77番目

《探すのが楽ってこと/シリーズもの》

 ○○選書とか、 ○○叢書とか、 ○○新書とかいうものは、 たいてい番号がついていて、 その順番に並んでいることが多い。 そして棚には目録が置いてある。 欲しい本を目録の索引で調べれば番号が載っていて、 その番号を目で追っていけば 「あった」 という仕組みである。 なかなか便利じゃん。 それから、 仕入れた本を棚に入れるときも番号順に並べてけばOK。 こりゃ一石二鳥ってわけだ。 でもこれって読者にとって、 図書館で索引カードを調べて本を探すような気分で、 なんとなくしっくりしない。 それに欲しい本にはたどり着いたけど、 そのシリーズ内で類書を探すとなると、 やっぱり棚の端から端までを見なくてはならないし、 書名がわかっていれば目録の索引も効果的だけど、 曖昧な時は何の役にも立たない。 やっぱし棚の端から端まで見なくてはならない。 ということは番号順に並んでいることのメリットは、 読者にではなく、 書店にあるのではないかと思ってしまう。 そうなると、 その棚は読者を無視して書店人が一覧表を見ながら欠本調査をする時と、 棚の補充をするときの利便性のために存在していることになるのではないか、 あれは読者不在の棚だ、 とヘソを曲げたくなる。 探すのが楽ってことと、 展示して売るということは別。

 で僕が言いたいのは、 番号順であることの便利さにドップリ浸かっていけないということだ。 番号順であることが当たり前だと思ってはいけないということだ。 たまにはそのシリーズの中から自分で面白そうだと思うを本テーマを設けて、 何点かピックアップして別のところで展示したり、 フルカバーにしたりして変化と読者へのアピールを試みて見ることだ。 シリーズものでも分野別に仕分けると新しい発見があったりする。
 「シリーズもの」 は 「巻数もの」ではありません。 1冊1冊が個性をもった商品なのです。 くれぐれもお忘れなく。

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