106番目

《釣りと書店》

 バス釣りを始めてから、 専門誌を読むようになった。 それを読んでいて思ったことがある。 本を売るということ釣りは似ていると。

 「 バスを釣るためにはバスのいるところへ行かなくてはなりません。」 当たり前過ぎておもしろくもなんともないのだけど、 そのとおりである。 これは書店では立地のことだ。
 「 その日にコンディション、 場所によってルアーを選択しなければなりません。」 そうなのです。 間違ったルアーを選択すると、 バスがたくさんいても釣れません。 これは品揃えのことだ。 店にたくさんのお客さんが来てくれても、 そのお客さんの満足が得られないと本は売れません。
 「 同じルアーを使い続けてもヒットしない時は、 ルアーをチェンジしましょう。」 どんなに素晴らしいルアーでも釣れないものは釣れないのだ。 これは商品構成のこと。 自己満足的な商品構成はなんの意味もないということだ。
 「 水の中にルアーを投げ込めば、バスが釣れるというものではありません。」バスが興味をひくように、ルアーに動きを与えなければならないのだ。 これはブックフェアー、 とかPOPとか、 これは何かなと思わせる仕掛けが書店にも必要ということ。 漫然と本を売っていてはお客は寄り付かないということ。
 「 バスは針はずしの名人です。 バスがヒットしたら竿を立てて糸が緩めず一気にランデングしましょう。」 これは売れた売れたと喜んでばかりいないで、 その売りが次ぎの売りにつながるよう気を配りましょう、 ということ。

 ちなみに、 僕は一匹も釣れない日が多くて、 これじゃあ立派な書店人にはなれそうにもありません。

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