88番目

《店長に聞いてください》

 最近では 100 坪前後の店だと社員は 2 人 、他はパートやバイトというのが常識化しつつある。 パートやアルバイトはあくまでも業務の補助であり、 商品や棚について深くかかわることなく次々と入れ代わる。 レジをまかされたアルバイトの人は、 お客さんが運んで来る本の値段をキー入力してお金を受け取る業務をこなすことを店からは期待されるが、 それ以外のことまで要求されることはない。 商品知識だとか商品管理だとかややこしいことは社員の仕事である。 また専任の棚担当者がいる書店は多くはない。 多くの書店では、 棚に補充するのはアルバイトやパートの人で、 商品管理は責任者がやっていたり、 担当社員がいても商品管理はまかされていない場合もある。 ( 商品を直接触らない人が、 膨大な量の商品をコントロールしているなんて僕には信じられない。 ) そして商品について責任を持たされていない人は、 何が売れて何が売れないのかなんて、 まるで意識にない。 そりゃそうだよね、 どんな仕事でも責任のない仕事なんてやる気がしないもの。 で、 ぼくは、こうした書店の人に出会ったときいつもこんなことを言っている。
  「一日の仕事は、 面白くても8時間、 面白くなくても8時間。 何かの理由で書店で働こうと思ったのだから、 書店で働く8時間が楽しい方がいいに決まっている。 書店の仕事が嫌なら辞めたらいいし、 そうでないなら本のことをたくさん知るようにしたほうがいい。 一日は退屈でないほうがいい 」 と。

 なんでもかんでも 「わかりません。 店長に聞いて下さい」 と言わなくてもいいようになったとき、 あなたは仕事は面白さを見付けたことになる。
 それからこの場を借りて、 社員やアルバイトやパートを使う立場の人にお願いします。 《本を売るという仕事の楽しみ》 をぜひとも部下の人に教えてあげて下さい。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ