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■07年7月

 




「フランス記パート1」

ちょっとフランスでの日々を書き出してみました。で、気がついたこと・・・やっぱり演奏中のことは記憶にない・・・。そう、演奏中はやはり私はどこかにワープしているようです。よってそれ以外のことしか書けていません、それも「どんだけ〜」たくさんの人に出会い、助けられているかと言うことしか伝わらないかも・・・・あっ、あと、食べ物ネタ・・・。でも、良かったら読んでください。

8月7日(火)
 
出国手続きを済ませしばしラウンジでくつろぎタイム
 

関西空港9時55分発ルフトハンザ・ドイツ航空LH741便
外資系の航空会社の女の客室乗務員さんは強そうでかっこいい、そして男の乗務員さんはなぜかキュート。

  
 
機内食 いつもあえてちょっとづつしか食べない。それが私の体力温存の秘訣。でも水はいっぱい飲むようにしてる。

機内上映の映画「バルトの楽園」、ものすごくいいところで突然終わり、アニメが始まった・・・なぜ?着陸の3時間ほど前に「Good Morning!!」と乗務員さんがご挨拶、でも、その後すぐに晩御飯が出てきた・・・・なぜ?

1時間ほど予定より早くフランクフルトに到着。外は雨・・・・。フランクフルトからはルフトハンザバスに乗り換えストラスブールまで2時間程高速を走る、夜8時頃到着。まだ明るかったけど、無茶苦茶寒かった。パトリシア(あちらでの私のマネージャー役をやってくれているピアニスト)が駅まで迎えに来てくれ、この日は彼女のおうちに。  

 

 
「パトリシアのおうち」

8月8日(水)
今日は9日のコンサート会場となるアルザス総領事館の総領事ムッシュ庄司宅へ移動。1時に向かえの車が来る。ふと見ると緑ナンバー(タクシーじゃなくって・・・)。菊のご紋が光り輝く官邸につくとエントランスホールで奥様が迎えてくださり、メイドのパスケさんがかばんを持って部屋まで案内してくださる。通された部屋は高級ホテルさながら・・・。

 

 
すでに、楽器が搬入されていてすぐに練習を始めさせていただく。想定内だったけれど、この時点で楽器の鳴りがいまいち・・・2時間ほどするとやっと少し鳴り始める、が、今度は楽器の爪(弦をはじいて音を出す部分)がぺきぺきと折れ始める、でもこれも想定内。ゆえに楽器調整の日を1日とらせてもらうことにしているわけ。一応の調律と修理は自分でも出来るのでこう言う時便利な私。

夕方5時頃少し外の空気を吸いたくなってお散歩に。裏手には宝ヶ池のような池のある公園もあり素敵な住宅街の風情の街。でもよく見ると○○大使館とか領事館とかの旗があちこちにたっていた。

 
1時間ほどのお散歩の後、再び練習開始。 夜9時からは総領事と奥様と3人でお食事会、ちょっと〜緊張するや〜ん・・・・と心のなかで思いつつお2人と再会出来た喜びにひたる。コースで供される超豪華な料理の数々、でも、とてもとても心苦しかったけれど、これを全て平らげるとぜったい明日の体力が保てないと・・・・そう、私は食べ物を消化するのに体力を使う体質。

せっかくのごちそう・・・初めは頑張って頂いていたけれど、今回の私の優先順位は演奏会を成功させること、どうかお許しを!!と徐々に頂くペースを落としていく。 こうして時差ボケもなく1日目は終わった。

8月9日(木)
いよいよ今夜は本番。昨晩はごちそうだったから(全部頂かなかったけど・・・)朝はコーヒーだけにしてくださいと厚かましくもお願いしてしまう。そしたらお願いしていた時間きっかりにあつあつのコーヒーが・・・外務省マークの器で運ばれてくる。

 
ゆっくりと朝のコーヒーを頂いた後、練習を始める。だいぶ楽器も調子が出てきている、よしよし!!だいぶ楽器と仲良くなって来たぞ!!

午前中の練習を終え、昼食。どこか外に食べに行けばいいかと思っていたら、これまた用意して下さっていた。適度な量・・・これは全部頂いた、むっちゃ和定食。



昼食後、休憩がてらうとうとしてたらなんだか官邸内がにぎやかに・・・・・。 階下に下りると、領事館関係の人が会場の設営をしてくださっている最中だった。ひと段落した頃、練習を再開し、その後、調律。

6時頃パトリシアが来てくれ、緊張する私を励まし、ドレスチェックもしてくれる・・・う・・・ありがたい。6時45分、いよいよ開場。今日のお客様は総領事がお招きになる各国の大使館、領事館、文化関係の代表の方々。いつもヴァカンス時期には人が集まらないとおっしゃっていた奥様の心配をよそにたくさんの方々が来てくださる。

今日のプログラムは
 コレット:第2組曲
 西邑由記子:スウィート・ダンス・スイート
 J.S.バッハ:フランス組曲第5番 
 C.P.E.バッハ:フォリアの主題による12のヴァリエーション
 池上 敏:チェンバロのための小組曲
 アンコールに答えクープランの神秘のバリケード

 
日本人作曲家の作品は2曲とも拍手が一段と大きかった。パトリシア曰く「プログラムが進むにつれMAYUMIが自由になっていくのが聴こえてきたよ」。ははは・・・初め緊張していたのがばれていたか・・・・!!

コンサート終了後はカクテルパーティー。総領事夫人がお客様1人1人に紹介してくださる。わぉ〜社交界・・・・☆

カクテルパーティーが終わると今度はお食事会。パトリシアは勿論、2回目(8月末)の渡仏時にコラボする造形作家のWeRoさんと彼女のボーイフレンド、そして同じくコラボするフェルベールさんの弟さん(フェルベールさんがお仕事の関係で来れないので代理で来て下さった)、フランス在住中国系アメリカ人女性ピアニスト、今回の連絡役をして下さった領事館の上薗氏。これまた豪華なコース料理・シャンパン・ワイン・・・・。

 
この日のコンサートの初めに、総領事のご挨拶があったんだけれど、そこで総領事は「日本とアルザスのアーティストたちがそれぞれの違った分野にも関わらず繋がっていくことを私は誇りに思います。そしてこの輪が今度はどこへ繋がって行くのかとても楽しみです。」とおっしゃって下さっっていたらしい(フランス語だったからわかんなかった私。後で教えてもらった・・・)。

私とパトリシア、そしてWeRoさん、フェルベールさん・・・・ただひたすらに自分のやりたいことを続けさせてもらい、数え切れない人々に迷惑をかけ、助けられ、支えられ続けている自分の存在、時として「本当にこれでいいんだろうか?」と自分に問いかけている、それなのに自分のやっていることが何かに繋がっていると実感出来ること、そしてそのことを誇りに思い、その先へ夢を託していると言ってもらえること、なんて幸せなことなんだと・・・涙が出そうになった・・・うるうる・・・。


「10月からは新しい赴任先へいらっしゃる庄司総領事・・・それはJapon!!」

8月10日(金)
フランクフルトに着いて以来ずっと雨降り。今日は一段と雨足が強い。今日はストラスブールから車で30分ほどのモルシェイム(モルツハイム)と言う町での本番。なんとスタートは夜の9時半。ムッシュー庄司宅から運転手のアントワンさんの運転で連れて行ってもらう。京都の清水寺近辺のような風情の素敵な町。

そこの修道院の回廊が舞台となる。十字路になっている中心部が舞台。コンサートの設営がなければほんとにただの廊下・・・かも。

 

中にでかでかと私の写真入のポスターが貼ってあって面食らった。

会場につくとパトリシアはすでに来てくれていて、主催者のムッシュクロールさんに紹介してくれる。会場は設営途中だったけれどリハーサルを始めさせてもらう。

途中パトリシアは一旦仕事がありおうちに帰ったけれど、スタッフの皆さん英語が堪能で助かった・・・・アンプを入れる入れない、照明の向きの調節などなど、いろいろとこちらの要望を聞いて頂き万全の体制に。パトリシアの提案で「雨降りだから武満の"夢見る雨"から弾いたら?」急遽プログラムの順番を大幅に変え、調律士さんがMCをやってくれることに。ちなみにプログラムは、

 武満徹:夢見る雨
 J.S.バッハ:フランス組曲第5番
 池上敏:チェンバロのための小組曲
       〜休憩〜
 C.P.E.バッハ:12のヴァリエーション
 西邑由記子:スウィート・ダンス・スイート

確かに昨日とは違う雰囲気、そして休憩もありとなるとこの順番はものすごく効果的だったようだ。まだ聴く人の耳と頭が新しいうちにちょっと難解な武満作品、でも、雨降るなか"夢見る雨"はとても静かに美しく伝わったようだ。そして休憩前の池上作品、最終曲でがんがんと盛り上り休憩に。夜も遅いし何人か帰っちゃうかなと思っていたけれど、誰一人帰る人はなく、後半に突入。西邑作品が終わった途端「ブラボー」の声・・・・!!アンコールは2曲、クープランのミステリアスバリケード、とロワイエのスキタイ人の行進。この曲の後再び「ブラボー」の声。あ〜無事終わって良かった〜〜〜〜〜〜(^^)

 

そうそう、このコンサート、計画途中で「チェンバロではお客は呼べない」と暗礁に乗り上げていた。それをパトリシアが頑張って頑張って実現させてくれたもの。でも、やはり前売りでは35人ほど、そして雨降り・・・・パトリシアとムッシュクロールが「うん、でもフランス人は当日突然来たりするから50人は入ると思うから安心して!!」と一生懸命なぐさめてくれてたんだけど、開場するとお客さまは100人以上・・・・「私の時でも80人だったよ」とパトリシア。パトリシアの顔をつぶすことにならなくって本当に良かった〜(^^)


「終演後スタッフのみなさんと お世話になりました〜」

8月11日(土)
本番を2つ終え目覚めた朝、一番に思ったことは・・・そろそろおうちに帰りたい・・・。

今日はドイツ・カールスルーエにパトリシアの車で営業に行く。パトリシアのエンジェルたち(アクセル君とエマちゃん)も一緒の2時間ほどの旅。車中天使たちの生BGMを聴きながら高速を快適に走る。この日始めて晴れの日。

この日に会いにいったのはチェンバロを作ってらっしゃるラバスさん。超街中とは思えないほど玄関を入ると静かな敷地に住む「おじいちゃん」を思い出す穏やかな雰囲気の方。なかにはご自宅とアトリエ、アトリエの上には楽器博物館かと思うほどいろいろな鍵盤楽器が並んだスタジオがある。勿論、ラバスさん作のチェンバロを弾かせて頂く。ブリリアントな音色・・・。

ラバスさんはご自身もチェンバロ奏者でいらっしゃるそう。しばらく楽器で遊ばせてもらっているとラバスさんが、「近所にカフェがあるからお茶に行こう!!」と誘ってくださる。「なんでも好きなものをオーダーなさい」と言われ、私はアイスクリームをご馳走になる。これが無茶うま!!アクセル君とエマちゃんも欲しいと言い始めたので、3人でシェアする。それでも山ほどの量・・・・・。

 
「カフェのショーウインドウ」

お茶しながらラバスさん主催のスタジオコンサートで弾かせて欲しいとお願いする。あっさりと「今度来る日程が決ったらすぐに知らせるように!!ギャラがお客さんの入り次第で決るから出来るだけ人が集まる時期を選んでおいで!!」と返事していただく、わぉ〜〜〜〜〜。その後楽器の話をし帰途につく。勿論帰りも天使たちの生BGM付き。この日はパトリシアのおうちで一泊

8月12日(日)
早朝より目覚め荷造り。9時発のルフトハンザバスに乗るため天使たちのキスに見送られ出発、バス停のあるヒルトンホテルでパトリシアとエスプレッソを飲みながら世間話。「じゃぁ2週間後、またね」と見送ってもらう。往きと同じルートをたどり日本へと帰ってきました。


「パトリシア一家・ご主人のクリスチャンはポリ〜スマン」

「見て〜このエマちゃん達のかわいいこと!!」

と、言うわけで今回のフランスでの日々は慌しく過ぎ去ったのです。普通では私なんかはぜったいに泊まれないだろう官邸に泊まらせて頂き、演奏会までさせてくださった総領事庄司夫妻、官邸のみなさん、領事館の上薗さん、他みなさん、海の向こうからやってくるチェンバロ弾きに素敵な経験を用意してくださった音楽祭のスタッフのみなさん、聴きに来てくださった方々、そして忘れてならない名マネージャー・パトリシア、彼女の素敵な旦那さんクリスチャン、フランス語がまともに話せない私に一生懸命話しかけて相手をしてくれた可愛い天使たち・アクセル君とエマちゃん、ここでもまた私はたくさんの方々に助けられ支えられました。

本当に本当に心から感謝しています。ほんとにありがとうございました。もし夢が叶い私と言う存在がいつの日かみなさんの役にたてる日が来ますように・・・と、祈りながら、私はまた音楽と心の精進に励みます・・・見果てぬ夢かな・・・・でも、あきらめずに。