「巻数もの」 ってやつは、 1巻が一番よく売れ、 巻を重ねる毎に売れ行きが悪くなるってことは、 経験上知っていると思う。 1巻目を読んだけど面白くなかったとか、 3巻、 4巻と読んできたけど息切れしたとかいうことだ。 ところが、この1巻ってやつは、 その本を読むために誰でも買うものだ。 5巻は持っているけど 1巻は持っていない、 というような人はいないと思う。 「巻数もの」 は、 全10巻なら 10冊で 1冊の意味だ。 最初の 50頁が落丁している本は誰も買わない、 ということだ。
そこで、 売れ行きの良い 「巻数もの」 の在庫の仕方は、 1巻を 2巻目以降の 3倍在庫することだ。 全点各 1冊の在庫なら 1巻だけは 3冊必要ということだ。 なんとしても 1巻が店頭から消える日を作ってはならない。 これは上下巻の場合でも事情は同じだ。
読みたいと思って訪れた書店に、 1巻がないことの不幸は、 まったく置いていなかった時よりも大きい。 1巻目を読んだ後に、 2巻目がなかったことの不幸のほうがましだ。