114番目
《まぶしい書店》
随分昔では、 書店では店舗の照明なんてあまり気にしていなかったから、 書店というのは暗いというイメージだった。 最近の若い人にはわからないかもしれないけどほんと暗かったのだ。 暗い書店の奥に眼鏡を掛けた店主がいて、 万引きや立ち読みを見張ってるというのが書店のイメージだった。 でも最近では、 書店のみならず殆どの店舗で照明は照度を計算され、 明るすぎず暗すぎず、 適度に明るさが保たれている。 照度が計算されているということは、 逆にどこの店でも同じような明るさだということである。 だからちょっと照度を落とした書店に入ると、 独特の雰囲気を感じることがある。
僕は照明の専門家ではないから、 照明についての専門知識はないけど、 住宅にしろ店舗にしろ、 目に直接光源が入るのは心理的に良くない、 ということは知っている。 ランプのシェードは、 光を拡散させないためでもあるけど、 直接光源が目に入らないという効果もあるのである。 このへんは専門家がチャンと設計しているから、 普通は気にしないところなのだけど、 あるのです、 光源がギラギラと目に入る書店が。
普通は店舗に入ると、 商品がすぐに目に入るもので、 明かりが目に飛び込んで来るなんてことはめったにないことなのだけど、 その書店では、 真っ先に目に入るのは天井の蛍光灯の光なのだ。 天井にビッシリと並んだ蛍光灯は商品を明るく照らし出して、 それはそれでビックリするほど明るくはないのだけど、 剥き出しの蛍光灯から発する光は、 ちょっと目が眩む思いがする。 些細なことなのだけど、 お客の気を散らすような照明は、 やっぱり改善すべきだと思う。
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