104番目

《本の取り寄せ、1ヶ月》

 この間、 ある書店をのぞいたら、 レジカウンターの上に巨大な文字で 「本のお取り寄せは、 1カ月かかります」 と書いてあった。 さらに 「1カ月」 という文字は赤だった。
 この業界の事情に詳しい人だったら、 さほど驚かないけど、 一般の人から見たらこの 「1カ月」 という文字に、 注文を出すことをためらうに違いない。 もしかするとこの書店では、 トラブルの原因になりがちな客注を受け付けません、 ということなのかもれないのだけど。

 この間も書店さんを訪問していて、 この客注の取り寄せにかかる時間が話題になった。 「やっぱり危なくて、 1週間で入荷します、 なんて言えない」 ということだった。 だから 「2〜3週間かかります」 と言っているそうだ。 それならそう言ったお客の本が3日で入荷したらどうするのか、 まさか2週間ほど店に眠らせているわけじゃないだろう、 と尋ねると、 この場合は 「お客さんのために特別に手配して大至急入手しました」 という言い方をになるらしい。 うーむ、なかなかやるね。

 僕は、 本という商品のすべてが、 発注してから入手するまでの日にちをカウントできるようになるとは思わない。 でも特定の商品について、 それが出来るようになる日は近いような気がする。 でも結局で出来るものと出来ないものが存在する以上、 今のように 「2〜3週間かかります」 というような案内がなくならない。 とするならば、 コンピュータでも電話でもFAXでもいろんな道具を使って、 お店の出来る最大限の方法で注文することをお客に分かって貰うことだ。 出来るなら、 お客さんの目の前で出版社に電話すればいい。 お客さんの目の前でキーボードをたたいて発注するのを見せればいい。 ちょっとしたパフォーマンスがお客さんの信頼を得ることだってある。
 でもやっぱりじゃまくさいし、 出版流通が信頼できないから 「2〜3週間かかります」と言い続けますか。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ