成年後見制度−−夫婦・家族も「個」の時代

(1)この制度を考える
2004年12月15日の「しんぶん赤旗」は“成年後見制度とは”という記事を載せていますが、これを読んで今まで私が知らなかったことがあるのに気付きました。それは成年後見人が付くと本人の選挙権がなくなること、後見人は手術の同意者、保証人になれないとの記載です。成年後見制度を利用される方はこの点も考慮する必要があります。

私の父は明治31年生まれで私は昭和4年生まれですが、 元々武士の家でしたから、家庭にはいろいろな面で封建的な古風な家族制度の色合いが 強かったものです。一例を挙げると私が言うことを聞かないと父は本家の伯父を連れて 来て、私は伯父に縁先から蹴落とされ、括られて二階の押入に放り込まれた経験もあり ますし、昭和13年弟が生まれたとき、日中戦争で勝利を重ねていた時でもありましたから、名前を「勝彦」にしてはと父に提案しましたら、本家に行って相談してこいとのことで、例の蹴落とされた伯父の所に相談に行きましたが、一喝のもとに「泰彦」にせよとの仰せでした。それは祖母が「屋壽」(やす)という名前でしたから、その「やす」を取られたのです。今日の平和な時勢から見ると「泰彦」でよかった気がします。
結婚後も父と一緒に暮らすのは何のためらいもない当然のことでしたし、家内もまた嫁の当然の勤めとして寝たきりになった晩年の父の世話を10年、父の最後まで朝の洗面の世話から始まってすべてを尽くしておりました。マッカーサーが登場してからこの古い家族制度は占領下の施策として、1947年(昭和22年)急激に改廃されましたが、人間の意識は昭和30年代当時は全く変わらず、敗戦前と変わらぬ生活が各家庭では続いていたのです。このマッカーサー改革は拳闘のボディーブローのように60年経った今日いよいよ効いてきて、生活の中にまで浸透してきています。一番大きいのは相続をめぐる問題で今なお私などから上の世代では意識には古いものがこびりついていますが、50年前にスタートした民法(家族法)のもとでの国内改正法律や新しい世代の人達の意識と老人のそれとの食い違いが深刻な問題を日々現実のものとしてきています。古い時代の家族制度の下、家庭の中で処理されていた介護の問題も、次第に発生する深刻な問題化の中で介護保険制度を生み出すことになったのです。

父の時代は失業保険もなければ、医療保険もなく、年金も辛うじて無拠出の老齢福祉年金が月に3万円程度が晩年支給されるという時代でした。ましてそれ以前の世代は老齢福祉年金さえ皆無でしたから、正に自分の老後は子供に頼るしかなかったのです。それを世代の順送りと子供の方も当たり前のこととして受け取っていましたから、正に親にとって子供は財産であったのです。現在の少子化の原因もいろいろ考えられます。昔は避妊や妊娠中絶が普及してなかったことも子沢山を招いた一因でありましょうが、根源はこの「子供は財産」思想の崩壊にあります。子供は財産でなくなり、膨大な教育費・養育費を必要とする以上の存在でなくなったのです。ここに少子化の流れの淵源があります。ちょっとやそっとのことではこの流れを止めることはできないと思います。

簡単に言うと今日は以前のように、夫婦の片方が禁治産者になれば、もう一方が自然に後見人になると言う時代ではなく、夫婦といえども独立した「個」であって、現代日本社会の問題の一つ、夫婦別姓問題の出現にもこの独立した「個」の思潮が根底にあることが窺えます。家族制度のない現在、家長としての権威で家族を統率するという考えはもちろん過去のことです。家族が「個」として互いを尊敬しあうことができるようなそれぞれの生き方と関係を作らないとこれからの時代は、やっていけないのだと思います。家族についての新しい哲学が必要なのでしょう。

政府は景気振興のために老人が子供達に生前に財産を贈与することを奨励するような税制改革を考えていますが、私はこれも賛成しかねます。財産贈与を受けた子供はその時点では親に感謝をするでしょうが、やがてその気持ちも記憶も薄れ、年を取った親の世話の煩わしさだけがのしかかってくるのです。老人も「個」として、最後まで自分の自由になる資産を固守しなければならないと思っています。簡単に自分の資産を子供に譲ってその見返りに老後を子供に託す時代は、マッカーサーによる民法の変更と共にもはや50年前に消滅しているからです。親もしっかり自由になる財産を持って子供と平等に一人の人間として最後まで渡り合えなければなりません。これは動物としての人間が本来持っている親子の「情」とはまた別の次元の話です。単なる動物でない人間であるが故に、親子間の情を維持し続けるためにも親は独立した考えと自由になる資産を死ぬときまで持たなければなりません。

成年後見は大きく言うと法定後見任意後見とに分かれます。ここでは私の経験した法定後見について記すのですが、任意後見についてもさっと書いておきましょう。

任意後見は高齢者がまだ普通の判断が可能な段階で、万一呆けたときに法律行為を行ってほしいと委任する契約です。任意後見契約はその内容については公正証書で作成することになっています。この契約にも二通りあり即効型契約移行型契約です。即効型契約では任意後見契約を結ぶのと同時に任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てて 任意後見業務の監督をしてもらうのですが、移行型契約ではまだ完全な意志能力がある普通の状態でも受任者に財産管理などの事務を委任するのです。この段階では任意後見受任者は財産の管理をゆだねられるのですが任意後見監督人はなく、受任者に対する監督がありませんので、最近のトラブルもこの移行型で起こっているのです。(注)最近司法書士後見人の法外な費用徴収が報告されました。本人の能力が衰えたとき本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者が家庭裁判所に申し出て任意後見監督人の選任を申し出たとき任意後見契約は発効するのです。本人以外のものが申し立てた場合でも本人の同意が必要な点と任意後見監督人の選任が法定後見との大きな違いです。

法律的に古い形で問題を処理できなくなっていますから、後見も社会の問題として家庭裁判所で処理され、極端な場合適切な人がいなければ市長や司法書士が後見人になる時代なのです。特に我々老人世代はこれまで曖昧の内に過ごしてきたこの変革を、意識の中でもはっきり受け入れ、この変革に対応する措置も現実に取らなければならなくなっていることに目覚めましょう。遺言書の作成の必要性が増してきているのもこの措置の例といえるでしょう。つぎに私が当面した事柄を記していくことにします。

“保険”の項の終わりの方に次のようなことを書きました。『最近経験した事を書きましょう。2003年7月家内が掛けていた簡易保険(養老保険)が1件満期を迎えましたが、家内自身は病臥中で受取に行けないのです。私を受取人と指定する委任状も書けない状態ですので、現状受け取ることができないのです。時間と費用がかかりますが、私自身が法定後見人になる以外に方法はなさそうです。有印私文書偽造という意味では違法ですが、手軽に受け取るには家内の自筆署名すべき所を、娘なりその他誰か女性に署名させて委任状を作ればよかったのです。最近はお金のことに関しては本人確認が大変うるさくなっています。』ご参考までに京都簡易保険事務センター所長からきた公文書もに転載しておきます

介護保険に伴ういろいろな契約例えば呆け老人の施設への入所なども、これからは次第に厳格になって、本人の代わりに署名するのにも成年後見人でないと駄目だという時代になるかも知れません。そこでご参考までに私が成年後見人になった経過を逐次記して行こうと思います。
後見人の仕事は『身上監護』と『財産管理』です。身上監護というのは本人の治療や介護に関係する契約の締結のことです。法定後見制度には本人の判断能力の程度に応じて3つの種類があります。補助・補佐・成年後見です。家内のように意思表示が全くできないケースは成年後見になります。本人の財産について、成年後見人はほぼ全面的な代理権を持つことになります。ほぼというのは本人の居住用不動産の処分の場合には家庭裁判所の許可があらかじめ要ります。家庭裁判所が複数の成年後見人を選任する場合もありますが、私の場合は私だけが成年後見人になりました。成年後見人になれば、東京法務局に登記してもらい、その証明書を交付してもらって家内の代わりに私が契約や交渉をすることが出来るようになります。
裁判所の判断で法定後見監督人が付く場合もあります。例えば介護施設や取引の相手方が交渉相手の法定後見人に信頼が置けなくなったときに、監督人選任の意見書を家庭裁判所に提出することがあるのです。

後見人申立書用紙は家庭裁判所で受け取れます。私の場合は、自宅で 京都家庭裁判所用 コード表を見て、家庭裁判所が扱ういろいろな事項の案内や用紙をファックスで取り出せたのですが今は駄目なようです。しかし現在はインターネットで取り出せます。「後見開始の審判 」の要約、「申立書の記載の方法」と必要な申立書用紙で、成年後見用診断書用紙でした。
申し立てに必要な費用もかなりかかります。私の時は収入印紙600円、郵便切手80円20枚、1000円2枚、40円2枚、500円1枚、登記印紙4000円の他、後日原則として鑑定料10万円程度が要ることになります。
申し立て時に必要な書類は『1.申立書1通  2.申立人戸籍謄本1通  3.本人の戸籍謄本、戸籍附票、成年後見登記事項証明書、診断書 各1通 4.成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、成年後見登記事項証明書 各1通  5.本人の財産が明らかになる書面のコピー(預貯金等の通帳、不動産登記事項証明書など)6.その他係りが指示するもの』となっています。
戸籍附票というのは「戸籍在籍中の住所履歴を公証する書類」ですが、この戸籍附票と身分証明書は区役所で発行してくれます。
成年後見登記事項証明書(発行手数料として500円登記印紙が要ります)は東京法務局に請求します。
なお登記印紙は現在(2011年4月以降)では廃止されて、すべて収入印紙になっています。

(2)私の体験記その1.成年後見人になるまでの記録
進行記録を逐次日記風に報告しておきます。

9月23日 京都家庭裁判所用 コード表を見て、家裁からファックスで必要な書類用紙を取り出す。A4用封筒5枚を準備し、1.申立書 2.本人関係 3.後見人候補者関係 4.本人財産目録 5.その他とした。必要な書類を封筒に分類して入れることとした。これらの封筒をB4用封筒に入れて家庭裁判所に提出することにする。

9月24日書類用紙に目を通し、申し立て用紙に見本を参考にして下書き開始

9月25日家庭裁判所に提出する医師診断書を作ってもらうための資料作成。現在の主治医に用紙と共に渡す。初期の医師から病院も主治医も変わっているので、初期段階の診断の推移を資料として記した。

東京法務局に請求する成年後見登記事項証明書(発行手数料として500円登記印紙が要ります)の検討。
登記されていないことの証明書用紙はインターネットから取り出せる。
  必要なもの:長3サイズの封筒2枚。戸籍謄本2通(本人後見人各1通)。登記印紙500円2枚

  武子預金通帳の写しを作成した。

  区役所に請求する戸籍謄本などの部数検討。
9月25日(木) 中央郵便局で下記購入。

登記印紙:
4000円1枚、500円2枚,

収入印紙:
600円1枚、

郵便切手:
1000円2枚、500円1枚、80円20枚、40円2枚、
(実際はこれでは足りずさらに10円切手5枚を申立書提出時に追加請求された。)
                 金額合計:9,780円

9月26日(金)区役所:戸籍謄本4(法務局・申立人・本人・成人後見候補者用。実は申立人と成人後見候補者が同一人であれば2通は入らず1通で良い)、本人戸籍附票1,成年後見人候補住民票、同身分証明書の交付申請・受取

    東京法務局宛「登記されていないことの証明申請書」に500円登記印紙を貼付のうえ返信用封筒同封して発送。本人分及び成人後見人候補者分

9月28日(日)提出に必要な書類の整理
 請求されていなかったが、参考資料として簡易保険事務センター所長からの通知の写しと本人の病歴写しも作る。これは申立と一緒に提出したが、作っておいたことは正解だった。診断書と法務局からの書類待ちの状態。

10月1日(水)午前来診された神経内科医平松先生に診断書を依頼。午後、診療所から完成の連絡があり受け取る。手数料2000円(税別)。

10月2日(木)東京法務局から「登記されていないことの証明書」届く。土・日が間にあっても1週間で届いたことになる。

10月3日(金)申立書下書き再読。点検。

10月5日(日)申立書清書。(パソコンで清書、プリントアウトしたが文面がそのままハードデスクに保存できるので好都合だった)

10月8日(水)申立書家裁に提出。(家事都合上今日になった。郵送もできるが、話し合えるので自分で持参した)着手以来約半月を費やした。申立の説明書の通り印紙・切手類は揃えて行ったのに、家裁ではさらに10円切手5枚を請求された。これは申立の説明書きに欠陥があると思われたので行政監察局に修正をするよう申し入れておいた。

提出が終わってから、これに記入して送って下さいと言われたのが「照会書」。今日は帰ってからこれへの記入に追われた。本人のことなのだが,大きく分けると4分野のことを記すのです。

1.は本人の経歴、結婚してから何時子供を産んだかや病歴、職歴など記入する必要がある。障害者手帳の写し、介護保険の介護度等級認定書の写しも必要で、さらに本人の両親、兄弟姉妹、子供などの氏名、住所、電話等も記します。
2.は、本人の収入(年金その他)
3.は本人の支出(医療費・介護費。オムツ代など)の内訳
4.は本人の財産についてで普通預金に至るまで1円単位で書いて資料コピーを付けて提出しなければならない。

財産だけでなく収入・支出他すべてについて裏付ける資料のコピーを付ける必要がある。コピーの作成で疲れた。裁判所では財産と日常の収支のバランスに注目しているのだろうと思う。

これから最低約2ヶ月は家裁の調査が展開され、その上での審判です。決定までの期間は4ヶ月以内ということが多いようですが、6ヶ月以上というケースもあるようです。

審判の手順としては

(1)事務官が書類をチェックする 
(2)裁判官が家庭裁判所調査官に事実の調査を命じるか、直接、当事者に事情を聴く
      審問を行う。 
(3)家事審判規則24条は「精神の状況について医師その他適当な者に鑑定をさせ
      なければならない」としているので、原則的には鑑定が行われます。東京家裁の
      例では鑑定費用は凡そ10〜15万円です。申立人に請求されます。
(4)裁判官は、提出書類、調査結果、審問の結果などに基づき審判書を作成する。
(5)審判の内容に不服がある場合には、高等裁判所による再審理を求めること
     (即時抗告)ができる。
 

当分は結果待ちということになります。

10月12日(日)、11月に予定されているわたしの入院先と期間、またその間の家内のショートステイ先と期間を家庭裁判所に手紙で申告(申告について指示があるわけではない。入院中に連絡の電話がはいっていたが、調査官がこの手紙を思い出して下さって不都合を生じなかった。私の着想は正解でした)。

10月23日(木) 12日に11月の予定を申告したためか、調査官から入院期間を避けて11月4日に約1時間半面談したいから裁判所の調査官室に『この書類を持参の上出頭するよう』連絡が来た。家内に対する面接も後日この調査官がされる予定と書かれていた。11月4日訪問する旨葉書で返信した。

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11月02日(日)

  本日、成人後見制度をもっと発展普及させるために、「日本成年後見法学会」が発足することが報ぜられた。弁護士、医師、福祉関係者などなどで構成。(NHK)

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11月04日(火)

10時に家庭裁判所家事調査官にお会いした。一つは申立人である私から家内の状況(経歴・病状・兄妹・収支状況)を確認の意味で訊くこと、もう一つは成年後見人候補としての私がどういう人物であるかの調査(学歴・経歴・家族・財産・生活特に経済的基盤・収支のバランス・貸借・健康状態・居住状態など)に目的があったようです。また法定後見についての見解も求められました。
既に、先方から要求されなかった本人の今日までの詳細な病状記録、簡易保険事務センター所長からの公文書の写しなども申立と同時に提出し、今日も、私のホームページインデックスページのプリント、昨日撮った病床の家内のデジカメ写真をプリントしたものを持参し、すべてありのままに伝えたこともあってか、本来鑑定医の鑑定がいるけれどもお宅の場合は鑑定医が出向いても新しいことが出てくると思われないので鑑定医の派遣は省略しようと思うとも言っておられました。家内は現在神経内科の先生の1ヶ月ごとの診察と毎週の内科医の診察を受けているのですが、裁判所に申立には神経内科の先生に診断書作成を依頼しました。今日の鑑定医省略の意向には内科医ではなくてこの神経内科医の診断書提出が大きく働いたように思いました。
ただ手続き上子供さんには確認する必要があるが、文書で照会するのは略して電話で確認するということでした。
26日の本人面接が終わればお宅の場合は、出来るだけ早く調査書を作成するとも言っておられました。本日、面談の所要時間は正味1時間。

雑談で日本成年後見法学会のスタートを話題にしたとき、既に介護施設と本人との契約にあたり、本人に契約能力がない場合、成年後見人との契約を行っている施設も増えてきているとのことでした。

11月05日・06日(水) 昨日の家事調査官宛3人の子供に電話連絡される適切な方法・時間について家庭裁判所宛葉書で連絡しておいた。長女・長男の勤務先番号、次男の勤務先電話番号並びに携帯電話番号。

11月13日(木)・13日(金) 私の入院中に家裁の調査官から、裁判所に連絡するようにとの連絡が入っていた。その後調査官も私が予め連絡しておいた入院に伴う不在に気づかれたようで、留守電に連絡があった。「26日に予定していた本人との面接もお宅の場合は診断書やコピーでよく分かったので、その必要が無いと判断しました。本日付で裁判官に報告書を作成し提出しておきます。後日あなた宛に決定書が届きます」とのことで一件落着と言う段階にどうやら達したようです。後は、審判の結果と法務局への登記完了を待つだけになりました。

私のケースは所要費用は戸籍謄本など区役所支払分1,650円、家裁分9830円・東京法務局に500円・医師の診断書2000円で総額13,980円(審判と同時に使われなかった分として2,250円分が返還されたので、実質総額11,730円)、申立から決定まで2ヶ月10日でした。費用も期間も最短距離で進行したと思います。
振り返れば、その原因は@家内の実家も含めて、家族内で完全な合意が存在したことA申立時の診断書を内科の先生でなく、神経内科の先生に書いて頂いたことB裁判所から要求されなくても参考になると私が判断した資料を出来るだけA4判コピーの形で提出したこと。と思います。裁判所でファイルされる上で用紙の大きさはA4に統一されているようでしたから。内容としてはなぜ成年後見を申し立てるのかその理由を示すもの(私の場合は簡易保険サービスセンター所長の法定後見人にしか保険金は支払えないという公文書)・私の入院期間・調査官が子供への問い合わせされる場合に連絡が着きやすい場所の電話番号、携帯電話番号など・私のホームページに書いた成年後見についての考え、ケアについての考え、私の財産関係などもどうか必要ならご覧くださいとホームページインデックスをプリントアウトしたもの・またAと共に家内の現状を示すデジカメ写真をプリントアウトしたものの提出が家庭訪問の必要がないという調査官の判断を招いたことなどが思い起こされます。

11月20日(木) 本人(被法定後見人)及び私(法定後見人)宛に同文の家庭裁判所からの審判書の謄本2通が19日付で家事審判官から送られてきた。同時に先に納付した郵便切手の内、使われなかった分として2,250円分が返送されてきた。法務局への登記はこの時点では家庭裁判所が登記嘱託をしてくれるので、私はなにもしなくてよい。1ヶ月以内に本人の財産目録を作成し裁判所に提出せねばならず、これが必要な仕事になる。インターネットで調べると次の文章に出会った。

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告知後,二週間後に審判が確定します。
▼ 嘱  託   	家庭裁判所から法務局に審判の内容が通知(嘱託)されます。
▼ 登  記   	登記ファイル(コンピュータシステム;ディスクに)に審判の
内容のうち所定の事項が記録されます。
登記が完了すると,後見人等の限られた方からの請求により,その内容を証明する
「登記事項証明書」が発行されます(平成12年4月1日以降の審判の内容は,
従来のように戸籍に記載されることはありません)。
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こういうわけで、審判書の謄本が届いた日から更に2週間が滞りなく経過しなければ、 この判決が「確定した」とはみなされないのです。 許可された日から2週間すると、家庭裁判所に『確定証明書』を申請できるので審判書の謄本と共にこの確定証明書も申請交付してもらって、始めて保険金を受け取ったり、銀行に成年後見人が付いていることを知らせるなどの手続きが出来ます。1枚あたり150円の手数料は収入印紙で納付します
法務局の「登記事項証明書」を使うことも出来ますが、こちらは1通申請するのに1,000円の登記印紙が必要です。簡易保険金を受け取る郵便局ではこの法務局の「登記事項証明書」の提示が求められます。

11月26日(水) 本人の財産、収入・支出目録を家裁宛に送付。すべての項目にそれを裏付ける証票のコピーが必要で、その作成に神経と時間を費やした。

12月12日(金) インターネットで取り出した申請書を使って,東京法務局民事行政部後見登録課に「登記事項証明書」の送付を郵便で依頼。
12月22日(月) 「登記事項証明書」が届いた。早速郵便局で保険証書と私の本人確認のもの(私は住民基本台帳カードを提示しましたが、健康保険証や運転免許証でも良いのです)と、「登記事項証明書」を提示して簡易保険満期金の受取手続きを進め、受領しました。

(3)私の体験記その2.成年後見人は大変です。
司法書士の皆さんは平成11年12月に社団法人成年後見センター・リーガルサポートを設立されました。全国にある単位司法書士会ごとに支部も設置されており、今後の大切な業務と考えておられます。何故でしょうか?身寄りのない老人で成年後見を必要とされる場合にセンターの指導監督の下に積極的に後見人を引き受け、これを一つの業務として月額1件3万円程度(各地方自治体が支給する成年後見制度利用支援事業助成金の限度(基準)額は2万8000円となっています。ここからこの報酬金額が出てきたのだと思えます)の固定した収入源ともしようという試みのように見えます。確かに身寄りのない老人で成年後見人を必要とされる場合も多くなることでしょうから、社会的にも意味のある業務と思います。しかしこれまで自分が成年後見人になるまでは、正直な所、「この料金は高く良い商売になるのやな」と思っていました。

自分がなってみると、法務局へ登記が終わればすべて終わりという甘い考えは誤りだったことに気付かされます。それどころかむしろそれからが開始なのです。日々すべての本人名義の収支は「別個に新しく作った金銭出納帳」に細かく記載し,その証票はすべてA4判の大きさの用紙に貼付して保存しなければなりません、また1ヶ月ごとに家裁の指定した書式で収支を分類集計して表にしなければなりません。裁判所から交付されたハンドブックによると定期的に裁判所の要求に応じて、これを提出することになるので、日頃から完璧な記録資料を作っておかなくてはならないのです。こういう細かいかつ精度の高い事務の遂行という点から考えると、司法書士の皆さんが要求される報酬も決して高いとは思えなくなりました。

2004年12月10日(金) 京都家庭裁判所から書記官名で後見事務照会書が届きました。1月25日までに主として財産関係の報告を提出する様にとのことです。不動産や株式・投資信託・その他報告を裏付ける証票を取りそろえなくてはなりません。預金は最新の通帳の内容・預金証書のコピーを付けなくてはなりません。報告した者には後日是正するべき点の指摘があり、次回までに対応措置をとって報告する必要があります。本人の保護が後見人の仕事だと改めて認識させられます。収入・支出の証票は3ヶ月程度のものを要求されます。私は証票は10〜12月の3ヶ月分にしますが、日常の出納簿とその1ヶ月ごとのまとめはこの一年分を提出する予定で整理を進めています。家裁には要求されている以上に資料を提出する方が申請者を信頼して頂けることを後見手続きの中で痛感したからです。日常家内名義の収入・支出は直ちにもらさず正確に記録し証票は保存することが大事です。この仕事がなかなか大変です。後見人になるための手続きも大変ですが、なってからの仕事もそれに劣らず大変です。

2005年01月19日(水) 野村證券から12月30日付の家内の残高報告書がやっと届いたので、証票がすべて揃いました。付けた資料は19点にのぼります。書類はすべて来年に備えてコピーをとった上で、京都家庭裁判所へ郵送しました。肩の荷が降りた感じです。日頃出納を正確に記録し、領収書類を保存することが大切です。提出書類はすべてA4判の用紙に整理する必要があります。

2005年02月4日(金)家庭裁判所から先に提出した報告に対する講評が届きました。要変更点は簡易保険保険金は利回りと安全性も考えて、野村證券の豪ドルMMFに入れていたのですが、これが投機性という点で問題だとされました。家裁はこれを銀行か郵便局にと考えているのでしょうが、ペイオフも実施される今日この頃必ずしも安全ともいえますまい。次の報告は2006年2月頃とあり、次回また指摘されるかとも思うのですが、私の経験から手堅く、配当の良い三洋化成とホギメディカルの株を家内の名義で購入し、証券保管振替機構に野村證券を介して寄託しました。

2006年01月20日(金) 昨年よりもほぼ1ヶ月遅れで家庭裁判所から報告を求めてきました。これには改正すべき点も指摘してあり、@元金が保証されていない株式の購入はいけないA出納では家内の分を明確に分離せよ、の2点でした。早速株式は売却し中央三井信託の定期預金に分類される「スパート」を購入しました。家内の分の出納の分離は在宅介護では例えば光熱費の分離勘定などは実際上不可能なので、しばらく考えたいと思っています。毎年報告を求められるのかと思っていましたら、次回は「平成20年」と記してありました。

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