109番目

《メガストアーの行方》

 書店だけでなく、 CDなんかもそうだし、 最近の百貨店もそうだけど、 なんでこんなに大きいのだろうと思うような物販店が増えている。 もともとショッピングに時間をかけない僕としては、 目的のものにたどり着くまでに時間を要するこういう店は基本的に苦手である。 だけど10坪の店と1000坪の店では、 期待度やら実際の品揃えに歴然とした差があるのは事実である。
 さて、 本を売るということの難しさ、 そして大切さは商品のフォローということである。 売れ筋を切らさない、 将来を予測した品揃え、 店の定番の発見や開拓、 商品をアピールする企画、 そんなことだと思う。 今売れている書店はそうしたことに長けている。 そしてメガストアーのことだけど、 これらをコンピュータがフォローすることになっているらしいが、 本当にできるのだろうか。 実際のところ出来の悪い書店よりまし、 という程度ではないのだろうか。 開店時には立派な品揃えだったけど1年たち2年たった時、 そのクォリティは保たれているのだろうか。
 スーパーでは少数の有能なバイヤーが、 すべてを仕切っていると言ってもいい。 バイヤーが仕入れるものを確実に販売して行けば売上が確保できる仕組みだ。 今書店もスーパーのような方式になりつつある。 巨大書店を仕切っているのは数人の有能な人たちである。 大量販売のスーパーでは可能かもしれないが、 多品種を扱う書店で数人によって商品が本当にコントロールできるのだろうか。 たとえコンピュータの力を借りたとしても。

 ある書店でこんな話を聞いた。
「この間、 実用書の担当者を変えたら、 あいつ売上を50%も伸ばしたよ。 やっぱし人だよね。 」
 僕は分かっているつもりです。 できれば多くの人を投入したい。 でもそのコストを回収できるだけの売上が望めないということは。 でも、 でも、 でもなんです。 マズイと思いつつやっていることは、 良い結果なんて生まないと思うのです。

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