昨年は、 大型書店の相次ぐ出店ラッシュが大変な話題となりましたが、 今年はそれらの書店の動向が楽しみな年です。 また、 それらの多くがPOSを導入していることから、 その真価が試される時でもあります。 さらに、 再販の問題もくすぶったままだし、 出版VANの今後の展開や、 激化する取次間の競争、 それからなんといっても消費税にからむ本体取り引きの開始など、 今年もほんとに大変な1年になりそうな気配です。
さて、 『売れる書店はこうだ』の連載も2ヶ月を経過し、 Eメールで、 雑誌販売に携わる大阪Sさんや、 神田村のOさん、 それから出版社のSさん、滋賀県の書店のIさんなどからご意見、 感想もいただきました。 この場を借りてお礼申しあげます。 これからもがんばります。
大阪のSさんから電子取引についてご意見があり、 それにお応えするものかどうかはわかりませんが、 書店での書籍の販売ついて私の考え方を少し書いておきます。
例えば、こうしてインターネットを通じて、 いろいろと私の独り言を掲載しているわけですが、 多くの人の前で同じことをしゃべるのと、 インターネットを通じてしゃべるのとは、 リアリティという意味では、 まったく違うと考えています。 つまり仮想市場での物販と現実世界での物販では、 その方法が違うと思うのです。 そういうことで、 現物の本を読者に見せて売るという行為は、 コンピュータのディスプレイ上で商売することとはまったく異次元のものである、 と考えています。 このことと、 EC(エレクトリックコマース)による電子伝票や電子決済など、 取引の電子化は別の問題です。
流通のシステム管理が進めば、 システム上にないものは商品ではなく、 システム上にあるものだけが商品であるということになるのだろう(?)けど、 それはそれでよし、 ということにしたいと思ってます。 だってそれで商売ができるのに、 それに文句を言ってもしょうがないから。 だけども、 それだけが商売である、 というふうなことになると、 つらいなぁと思うのです。 本を買うという楽しみは、 商品の多様性とそれを販売する書店の個性を楽しむことでもあるのですから。 コンビニで本を買うということと、 書店で本を買うということに違いがなくならないよう出版社には出版物の、 書店には商品構成の個性化をぜひともお願いしたいものです。
さて1997年がスタートしました。 「売れる書店はこうだ」を続けます。