。 やはり平積みはドーンと本が積み上がっていなければ意味がない。 かといって、 やたら高くする必要はないけれど、 最低20センチくらいの高さは欲しいものである。 冊数にして7冊か10冊くらいかな。 これくらいあれば書店の顔として誇らしげだ。 また平均的に均された平台があるけど 、均一の高さになっているのも、 どうも売れていないようで惨めだ。 さらに1カ所だけへこんでいて、 その本が取りにくいというのも親切でない。
 平台のテクニックは、 売りたい、または売れているものを目立つようにヴォリュームたっぷりに、 そしてその他は多少の段差をつけてメリハリをつけるのがよいと思う。 くれぐれも2冊ほど積んだ本が均一に並んだ平台を作らないように。 これならば1冊の棚差しのほうがよっぽど経済的でよろしい。2冊を売るための書店の気持ちなんて、読者はすぐに見破ってしまうから。

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