大型一種免許


はじめに
大型車の基礎知識を最初に述べておこう。街中を走っている2tトラックや4tトラックは実は普通免許で運転できることは、意外に知らない方が多い。大型免許が必要となるのは、実は最大積載量についていえば、5t以上の車なのである。大型免許が必要な車両の定義は、車両総重量8t以上、最大積載量5t以上、乗車定員11人以上のいずれかに該当するものなのである。注意すべきことは大型の定義に、車両のサイズや排気量が関係していない点である。もちろん、車両一般制限という規制によって上限は、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8mという基準内に収まらなければ、許可なく公道を走行することはできないが、この範囲ぎりぎりの普通トラック(普通免許て運転することのできるトラック)も存在するのである。
大きなトラックが「普通トラック」なのか「大型トラック」なのかを見分けるポイントは、次の3つある。

(1) 車側表示灯の存在:屋根についている緑色の三つのランプ。道路運送車両の保安基準に基づいて速度によって3段階に点灯する黄緑色のランプ3つ。(平成11年に義務化が廃止されたので、最近は大型でも表示灯が黄緑色ではなかったり、そもそも表示灯のない車両も散見される。)
(2) ナンバープレートの大きさ:普通トラックは乗用車と同じ16.5×33cmサイズであるのに対して、大型車はこの4/3倍の22×44cmある。
(3) 最大積載量をみる:貨物車(1ナンバーや4ナンバーの貨物車は車両後方に最大積載量の表示が義務化されている。後ろに回って、この積載量をみて5,000kg(5t)以上か否かを確認する。

大型一種は乗用、貨物ともに運転できるが乗用の場合は料理屋や旅館の送迎など運賃を受け取らない自動車の運転に限られる。レンタカーでマイクロバスを運転して、職場の人間をのせるのは営業行為ではないのでOK。しかし、旅客運送用の営業バス、路線バスや観光バスの運転には大型二種免許が必要になる。もちろん観光バスであっても回送や修理のために運転する場合は大型一種で可能である。

大型車の特性
大型一種の試験に使用する車両は教習所によって差があるが、4tトラックの大型仕様平ボデー(5.5t積)で、4t車と全く同じ、またはサイズ的には少し小さくなる。大型免許を取る上で一番問題になるのがブレーキ。エアオーバ式ブレーキが使えるかどうかがポイントとなる。普通車のような踏込力で油圧を制御するブレーキではなく、ペダルのミリ単位の踏込操作によってエア圧と油圧を制御する。普通車のように踏み込むとトラックはガクンと停まってしまう。普段エアオーバ式ブレーキの4t車に乗って慣れていても、試験に使用する車は平ボデーの空車なので箱車や簡易クレーンを架装したトラックとは感覚が随分違う。
普通車しか乗ったことのない人にとってはトラックは意外に小回りが効く。運転席が前輪のほぼ真上にあるので、自分が縁石すれすれを行くようにハンドル操作すればよい。一般的にハンドルを切るタイミングは早過ぎる傾向があるようだ。

大型一種免許取得記
大型一種は西脇教習所にて取得することとした。平日の教習が仕事の関係でなかなか受けられないので夜間中心のフリータイムを申し込む。

平成14年9月7日
西脇自動車教習所入所。いきなり入所日から大型車両の教習を受ける。初めての大型車両の運転に少々感激。エアーブレーキはすごく効く。普通免許の時と違って教官の指導の仕方が丁寧であったのが印象的であった。
平成14年9月28日
修了検定。大型一種には学科教習はない。すべて技能教習である。第1段階8時間、第2段階14時間の合計22時間の技能教習である。受験料4,200円と仮免許証交付手数料3,250を支払い、80点で合格。(ちなみに大型の修検は合格点60点と普通車の70点よりも何故か甘い。)
平成14年11月3日
卒検は坂道発進でギアの入れ間違えをし、後退しかけたが、それでも85点で合格。ちなみに検定料は4,200円で大型の卒検は合格点70点以上。
平成14年11月8日
大型一種免許取得。教習所卒業で学技免なので適正試験だけで免許証は発行された。

(大型一種、明石試験場でのコースについてはここを参照)


平成16年の道路交通法改定により平成19年よりは大型と普通一種の間に中型一種免許が新設される。これに伴って、運転免許試験場での中型、大型一種の試験車両が次のように変更される可能性が高い。要は、従来の大型一種が中型一種へ、従来の特定(政令)大型車両が大型へ、。それぞれ名称の上で、ひとつすつ格下げになった形だ。逆にいうと、同じ大型一種の免許を撮ろうとすると従来よりも大きな車両を用いて試験を受けなければならないことになる。

自動車の種類 車両総重量 最大積載量 乗車定員 年 齢 運転経験年数 ポイント
現 行 大型自動車 8t以上 5t以上 11人以上 20歳以上 2年以上  
政令大型車 11t以上 6.5t以上 30人以上 21歳以上 3年以上  
普通自動車 8t未満 5t未満 11人未満 18歳以上 -   
改正後 大型自動車 11t以上 6.5t以上 30人以上 21歳以上 3年以上 積載量6.5t以上は大型免許を取得しよう! 
中型自動車 5t以上11t未満 3t以上6.5t未満 11人以上30人未満 20歳以上 2年以上 中型免許では6.5tトラックまでしか運転できなくる。
普通自動車 5t未満 3t未満 11人未満 18歳以上 - 普通免許では3tトラックまでしか運転できなくる。

試験車両の変更
免許の種類 車長 車幅 車軸 イメージ
現行 大型一種 7〜7.8m 2.25〜2.4m 4.1〜4.4m
改正後 中型一種 7〜8.0m 2.25〜2.5m 4.1〜4.4m
大型一種 11〜12m 2.4〜2.5m 6.9〜7.2m

諸費用(教習所卒業・実技免除の例)