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エッセイ集
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暇 つ ぶ し
吉 田 大 治

 昨年秋のことであるが、あまりにも暇をもてあましたため、パソコンプログラムの開発に挑戦してみることにした。と言うのもウィンドウズ上でのソフト開発はとても難しくて、我々のような素人では立ち入る隙が無かったのであるが、最近になって色々とビジュアルな開発環境が作り出され、漸く我々でもパソコンの醍醐味を味わうことができるようになったからである。そこで大枚をはたいて『デルファイ』というコンパイラを買い求めた。
 それより以前、もう十年以上も前のことであるが、ベーシックを使ったプログラミングを遊び程度にかじったことがあるが、その頃のことを思えば、コンピューターも周辺機器もずいぶん進化したもので、昔と較べ格段に良い仕事をさせることができる。音楽制作でも出版印刷でも、何でもデスクトップ上でできてしまう。だからプログラミングして得られる成果も楽しみも昔より大きい。
 かくして暇にかこつけて作った最初のプログラム作品が『中陰表』である。これはお坊さん用で、葬式の後の初七日から満中陰、百箇日までの日付を自動的に計算表示して、しかも綺麗な表として印刷するプログラムである。二作目は『中陰表』で開発した日付計算処理の部分をそのまま流用して作った『暦電カルク』というもので、二つの日付間の経過日数を求めたり、逆にある日付からある日数前や日数経過後の日付を算出するプログラムで、おまけの機能としてその日の曜日や干支、ユリウス日などを計算してくれる。『中陰表』はライセンス料五百円のシェアウェアとして、いっぽうの『暦電カルク』は無料のフリーソフトとして公開している。
 両者とも規模は極めてちっぽけなアプリケーションであるが、私のホームページやベクターのソフトウェアライブラリで公開しているとそれなりの反響があったようで、今年になってコンピューター雑誌などから収録の申し入れが来るようになった。掲載されるメリットは、掲載号の雑誌が無料で送られて来ることと、あとはソフトの知名度が少々アップすることぐらいであるが、素人の遊びとしてはスゴイ成果だと思っている。
 そして掲載された雑誌が送られて来て、それをしげしげと眺めていると、今度は生意気にも改良を加えてもっとすぐれたソフトにバージョンアップをしてやろうと企んだり、他の人が似たようなソフトを作っているとメラメラとライバル意識が燃え上がってきたりして、ついつい深みにはまってしまいそうである。もうこうなると素人の遊びでは済まされない。しかしプログラムをするとなると、それなりの時間をそれに没頭するハメとなり、もう根気が続きそうにもない。果たしていつアップデートできますことやら。
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(1998年「文芸随筆」第36号に掲載)


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