102番目

《善人ばかりじゃないからね》

 この世が善人ばかりだと、 こんなにうれしいことはないのだけど、 やっぱし悪人はいるのです。 ほんの一握りの悪人のために善人がどれだけ迷惑しているかは、 みんな実感している事でしょう。
 さてさて、 書店における悪人の代表選手は 「万引き」 です。 大きな書店に行くと私服の警備員が配置されていて、 それだけ万引きというのは多いということでしょう。 万引きの被害で悲しいのは、 売上をねこそぎ持っていかれることではないでしょうか。 1000円の本だと仕入値はだいたい800円、 1000円の本を万引きされると4冊分の利益を持っていかれる計算になる。 1冊1冊丹念に売る努力をしているのにバカな奴のために、 4冊分の努力がパーになるのです。 悪人がこの世にいる限り、 やはり万引きはなくならないのです。 これは自衛するしかありません。

 棚の配置で死角が出来て、 そこが万引きの巣になるというのはよくある話です。 コーナーに鏡やら監視カメラを設置している書店があるけれど 、どれだけの効果があるのかはわかりません。 万引きは捕まえる努力をするよりもさせない努力をするほうが効果があるようです。
 例えば、 周囲のことには目もくれず一生懸命棚の整理をするのもいいけれど、 どんな人がどんな本を選んでいるのかチョット見てみたり、 店の中を長時間ウロウロしている人には、 何かお探しですか、 と声をかけたり、 レジがヒマだからといって楽しいオシャベリに夢中になったりしないで、 ちゃんと正面を向いているとかすることで、 見られることが嫌いな万引きに警報を発することができるのです。 つまりお客さんに無関心にならないで、 自分の店のお客さんに対して興味を持って接することが、 店のお客さんを理解することと、 万引き防止に役立つというわけです。

 でも悪い人は、 ほんのほんの一握りの人です。 すべての人を疑って見てはいけません。あなたの目付きが悪くなりますから。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ