103番目

《退屈な仕事》

 書店の仕事で一番退屈な仕事は、 「検品」 ではないだろうか。

 仕入れ伝票が間違っていることは、 そう多くあるはずがない。 多かったら大問題である。 合ってて当たり前の伝票に間違いがあることを探すのが 「検品」 である。 冊数、 本体価格を照合していく作業は、 その量が多くなればなるほどイヤになってくる。 伝票が間違いだらけだとやる気も起きるのだけど、 全部合っていたら、 なんだよ別に検品なんてしなくてもよかったじゃないか、 と思ってしまう。 これが何日も続くと、 検品せずにポーンとハンコをついてしまう。 してもしなくても同じだから。
 あなたの店はどうしています、 この検品。 していないというところは、 ないでしょうが、 結構いいかげんなところはあるのではないでしょうか。 以前は手書き伝票が主流だったので結構記入ミスはあったのだけれど、 最近は機械が管理しているので記入ミスは多くないと思うけど、 コンピュータならではのミス、 いわゆる登録ミスによる間違いがあるのではないかと思う。 この間違い探し一生懸命やってますか。

 「伝票は金だ」 ということは、 商売人が何をおいても記憶しておかねばならないことだから、 社長や店長に、 耳が痛くなるくらい聞かされてイヤになっているだろうから、 しつこく言わないけど、 あなたがどこかのお店に行って買い物をするとき、 ものの値段と支払った額、 そしてつり銭なんかをきちっと見ていると思うけど、 検品というのは、 それと同じこと。 ただ現金じゃなく伝票を使っているところが違うだけだ。 1000円のものを買ったら2000円ですと言われたらムカッとするでしょう。 それはあなたが、 きちんと買ったものを検品しているからわかったことで、 値段も見ずに買ったらたとえ2000円と言われても2000円を支払ったはずです。 まぁ 「検品」 というのは、 お店が損をしないために必ずしなくてはならない重要な仕事なのです。 退屈だけど。

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