78番目
《あのー、すいません》
「 あのー、すいません。 ○○という本を探しているのですが。 」 と棚の整理をしている書店員に話し掛けると、 本の整理をしながら 「奥の3番目の棚の上から4段目です。 」 とすごい商品知識を披露してくれた。 スタスタと棚まで行くと、 目的の本があった。 これはこれですごく感謝したのだけど、 なんとなく不快感が残った。 それは本の場所を教えてくれた書店員が、 手を止めずに話をしたこともそうだけど 、僕のほうを向かずに、 目は棚のほうに向けられていたからだ。 とても忙しいから仕方ない、 とは僕は思わない。 話かけられたら相手の顔を見る。 これはコミュニケーションの基本だ。 厭な奴の顔を見ないのはコミュニケーションしたくないからだ。 だとすれば相手の顔も見ずに売り場の案内をするということは、 相手が僕を厭がっていると思って間違いない。 僕ってそんなに厭な奴ではないのだけど。
最近、 気のせいかお互いの顔を見ずに話をしている人が多いように思う。 それから顔は見ているのだけど目をそらしている人も見掛ける。 それが積極的な人との触れ合いを拒否する時代の雰囲気だ、 ということなのかもしれないけど、 話し掛けたときそれを無視したように振る舞うことの不快感は、 時代とは別問題であると思う。
でこの間、 エッチ関連図書を書店で買ったら、 レジの担当者にジロジロと顔をみられた。 「 あのー、すいません。はずかしいです。 」。 店頭では、お客から話しかけれない場合は、 ジロジロみてはいけません。 でも話しかけられたら、 しっかりと相手の目を見て応対しましょうね。
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