水まわりをワンルームにすることで得られる快適さ

流し台や洗面所などもそうですが、トイレを含む水まわりは、掃除が行き届いた気持ちの良い場所でありたいものです。
そのためには、掃除のしやすさに配慮した設計ができていなければなりません。「洗面室」は、水まわりをワンルームにまとめ、全館暖房を可能にした空間ですが、便器横にゆとりを持たせて掃除用の流しと洗濯機をコンパクトにまとめ、上部に洗剤や石けん・タオル・トイレットペーパー等のストックを収納できる棚を設けた、水まわり専用の「クローゼットのようなコーナー」をあつらえています。流しではお湯が使えるほか、雑巾を掛けるバーも備えてあり、使い勝手に優れています。
機能面は無論のこと、便座に腰を下ろした時の安心感も大切です。ワンルームの空間のなかでも便座はやや奥まった位置にあり、側面と背面は壁に護られていますが、前方には程よいアキがあります。これは車椅子が方向転換できるサイズなのですが、このアキから得られる「開放感」と「安心感」とのバランスが、居心地のよさを左右します。
側面の壁に取り付けられたL型の手すりはオリジナルデザインで、鍛鉄(たんてつ)職人の手によりつくられました。壁のコーナーから突き出るような格好の垂直バーは、手を伸ばすと自然に掴む事ができる位置にあり、体重移動のきっかけとなります。通常水平になっているバーは、やや勾配をつけていますが、このほうが便座に座った際に、より体を安定させる効果があると考えてのことです。

水まわりをワンルームにすることで得られる快適さ

鉄は一般的に冷たい、硬いという印象があるが、人の手で時間をかけて叩き鍛えられた鉄には独特の温かみが感じられ、制作の際に生じる適度な表面の凹凸が握る手にやさしくフィットしてくれる。
手すりの径は、規格のものより細い27mmであるが(住宅用の規格品は32mm)、握り心地はよく、むしろ手の小さい女性やお年寄りにはちょうど良いサイズといえるかもしれない。
不特定多数の人たちが利用する公共建築とは異なり、住宅では手すりの存在は控えめに、そして本当に必要な場所にだけあることが理想であるといえる。
鍛鉄製品制作:Factory-Roots
L型手すり(鍛鉄製オリジナル)
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