作品について -がま口から建築物まで-

モノづくりの過程は、その対象によりさまざまです。たとえば、一軒の建物をたてるためには、数え切れないくらい多くの職人さんの力が必要ですが、グラフィックは一人でも自身の世界を自由に表現することができます。刺し子の製品化は、デザイナーとつくり手の2人による共作となり、布地の染色に始まりあらゆる工程を、すべて自分たちの手で仕上げてゆく面白さがあります。家具は、工程や素材の数だけ、専門家の技術にゆだねなければなりません。
複雑な工程が必要な建築が難しくて、単純な平面作品であるグラフィックが簡単かといえば、そうとはいえず、単純な構成のなかにこそ奥深い世界があります。小さながま口ひとつでも、納得のゆくスタイルに近づくまでに何度もやり直しを繰り返さなければならず、それだけで数年間を要します。しかし、手段や規模は異なっても、モノづくりに対する情熱や姿勢の根本は同じであるように思います。
優れた建築家やデザイナーは、いくつになっても子供の頃想像した 「こんなものをつくってみたい」 という気持ちを、きっと持ち続けているはずなのですから。
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