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第3章 BBS と コンピュータネットワーク
●Jam House(じゃむはうす)という BBS
98年現在、私は、Jam House という名前の小さなパソコン通信ネット局
をやっています。24時間運営ですが、登録会員数160名ほどの小さなネッ
トです。
Jam House というパソコン通信ネット局は、最初から Jam House という名
前で設立したものではありません。はじまりはカトリック京都司教区が認可し
たカトリック教会のネットとして、1994年8月に発足したものです。私自
身がカトリック信者であり、常々、通信を利用して、教会に関するさまざまな
文書データの利用と保存、そして信仰や教会等について自由に発言出来る場が
あればという思いがあり開設したものでした。正式に認可された「場」として
の貴重さはあったと思いますが、運営一切はボランティア的立場の個人が責任
を負うことになると、さまざまなことに矛盾も生じるし、私個人の次元では自
分でも気づかないストレスが生じてくるのはしょうがないことだったのかもし
れません。それでも約2年ほど公的看板をかかげていましたが、1997年6
月に看板を降ろし、ネットそのものは私個人が運営する Jam House として継
続しました。
1998年2月にネットで使用する電話回線を INS64 に変更する時に電話
番号を変更しました。すべての会員の方に新しいアクセス番号を知らせたわけ
でもないので、160人という登録会員数は全くの幽霊で、電話番号の変更で
実質50人から60人ほどのネットに縮小してしまったことになりますが、実
質的には私個人が運営する個人ネットとしての再出発になったのかもしれませ
ん。。
BBS の存在そのものが危機的状況にあるかもしれないこの時期に、やむを
得ない事情とはいえ、電話番号変更するのは、今は小さなネットにとってはと
りわけ痛いことです。今はアクセスがない人がふと思い出してアクセスしてみ
たらつながった、これからもネットを継続していくならそんな状態にしたかっ
たのですが、諸般の事情で番号を継続することが出来なかったのはちょっと残
念なことでした。
BBS が大きくても小規模でも、よくアクセスする会員は全体の3割程度、さ
らにROM (読み出し専門)のみではなく、書き込み等に参加するいわゆるアクティ
ブ会員はその2〜3割程度ということはよく言われることです。その割合から
いくと、160人の会員数なら通常で40人程度がよくアクセスする人たちで
あり、そのなかでよく書き込みする人は10〜15人程度ということになりま
すが、Jam House も平均的にはそんなものです。
ROMと言われる読みだし専門の会員の存在というのは BBS にとっては貴重な
ものです。ボードに書き込みをするというのは慣れた者に取ったらたやすいこ
とであっても、やはり敷居はあると思います。けれど、ROM をしていれば、何
かあれば浮上してくるだけの力は備えていくわけです。ROM ばかりですみま
せんという発言もよくありますが、実際のところはこのような人たちの存在も
また BBS を底で支える力になってきたことも確かです。私自身も複数のパソ
コン通信ネット局に所属してきましたが、よく書き込みをするネットと、ほと
んど ROM のみというところもありました。
インターネットが一般に普及し始めた1995年頃から、インターネットに
接続して通信する人口はどんどん増大する傾向にあるけれど、従来からあった
パソコン通信の利用者が本当に減って来ているのかどうか、また廃止されるパ
ソコン通信のネット局が増えているのかどうか、実際に調査した数字などを見
たことはないので、本当のところはわかりません。ただ自分自身が小さなネッ
トを運営していますから、日々のアクセス状況はよくわかります。小さなネッ
トほどインターネットシフト傾向の影響は受けやすいでしょうし、パソコン通
信局 BBS の利用者は減っているのではないだろうかと思う材料は上げようと
思えばいくつでもあるのです。
BBS によくアクセスしていた方々の多くがインターネットのアカウントを取
ると同時に BBS へのアクセスが減り、次第にインターネットを使う比重が高
くなっていくのは、 BBS の運営にはやはり危機的状況だと思います。なぜそ
うなるかという理由はさておき、自分自身の状況を考えてみても、ひところは
10近くもの BBS を巡回していたのに、最近では自分のネットとあと2、3
のネットを見にいく程度に BBS へのアクセスはだんだん減らしているし、ボー
ドに書き込みする機会も減っています。さらには使用しているパソコンの環境
がどんどん変化していき、「パソコン通信」がしにくい環境に変わってしまう
ということも BBS へのアクセスを減らす原因にもなっています。私自身がこ
のようになっているわけですから、こういう人が増えていけば BBS では閑古
鳥が鳴き、気が付いたら過去の遺物になり、小規模なパソコン通信ネット局は
いつのまにか消滅してしまうということにもなりかねません。
私の場合も、インターネットをごく普通に使用する Linux 環境はどんどん
充実するけれど、パソコン通信をするための環境はいまだに古い環境のまま使っ
ているという状態なのです。確かにこれではパソコン通信はやりにくくなって
しまいます。
そして Windows95 からパソコンを使いはじめた人は、OS の仕様や初期設定
の状態からもインターネットを利用することが先行してしまいますから、導い
てくれる先輩や知り合いが近くにいないと BBS の存在そのものがわかりにく
いのではないかと思います。わかりにくいというよりも悲しいことですが、
BBS と呼ばれるパソコン通信ネット局とは何なのだということにもなりかねま
せん。あるいはまたどこかのネットへ接続しようにも接続する方法がわからな
いとか、なんとか接続することが出来ても、パソコン通信ネットというのは、
DOS 版のアプリケーションですから、ネットを操作することがとても困難なこ
とになってしまいます。
BBS のホストプログラムのほとんどは MS-DOS 上で動いています。 MS -DOS
の問題については後述しますが、BBS のホストプログラムにはさまざまな種類
があり、それらが DOS 版のソフトである以上多くの BBS で使っているコマン
ドはそのネットに特有のコマンド体系になっています。 個々のネットが使う
ホストプログラムによって操作方法が違うと、ボードから書き込みを読みだす
だけでも一苦労ということになってしまいます。Windows が登場してからはア
プリケーションの操作には統一性があるのが当然ということになると、
Windows に慣れた人にとっては、個々のネットによって操作に独自性があると
いうごくあたり前であったことが、人によっては戸惑いの原因になってしまい
ます。
従来の会員はインターネットを主に利用するようになり、今後は新規会員
の増える見込みがないのではないか、実際のところ、Jam House も97年の春
から夏以降は、GUEST アクセスはあるのですが、新規の登録者はほとんどあり
ません。Jam House の存在そのものをあまり宣伝しなくなったというのも原因
のひとつではありますが、私自身が BBS へのアクセスを減らしているので通
信上での宣伝機会も減ってしまったわけです。こんなこと、あんなこと、通信
を取り巻く状況はどんどん変化しているわけで、これから超ローカルな小さな
ネットはどういう道を歩むのだろうかと悲観的に考えざるを得ませんでした。
一方では nifty や PC-VAN といった大手の商用ネットは明らかに姿をかえ
ようとしています。私は、PC-VAN は会員であったことは一度もないので、様
子はよくわかりませんが、少なくとも大手の商用ネットはインターネットを通
じてホームページ上からも会議室に入る、あるいは nifty では niftymanager
のようなネット専用の GUI ツールを使うという方法を取るようになってきて
います。たとえば niftyserve では以下のところから会議室に入れるし、www
上からメールも受け取ることが出来ます。
Hello! Thisis NIFTY SERVE
nifty は従来の方法でもアクセスも出来ますから、私は通常は Linux で動
く kermit というパソコン通信ソフトを使ってアクセスしています。その方が
早いし手軽だからという理由ですが。しかしながら、従来の方法は近い将来に
閉鎖するのではないだろうかという予感もまたあるわけです。
niftyserve の例をあげるまでもなく、商用のパソコン通信ネットは姿を変
えて継続しているところもありますが、97年には廃止する商用ネットもあり
ました。
全国に多数存在しているはずの草の根のネットはこのような流れをどう受け
止めているのでしょうか。草の根の BBS はそう言われる通り、そもそもがアン
グラ的存在に意味があるものもありますから、実際のところ、そのネットに参
加していないと実態はわかりにくいところもあります。
Jam House で「このネットのこれからについてどうお考えですか。継続しま
しょうか、閉鎖しましょうか」と、私は2度ほど問いかけたことがありました。
ところが、よくアクセスして下さる方々の反応は「可能ならば継続しましょう」
という意見が多いのです。やめましょうと言われる方がいない、よく考えてみ
れば、やめればいいと思っている人はそんな発言をする前に黙ってネットにア
クセスしなくなる、そういうものかもしれませんけれど。
日に一度、あるいは週に一度、人によっては月に一度という割合の方もおら
れますが、どういう形にしろ今もアクセスされる方々は何らかの必要があって
Jam House というネットにアクセスされるのでしょう。Jam House のこれから
について、私は悲観的になりつつも、極端な場合たとえ一人しかアクセスする
人がなくても、その人にとってこのネットが必要なら、ともあれ置いておきた
い、なぜかそう考えるようになりました。閉鎖するのは簡単です。けれどもう
一度こんなネット、いえ、あえていうなら「場」を作ることは恐らく絶対出来
ないだろうともいつしか思い始めていました。
Jam House が使用している電話回線が私の名義でなかったことが気になって
いて、ネットそのものもどうしようかと迷っていた期間があったのですが、ま
ずはネット専用に電話回線を確保しようと思いました。継続問題に関しては、
それからまたゆっくり時間をかけて検討したらいいと思いました。
INS64 ライトという加入権不要の回線があったこともまさに私の思いにぴっ
たりだったというラッキーさもあったのかもしれません。私の個人名義で通
信専用に ISDN 回線を引くことが出来て、実際に電話番号を変更してしまうと、
それはまた新たな始まりになったように思いました。INS 回線ですから、今度は
モデムとパソコンの間に TA が存在します。ごく普通に接続は出来るはずです
が、新しい電話がついた日、次々に接続実験をしてくださる方がおられ、この
日はネットを始めた日のようにうきうきしました。
この電話回線はダイアルインで2つの電話番号があり、Jam Houseが1つを
占有しても、もう1つは私個人のものとして使うことが出来ますから、Jam
House の存在が気にならなくなります。MN128-SOHO を購入し、とりあえず
Jam House では TA として使いつつ、私は Linux からはルータとしも使用す
ることができるわけですから、とても満足できる電話回線になりました。
電話番号を変更することはマイナスだとばかり思い込んでいた私でしたが、
意外にもたったひとつでも何かが新しくなるというのは、気持の変化も生まれ
るようで、そうなると、私も腰が座ってしまったように、 BBS というものに
ついて、これまでとはちょっと違った角度で見てみようと改めて BBS に関心
がわいてしまったのです。
実質の会員数を減らしてしまった Jam House という個人運営のこの小さな
超ローカルなネットがこれからどうなるのだろう、どうして行くのが一番いい
のだろうという問題は、よく考えてみれば、ひとつの小さなネットだけの運命
ではなくて、それこそ草の根ネットと呼ばれる小さな点のように各地に存在す
る BBS ネットが今、一様に抱えている問題でもあるだろうと思います。
世の中はインターネット一色に染まっているかのようにも見えます。BBS は
時代遅れのものになりますます衰退し、消滅するのみ?本当だろうか?私自身
ホームページも持ち、そのホームページ上に書き込み出来る BBS を複数設置
しています。実のところを言えば、www 上に BBS を設けた目的のひとつは、
もしかしたらいまのままの状態ではパソコン通信ネット局 Jam House は継続
出来ないかもしれないと考えて、代りの「場」を作ることが出来るだろうかと
いう密かな実験でもあったのです。www 上の BBS は、それはそれで動いてい
るけれど、やはりパソコン通信ネット局 Jam House に代ることは出来ないか
もしれません。そして、www 上に BBS を設けた場合は、現時点ではインター
ネットのアカウントを持たない人を排除してしまうことにもなります。BBS 通
信ネット局 Jam House が担う役目はインターネットとは違うところにあるの
ではないかと思えるのです。
迷いつつも、Jam House は通信上のひとつの「場」として存在するだけで今
は結構貴重ではないか、そう考えたらとたんに妙に気が楽になり、2月10日
からは、会員数や日々のアクセス数はほとんど気にならなくなりました。そし
て、強いて言うなら何がなんでも継続しなければならないなどという課せられ
た何かがあるわけでもありません。
むしろ、ここに「小さな Jam House という通信コミュニケーションの場が
ある」、その場が役目を果たさないなら自然に消えるかもしれないけれど、今
は書きたい人が日々の日記を書き込むように一人ごとをつぶやいてみたり、誰
かの話に反応したりと、静かに動いているわけです。Jam House の掲示板をよ
く見れば、実際はこんなラックスした自然な日々が続いています。こんなネッ
トを自分で閉鎖してしまうなんてもったいない、今はやはりそう思います。そ
れなら出来る限りかわいがってあげよう、そう思うようになりました。具体的
にはどうやったらかわいがれるのか、それは不明なわけですが、それこそパソ
コンが起動不能になるか、あるいはハードディスクがぶっとぶまで、Jam
House は静かにそこにある、ここに来たい人が来て、ぼそっと一言つぶやいて
いく、そんな超ローカルなネットもいいなと思うようになったのです。ここに
来るとなにやらほっとする、Jam House は今、そんな場でもあるようです。こ
の状態を維持しつつ、Jam House のこれからの道をここに参加される方々と一
緒に探っていきたいと思っています。
「存在するだけで貴重」という意味について少し補足しておきます。
これまでも、BBS は通信文化を担ってきたし、作ってきました。けれど、
今、すでに活動を終えた文化遺産として存在するのではなく、まさに現役の通
信社会のある部分の文化をこれからも担っていくだろうと私は思っています。
でも、そのためには BBS 自身にも変身は必要だろうと思います。周囲の状況
の変化がそれぞれの BBS に影響を及ばさないはずはありませんから、 BBS の
あり方はこれからも変化するだろうけれど、必要とする人がなくなれば、ある
いは過去の遺物になる可能性もあると思います。どのように変わるかは今、私
にはわかりません。Jam House という小さなネットを守ろうとは思わない、け
れど、潰そうとも思わない。けれど、Let it be. でありつつも方法は探り
たい、そんな「場」をまだしばらく存在させようと思うのです。「場」があれ
ばこそ、出来ることもあるわけですから。
参考:
nifty には fbbs という BBS についての会議室があります。
新たに《[BBSの逆襲] インターネットBBS情報》というような会議室も設
けられているようです。この会議室の目的について「爆発的にインターネット
の利用者は拡大しつつありますが、BBS は BBS の良さを生かして、今後も共
存を続けると考えています。」と書かれていました。
また次のようなページをまとめておられる方もありますが、パソコン通信の現
状についても参考になります。
日本のパソコン通信BBS情報ホームページ
● BBS の限界
BBS がインターネットの成長の陰でぶつかった大きな問題は、BBS のホス
トプログラムの多くが MS-DOS 上で動くものであるために、基本的に MS-DOS
はネットワークを実装していませんから、コンピュータネットワークから孤立
してしまうということと、さらには日本の BBS のホストプログラムの多くは、
98 DOS 版のアプリケーションであるということ、そして DOS 版のプログラム
である以上ネットの操作はコマンドで行いますから、Windows 95 のような OS
に慣れた人にとっては操作しにくい状態になってしまうといったようなことが
まずあげられます。
インターネットが成長してきた社会のなかで「コンピュータネットワーク」
から孤立してしまうというのは BBS にとっては致命的な問題です。つまり、
問題は BBS そのものにあるのではなくて、 BBS のプログラムが土台にしてい
る MS-DOS が持つ限界に由来するというのがまずとても大きな問題になるわけ
です。BBS が「コンピュータネットワーク」を作れないという限界をクリアす
る方法(後述)がないわけではありませんが、機材やプログラムの開発等、超え
なくてはいけない問題は数多いと思います。
MS-DOS が持つ限界というのは、私が Linux を使うようになって自分自身で
体験的に少しづつ気づいていったことでもあります。linux のファイルシステ
ムに慣れてしまうと、MS-DOS のドライブという概念がとても理不尽なものだ
と思うようになりました。make する作業に慣れてしまうと、自分の環境にあ
わせて make できるソース配布の柔軟さがとてもいいと思うようになりました。
とはいえ、バイナリー配布の手軽さも良いものですが。
たとえば、Windows3.1 からインターネットに接続しようとしたら、 TCP/IP
ソフトをインストールしてやらなければいけなかったわけですが、MS-DOS の
決定的な限界は TCP/IP の欠如 (DOS 用 TCP/IP ソフトもあるにはあるようで
すが、それほど実用的でもないかもしれません)、ネットワーク機能を装備し
ていない、8+3 文字ファイルの制限、 メモリの問題などの問題はすぐに気が
付くことでもありました。このような言い方はとても大雑把ですが、MS-DOS
は UNIX の子どもと言ってもいいのではないか、ある時私はそんな風に思いま
した。少しいじり始めた Linux はなぜこんなに面白いのか、その理由はとて
も単純で、いままで出来なかったことが出来るから、それはとても大きな理由
でした。
それから Windows は本当の意味でマルチタスクではないということも限界
になってしまいます。たとえば、Windows では確かに複数の窓を開くことが出
来ます。けれど、もしもひとつの窓がハングアップしたら、やっぱりすべての
窓がハングアップしてしまい、すべてをリセットするはめに何回陥ったか。
OS/2 Warp に移行してはじめて、マルチタスクらしい様相を見ましたが、土台
そのものは MS-DOS ですから、その上に乗っているアプリケーションだけがマ
ルチ化されるはずはありません。32bit OS が登場し、Windows 95 や NT でネッ
トワーク機能が実装され、さまざまな部分でとても大きく変化しても、土台そ
のものが MS-DOS あるいは MS-DOS の範疇にあるものであれば改善はされても、
問題の本質はかわらないわけです。
少し話がそれますが、Linux の文書について触れておきます。
Linux に出会うまで私はパソコンに関する書籍というものをほとんど買った
ことがなかったのですが、UNIX には膨大な文書があることを知り、これが何
よりも私には魅力的なことになりました。
とはいえ、それが魅力的に見えるまでには少々時間が必要でした。Linux を
インストール出来たのはいいけれど、Linux はインストールしたからといって
そのまま使えるものでもありません。目的通り動いてもらうためにはさまざま
な設定が必要です。Linux に何か強烈な魅力を感じる一方で、何か大変なもの
を入れてしまったのかと、気分が重くなる日もあったのですが、少しづつコマ
ンドを覚えて、cd と ls からディレクトリ散歩を始めました。どこに何があ
るのかすら知らなかったわけです。
それでも多くの方の助けを得て、X Window (グラフィック画面)が使えるよ
うになり、通信が出来るようになり、ついにインターネットにも接続できるよ
うになっていったのですから不思議といえば不思議ですね。
このような時期に、自分のマシンの設定をするためという極めて実用的な目
的で Linux の文書と出会ったわけです。日本語に訳されたものもありました
が、かなりのものはまだ英語の文書でした。この頃買ったのが Linux Bible(*)
という書籍でした。これは、Linux に関する HOWTO や miniHOWTO と言われる
ものを始め、その他のさまざまの文書が収録されたものです。そんな本を眺め
つつ Linux を使うためにはこういう文書を読まないといけないのかと絶望的
になるどころか、私には妙に魅力のあるものでした。そこで、どうせ読むなら
英語の勉強もかねてきちんとやってみたいと思い、JF(Japanese FAQ Peoject)
に参加しました。それから約2年ほど、JF に参加されておられる多くの方か
らのご助言を頂きながら、いくつかの文書の日本語訳を作りました。
パソコンの設定をするためにだけ英語の文書を読むなら必要な箇所を見るだ
けでも済みます。そして英語を読むことにそれほどの苦痛はなくても、訳をす
るということはやはり大変な作業だと思います。まして私はコンピュータに関
する専門用語のようなものをほとんど知らないために、どのような日本語がそ
の言葉にあたるのかよくわからないとか、どんな作業をしているのかピンと来
ないとか、さらに全体的にはコンピュータをいじることの経験不足、そして決
定的な泣きどころは英語力の欠如、私が落ち込みたくなる理由はいくらでもあ
りましたが、たった一言、原文を読んでみたかった、そして訳をしてみたかっ
た、その思いだけでいくつかの文書の訳を作りました。付け加えておくと、コ
ンピュータ用語というのは、妙なカタカナ日本語や日本語に訳された言葉より
も、英語そのそのままで素直に受け取ってしまうほうが言われることはよくわ
かるということがありますから、日本語訳を作るのはなかなか大変なことでも
あるようです。
そのような作業をしていくうちにうちに、私は Eric S.Raymond(*) さんの
文書に出会いました。Eric さんのホームページで「How to Become a Hacker」
という文書をオンラインで見て、これはぜひちゃんと読んでみたいと思いまし
た。早速、 Eric 氏宛に How to Become a Hacker の日本語訳をしたいけれど、
よろしいでしょうかという内容のメールを送りました。わずか数時間で go
ahead という OK の返事を頂きました。それからまた数時間後にやっと私は
Eric S.Raymond 氏が Linux について多くの文書や HOWTO を書き、コンピュー
タの世界ではかなりの著明な方であることを再確認したのですから、私は相当
のつわものか、あるいはうっかり者でもあるのでしょうが、このようなやり取
りを数時間でやってしまえることもインターネットを利用する魅力のひとつで
もあるかもしれません。
「How to Become a Hacker」の訳がなんとか完了して、次に A Brief
History of Hackerdom の訳(付録として巻末に添付しました)をしました。こ
の文書はインターネットは誰がどのように作ってきたかを簡潔にまとめられた
ものです。この文書の訳をしている時に、ネットワークに関する項で、「MS-DOS
world remained blissfully ignorant of all this. MS-DOS の世界はこのよ
うなことにすべての無知のままだった」、という一節を読みました。まさしく
MS-DOS は「コンピュータネットワーク」が作れないということを指して言っ
ているわけです。MS-DOS の世界で動いている BBS の限界を指摘した一文とい
うことになります。Linux の世界にどんどん足をいれながらも、私は Eric 氏
が指摘したことがとても気になっていました。
さて、「ハッカー」という呼称について少し触れておきます。日本の社会で
はハッカーという言葉を聞くと、ハッカーとはどうしようもないコンピュータ
おたくで、ネットワーク上でとんでもない犯罪を犯す者のことをそのように呼
んでいることが多いようです。はっきり言ってこれはハッカーという言葉を間
違って使っているのです。コンピュータの世界でさまざまな破壊的な悪事を働
く者たちはクラッカーと呼ばれます。ハッカーはクラッカーとは区別されるも
ので、ハッカーとはそもそもは、コンピュータの技術的に熟達するように努力
するのはもちろんのこと、探求を通しての創造に喜びを感じる者たちのことを
称賛を込めて呼んできた言葉です。あるいはまたコンピュータの世界ばかりで
なく、芸術やその他の分野においても、その道を極めようとする態度を指す言
葉でもあるのです。また、高度な技術を持つ UNIX 専門家をUNIX Wizard(魔法
使い)とも呼びます。
このような言葉は一般的には、誤解され間違って用いられることも多いよう
ですが、その言葉が使われるようになった背景やいきさつを知ると別の興味も
わくかもしれません。コンピュータの世界で特にハッカーに関する用語や逸話
を収集した Jorgon(*)がまとめられており、インターネット上で見ることが出
来ます。日本ではその一部が「ハッカーズ大辞典」(*)という書籍名で発行さ
れています。
(*) Linux Bible :"The Linux Bible" The GNU Testamen.
The The most complete guide to installing,
running and maintaining a LINUX system.
Yggdrasil Computing Inc. San Jose,CA
Third Edition published 1995 ISBN 1-883601-12-6
(*)Eric S. Raymond 氏のホームページは次のところです。
Eric S. Raymond 氏のホームページ
(*)Jargon File は次のところで見ることができます。
Jargon File
(*)ハッカーズ大辞典 Eric S. Raymond 編 Guy L. Steel Jr. 絵
福崎俊博 アスキー出版局
● BBS とネットワーク
さて、BBS にとってコンピュータネットワークが作れないということは、
今後さらに発展するであろう「コンピュータネットワーク」社会においては致
命的な欠陥ということになってしまいます。しかしながら、コンピュータ「ネッ
トワーク」を作れないはずのパソコン通信ネット局 BBS は、それでも通信社
会の「ネットワーク」文化築き上げるのに大きな役割を担ってきたのです。
MS-DOS の限界を超えて、BBS はなお存在することが出来るだろうか。いく
つかの試みはやはりすでに行われてきました。MS-DOS の限界を知りつつも、
「通信でのコミュニケーションの場」として存在しようとしてきた BBS への
関心はすたれてはいないと思います。ですから、現在もなおいくつかの試みが
行われているわけです。
BBS というのは、通常は小規模のパソコン通信ネット局のことを主に言う言
葉ですが、草の根のネットとも呼ばれるように全国各地にかなりの数存在しま
す。BBS はパソコンを扱うことが出来る人であれば、1台のパソコンと電話回
線、そしてモデムとホストプログラムさえあれば、それこそ誰にでも手軽に個
人でネット局を開局することが出来ます。これが草の根のネットと呼ばれる由
縁でもあるし、それこそ、私にでも開局出来たわけです。
ホストプログラムもさまざまな種類があり、機材と工夫によってはかなり規
模の大きなネットを運営することも可能なのです。しかしながら、どんなに大
規模なBBS ネットを運営しても、そして、星の数ほど BBS が存在しても、そ
のホストパソコンはネットワーク機能を持っていませんから、UNIX の世界の
ように、コンピュータネットワークを作ることは出来ず孤立した存在になって
しまいます。
しかし、パソコン通信はネットワーク(つながり)を築いてきました。BBS に
参加する人の多くは複数のネットに ID を持って、あっちのネット、こっちの
ネットにアクセスしたわけです。その動きは従来のパソコン通信ではごく普通
のことでした。つまり、孤立したホストパソコン同志を「人のネットワーク」
が結んでいたことになります。ホストパソコンにネットワーク機能がありませ
んから、パソコンとパソコンの間で多くの人が動き、人海戦術でネットワーク
を作ってしまったということになります。まさに名前の通り「草の根」Grass
Root の力かもしれません。
コンピュータネットワークを作ることが出来ないということは大きなネック
ではあったけれど、皮肉にもそのネックが「人と人がつながり合う場」という
文化を築きてきたのだと私は思います。人が集まれば、それこそ人の数だけ話
題はあります。電子掲示板とはうまい表現だと改めて思いますが、どんな場所
からでもその掲示板に書き込めば、それを見ることが出来る人に伝える事が出
来ます。BBS のホスト局は孤立していても、その情報を運ぶ人がいれば
離れた所にいる人にも伝わるわけです。でも、人を経ていくわけですから、イ
ンターネットの伝達方法と比較すると、同じ通信ではあっても、時には時間が
かかり、手間がかかることになります。
インターネットとは inter-net、簡単に言えば、コンピュータ同志を繋いだ
大規模なコンピュータネットワークのことです。つまり、まずはつながってい
るのは「コンピュータ」同志ということになります。
BBS で従来から使われてきた「ネットワーク」という言葉とコンピュータネッ
トワーク(インターネット)のネットワークの成立ちには違った一面があるわけ
で、同じネットワークという言葉を使っていても、微妙に違った姿と動きを指
して使われているように思います。そしてこのことは良い悪い、あるいは遅れ
てるとか進化しているというようなこととはまた違った概念で考えることでは
ないでしょうか。つまり、物事によっては、どちらかのネットワークの方がよ
り有効に働くことも可能なわけです。インターネット的コンピュータネットワー
クがすべて有効なわけでもなく、時には超ローカルな人のつながりこそ有効な
ネットワークになる時のあるのかもしれません。目的と物事に応じて「ネット
ワーク」も使い分けがなされてもいいのかもしれません。
以上のネットワークを簡単に図示すると次のように説明することが出来ます。
(図1) BBS はそれぞれのホストパソコンは孤立して存在することになるが、
人はそれぞれ独自に存在する複数のネットに属して、網の目の交差点は人が作
る。A,B,C.... と独自のホスト局がある場合、それぞれの人は A,B,C.. それ
ぞれ個別に属し、複数の BBS にアクセスすることで情報が運ばれる。
(図2)インターネットは情報 Highway とも呼ばれますが、その実態はパソコ
ンとパソコンがつながって作られた道である。コンピュータとコンピュータの
つながりが作る道は複雑に入り組んでいるが、網の目の交差点にはコンピュー
タがある。人はパソコンとパソコンのつながりで出来た高速道路を自由に通行
出来る。インターネットとは gateway を通って、ホストパソコンがつながっ
て作られた道を通って行きたい目的地(情報源)に素早く到達することが出来る。
どのようなルートを通って目的地に達しているかを調べることが出来る。
たとえば kyoto-inet からインターネットに入り、東京にある twics.com の
ホストコンピュータに至る道筋は以下のようにして調べることが出来る。
chie:~$ traceroute beehive.twics.com
traceroute to beehive.twics.com (192.135.222.9), 30 hops max, 40 byte packets
1 pmB3.kyoto-inet.or.jp (210.134.102.4) 182.237 ms 146.667 ms 141.834 ms
2 gwB.kyoto-inet.or.jp (210.134.102.1) 153.734 ms 171.265 ms 141.536 ms
3 asky.kyoto-inet.or.jp (202.245.160.129) 153.401 ms * 141.551 ms
4 trlim1p.picky.or.jp (202.245.159.247) 143.07 ms 171.076 ms 151.291 ms
5 rt.picky.or.jp (202.245.159.254) 152.746 ms 180.939 ms 141.243 ms
6 s11-0.osaka-4.bbn.web.ad.jp (202.219.160.13) 172.465 ms 210.711 ms 181.052 ms
7 f1-0.osaka-1.bbn.web.ad.jp (202.248.3.65) 171.937 ms 149.67 ms 159.804 ms
8 202.216.2.249 (202.216.2.249) 159.832 ms 209.693 ms 179.82 ms
9 gw02-osaka.tokyo.sannet.ad.jp (202.216.0.250) 229.829 ms 229.653 ms 239.833 ms
10 202.216.4.2 (202.216.4.2) 579.809 ms 209.683 ms 229.83 ms
11 beehive.twics.com (192.135.222.9) 359.818 ms 279.66 ms 229.825 ms
chie:~$
●試み
(1)Fido NET
BBS を結ぶネットワークの試みはすでにいくつか行われてきました。その
ひとつは FidoNet です。Fido NET は1984年にアメリカで、IBM とその互換機
の間で開設されたネットです。その後 Apple などのマシンも参加し、 Usenet
を介して現在では約30、000以上の BBS をつないでいます。telnet でロ
グインし、メールを回送し、インターネットを介してファイルの転送サービス
などを行っています。
FidoNet については次のところで詳細を見ることが出来ます。
FidoNet
(参考)
FidoNet
FidoNet consists of approximately 30,000 systems world-wide which
comprise a network which exchanges mail and files via Modems using a
proprietary protocol. They are connected for the purposes of
exchanging E-Mail to the Internet thru a series of gateway systems
which interact with the Internet via UUCP with cooperating UNIX-based
smart-hosts which act as their MX-receivers.
With some exceptions, you cannot Telnet or FTP to a FidoNet site, only
communicate via E-Mail and Usenet News.
FidoNet の試みは各地に孤立して点在する BBS をインターネット回線を通
じて結んでいこうという動きです。地域性あるいは専門性を持った「点」とし
ての存在を認めつつ、さらにそれらを結んでいこうという流れはとても興味あ
る動きだと思います。
日本ではたとえば niftyserve からは、「他ネット接続」への gateway サー
ビスを利用することが出来ますが、利用できる BBS の数は実際はそれほど多
くはありません。
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インターネット/他ネット接続 GATEWAY
1. インターネット 2. 渡良瀬ネット
3. MEDINET 4. マフィンネット
5. MIEネット 6. 大阪府O-NET24
7. コペルニクス/インターサイト 8. かがわネット
9. EICネット(環境情報提供) 10. WHIS NET(福祉・保健情報)
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(2)、UNIX 系 OS で動く BBS プログラム
従来の BBS ホストプログラムの多くは MS-DOS 上で動くものでしたが、
UNIX 系 OS 上で動く BBS ホストプログラムも開発されていますが、一般的に
普及するほど多くはありません。しかし、UNIX 系 OS で動く BBS ソフトを使
えば、そのホストパソコンがインターネットの正式なアドレスを持っていれば、
そのホスト上に存在する BBS には telnet でログインすることも可能になります。
次のホスト局は www 上から telnet でログインすることが出来るので試し
たことがあります。ただしこれはアメリカにあるホスト局で、ホストマシンは
Linux を使っていました。
Tycho Softworks!
Telnet login to Marvin BBS, our local WorldVU BBS system. Marvin is
open to the general public and also reachable via dialup locally
in Virginia at 703-492-9101. We run release Atlantis-A3
with multi-national support and MS-DOS doors.
UNIX 系 OS で動く 日本語 BBS ソフトは、私は、他にもあるとは思います
が、手軽に手に入れることが出来る2つのホストプログラムを見つけています。
いずれも niftyserve の funix のデータライブラリにあります。
(1)BBSホストプログラム annbbs Ver4.50
日本語BBSホストプログラム annbbs Ver4.50 です.
(2)STBBS
ホストプログラムは、同様に niftyserve funix データライブラリに
登録されています。(2001年10月現在、入手できるかどうかはわかりません)
stbbs-971227.tar.gz BBSホストプログラム
【対応OS】 Linux 2.x , FreeBSD 2.2.5R以降など C++とpthreadが利用可能
なUNIX系オペレーティングシステム
STBBS についての注意
STBBS は現在開発が中止されています。
現在(2001年10月現在)ここから、stbbs-990512.tar.gzを入手することができます。
STBBS は実験局なので、telnet 回線を通じてログインしてみました。
telnet TELNET
1. ご案内/利用方法
2. telnet to Internet
3. telnet to NIFTY SERVE
>2
TELNET> open stbbs.exa.co.jp
Trying 202.218.50.48...
Connected to stbbs.exa.co.jp.
Escape character is '^]'.
Welcome to STBBS Project.
At first, please enter your kanji code after "login:" prompt.
"euc" and "sjis" are available.
stbbs login: sjis
Linux 2.0.32.
Last login: Thu Feb 19 22:39:39 on ttyp3 from inetnews.niftyse.
No mail.
STBBS connection established. Please use ShiftJIS charset.
STBBS Version *TEST*
Guest ID is "GUEST".
User ID = ST056
Password = ********
annbbs や STBBS のような UNIX 系 OS 上で動く BBS プログラムは、私に
とってはとても興味あるものです。Linux 上で動くわけですから、Linux のネッ
トワーク機能を利用しつつ、BBS の運営が可能ということになると、コンピュー
タネットワークに関して MS-DOS の弱点を補っていく可能性は十分にあるわけ
です。BBS の魅力は、それが本来持つローカルであるところにあると言っても
いいわけで、路地裏的に集まる人のネットワークの場を保ちつつ、それがさら
に他の BBS ネットとつながることが出来て、さらにインターネットをも利用
出来る環境を作ることが出来たら、それはとても素敵なことだと思います。
(3) 私の Linux マシン での試み
私は個人で自宅でパソコンを使っているごく普通のユーザですから、私の
マシンが正式なインターネットアドレスを持つことはあり得ないことでしょう。
そういうことが出来れば、私の Linux マシンで動く BBS はインターネットの
はじっこにぶらさがることができますから、サーバーとしての機能は十分です。
しかしながら、費用的な面でそこまですることはちょっと不可能です。しか
しながら理屈的にはそのような存在は可能であるということは、とても大
事なポイントだと思います。BBS がインターネットという巨大なネットワーク
の裾野にあたる部分で何らかのつながりを持つことが出来れば、MS-DOS の孤
立性を補うことが出来るわけですから。
さて、私のマシンで STBBS がどれくらい動いてくれるかを試してみまし
た。mgetty 、STBBS とも添付の README に従えば make,make install ともと
ても簡単に出来ます。STBBS はクライアントサーバ方式(*)の BBS ソフトです
から、まずは bbsd を起動しておきます。これでバックグラウンドで常時 BBS
が起動していることになります。BBS を起動しても私はもちろんごく普通にそ
のマシンを使うことが出来ます。。従来の BBS ホストプログラムは、ユーザー
インターフェースとデータアクセスが同一のプログラム上にありましたから、
BBS を運営するためには1台独立したマシンが必要でした。しかしこのような
BBS ホストプログラムを使えばバックで BBS が常時稼働しており、外部から
のログインがあればクライアントとしての BBS が起動するようになっていま
す。これだけでもとても大きな進歩だと思います。
私の Linux マシンではmgetty(*) が起動しているので、別のマシンから、
Windows 版秀タームや KTX のような通信ソフトを使い、 Linux で動いている
STBBS にログインしたのが次の記録です。
(*)mgetty: "mgetty" というプログラムは、class 2.0 あるいは 2 のファッ
クスモデムを使用して、ファックスの受信をし、さらに発信をじゃますること
なく外部からのログインを扱えるものです。ですから、モデム着信をしてくれ
ますので、私のマシンに外部からログインするためにとても有効なプログラム
です。ここに記載したものは、BBS へのログイン実験を行ったものですから
「無手順接続」のために使用しました。 autoPPP での接続も行うことができ
るプログラムです。もちろん FAX の受信送信が出来ます。
(*)クライアントサーバ:STBBS の場合、"データの読み書きとメッセージの伝達
のみを行うプログラム (=bbsd)" と、"ユーザーの入力をbbsdに伝え、その返
答を受け取って端末に表示するプログラム (=bbsc)"に分離されている。
(STBBS FAQ を参照してください。)
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CONNECT 19200/ARQ
Welcome to Linux 2.0.31.
hello!login: jamhouse ●jamhouse と入力してログイン
STBBS connection established. Please use EUC charset.
STBBS Version *TEST* ● ログインと同時にBBSが起動する。
Guest ID is "GUEST".
User ID = ST001 ● BBS の ID を入力
Password = ● BBS の PW を入力
+----------------------------------------------+
| ■■ ■■■ Test BBS Jam House |
| ■ ■ since 1998 3/18 |
| ■ ■ STBBS を使っています。 |
| ■■ ■ V.34 9600〜33,600bps |
| Linux の上で動いている BBS です。 |
+----------------------------------------------+
◎ STBBSは開発しながら試験的に公開しているBBSです。メニューの中で
-----になっている機能はまだ使えません。ごめんなさい。
◎ STBBSに関する質問・意見などは、までメール願います。
ご意見などは Jam House 本局のボードへもどうぞ(075-466-2626)
◎現在使用できるボードは2つです。
0001: SYSTEM Information from SYSOP
0002: FreeTalk FreeTalk ご自由に
どちらも自由に書き込みできます。お試しください。
◎ 会員登録はAコマンドです。
ID を登録してご利用ください。ID は自動発行です。
ID/レベル : ST001 Level=2
最終ログイン : 98/03/23 0:16:06
今回ログイン : 98/03/23 0:17:08
未読検索中 ...
98/03/22 23:34:02以降の未読ボード: ありません。
総数: 0 巡回: 0( 0)
----------以下略
以上、外部から電話を使って、私の Linux マシンにログインすれば、 ログ
インすると同時にBBS が起動します。少なくとも、個人の Linux マシンのな
かで BBS ソフトが動く、これだけでも大きな進歩です。私自身は、今しばら
くは STBBS で実際の BBS の運用は考えてはいませんが、私のマシンのなかで
可能性の検討はしていきたいと思っています。
(4)GUI 化する BBS
niftyserver 等、大手の商用ネットでは従来のパソコン通信会議室はどんど
ん GUI 化が進んで、インターネット上の www から会議室に入る方式が取られ
る傾向があります。
個人のホームページでも CGI プログラムを使って、 www に BBS を設ける
ことはそれほど難しいことではありません。私自身も自分のホームページに書
き込みの出来る掲示板を3つ設けています。一長一短あり、それは正直な感想
です。会員を限定せず、自由に読み書きが出来る掲示板は魅力はあるのですが、
個人の場合は使用出来るハードディスクの容量にも限界があるなどの制限にな
ることは結構多いし、ホームページ上にあることは便利でもあるけれどネット
ワーク上からくる危険もまた大きいのも確かです。
結論を先に書くならば、個人運営の BBS は GUI 化する必要はないだろう、
私はそう思っています。もちろん周辺のパソコン状況は日々変化しているよう
なものですから、私がそう思っていても、 GUI 化してない BBS はアクセスし
ても魅力がないとか、あるいはそういうネットに参加してみたいけれど、コマ
ンドというものがわかりにくいから操作がうまく出来ないということも起こる
かもしれません。
けれど、あえて言うなら、BBS アクセスの隠れた魅力は、手軽、迅速、軽い、
自分用のカスタマイズが簡単自在といったような扱いやすさにもあったと思う
のです。「扱いやすい」ことと「扱いにくい」ことの意味するところが随分変
わってきているのは確かなようですが、ネットワークへどうつながるか課題も
抱えつつですが、超ローカルな場として存在の意味を見出しつつ、さらにどの
ような操作性を持つホストプログラムがいいか、そのようなことも今後の課題
として興味と関心を持っていきたいと思っています。
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