いま考えていること 174(2004年05月)
――米大統領選挙世論調査(5月23日現在)――

先にいま考えていること 167(2004年03月)でワシントンポスト−ABCが共同して3月4日 から7日にかけて行った1202人を対象とする世論調査の結果を紹介しましたが、 5月20日から23日にかけて1005人対象とする世論調査を電話で行っています。 調査大項目は39、さらに小項目に分かれているものもありますが、紹介するのは3月と5月の結果を比較できるものを中心にします。

今後の推移が注目されブッシュへの批判も強まってきてはいるのですが、ケリーへの信頼感がむしろ落ちてきていますから大統領選の行方はまだなんともいえないようですね。

ブッシュの大統領としての仕事ぶりは如何ですか
               3月    5月
    是認(%)           50          47
    承認できない(%)        48     50
        意見なし(%)       2           3
  
◆ブッシュの「経済問題」のやり方(手口)は如何ですか
               3月    5月
    是認(%)           39          44
    承認できない(%)        59     54
        意見なし(%)       1           2

◆ブッシュの「イラク問題」のやり方(手口)は如何ですか
               3月    5月
    是認(%)           46          40
    承認できない(%)        53     58
        意見なし(%)       1           2

◆ブッシュの「テロ撲滅キャンペーン」のやり方(手口)は如何ですか
               3月    5月
    是認(%)           63          58
    承認できない(%)        34     39
        意見なし(%)       3           4
    
◆今年の大統領選に対する関心
               3月    5月
    大いに(%)          33          33
    多少(%)                42     41
        あまりなし(%)     18          17
    全くない(%)            7           9
        意見なし(%)       0          *
◆仮に今日大統領選が実施されたらどちらを選びますか
               3月    5月
    ブッシュ(%)       42          45
    ケリー(%)              47     44
        ネダー(%)         5           6
    棄権(%)                 3           2
    意見なし(%)             2           1

◆投票にあたって重視する問題は(多い方から少し挙げます)
                  3月    5月
    経済と雇用(%)         36         32
    テロ反対キャンペーン      17     14
        イラク戦争              10         18
        教育             8         8
        
             以下略 

◆主要問題の処理手腕でブッシュがケリーを上回った項目は整理しますと
次の2項目だけでした
               3月    
                       ブッシュ    ケリー
    テロへのキャンペーン(%)            57            36  
    同性愛結婚(%)                  44       43
                              5月
                       ブッシュ    ケリー
    テロへのキャンペーン(%)            52           39  
    イラク問題(%)                  48       42
    経済についてはケリーが上回っていますが、5月になって優位は落ちています。
                 3月    5月
    ブッシュ(%)           41          43
    ケリー(%)                  53     48

◆イラク戦に払ったコストと戦争で得た利益をどう評価しますか
                    3月    5月
    戦っただけのことはあった(%)   52          48
    利益はない(%)                    44     50
        意見なし(%)                 3           1

◆ブッシュ政権はイラク処理の明確なプランを持っているのでしょうか
               3月    5月
    はい(%)           43          40
    いいえ(%)              53     58
        意見なし(%)       3           2
◆イラク戦は長い目で見てアメリカの安全に貢献しますか
               3月    5月
    はい(%)           57          54
    いいえ(%)              40     43
        意見なし(%)        3           3
    
今回の世論調査結果を見ますと、ケリーに対する支持は3月よりも下がってきているようです。その点をブッシュ・ケリー両候補の素質についての結果を見てみます。

                    −−ブッシュ−− −−ケリー−−
                    3月   5月   3月   5月
                   yes  no yes   no   yes  no  yes   no
正直で信用できると思いますか           54  45   53  45    59   30   48   42
人々の問題点をよく理解していますか     41  57   42  57    58   34   52   43
強い指導者ですか                       63  36   62  37    61   29   52   38
自分の職務に忠実ですか                 79  20   75  24    41   48   41   50
違った意見に耳を傾けますか             ー −   49  50    −  −   69   25
国をさらに安全にしてくれましたか       ー −   52  47    ー  −   39   50
 危機に当たって信用できますか           ー −   60  39    ー  −   46   42
あなたと価値観を共にしていますか       ー −   49  50    ー  −   48   46




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いま考えていること 175(2004年06月)
――雑 感――

◆G8を控えた日米首脳会議で小泉首相は多国籍軍への自衛隊参加を約束してしまいました。国連安保理事会の1546決議で武力を行使しない人道復興支援活動が多国籍軍の任務に付け加えられたことを根拠としています。イラク特措法の審議で非戦闘地域について大変な議論があったことも何ら考慮されることもなく、なし崩し的にアメリカを主体とする多国籍軍に自衛隊を組み込む試みは将来に対し大変危険な動きです。私は憲法改正についていま考えていること 164(2004年02月;5月)―中曽根さんの憲法論議(サンデープロジェクトでの発言)―にも書いたように憲法は理想論ではなく現実に日本の最高の法律だから現実に即して改めればよいと思ってはいるのですが、このような事態を眺めると、現在の憲法が日本をアメリカの戦争体制に組み込む目論見に、大きなストップをかけている事実を否定できません。第9条がなければ自衛隊はためらうことなく、戦う兵力として実質アメリカの指揮下にある多国籍軍に組み込まれていたでしょう。アメリカ軍の展開が見直される中アメリカは自衛隊基地を駐留軍と共用したい様ですから、 極東の戦力を自衛隊に肩代わりさせたいことが見え見えです。小泉さんといえども公務員として真っ向から憲法を否定する言葉や行動をとることはやはりできず、アメリカも正面から日本国憲法を否定することは控えています。第9条の改訂をもっとも期待しているのはアメリカ政府だといえましょう。いったん憲法を現実に併せるような動きを許すと、今回の自衛隊の多国籍軍への参加を国会の審議も経ないで許すような結果になりそうですから、当面現憲法を守る立場で進みたいと思います。今回のG8は議長がブッシュ大統領で大統領選を意識したブッシュ氏の動きは最大の選挙運動の場として自己を際立たせる意図で貫かれていましたから、G8の果実として喧伝されるものも覚めた見方をしなければならないと思っています。独仏の首脳辺りはそのことをよく知っている感じがします。

アルカイダとイラクの関係も否定され、大量破壊兵器も発見できず、アメリカのイラク攻撃は独断による侵略戦争であったと言わざるを得ません。これをいち早く支持した小泉さんの態度が自衛隊をイラクに派遣させ、アメリカとの関係を深めてしまって、わが国憲法を脅かしているこの歴史を忘れてはならないと思います。

◆先に三菱東京FGがアコムへ出資を決めましたが、今度は三井住友FGがプロミスに出資を決めました。預金者からはほとんど金利ゼロのお金を集めて、高利貸しともいうべきサラ金にこの資金を廻し、収益力強化というと表現は穏やかですが、かなりの金利を稼ごうという腹なのですから、サラ金から借りている庶民はたまったものではありません。銀行の品位も落ちたものです。

◆年金問題では凡そ抜本的改革とは言えない結果であることは誰の目にも明らかですが、昨日も2003年の合計特殊出生率が1.29を示し、とても政府の言っている前提が成り立つことはあり得ないことが予想されます。審議を通じて明らかになった議員の国民年金掛け金の未納付は国民にいよいよ不払いの傾向を強めるでしょうからこの面からも現行制度は崩壊するものと思われます。すべてが架空の幻想の上に組み立てられた今回の案はいくら国会を形の上で通過したと言っても、みんなが信頼できない改革ですから、いずれは崩壊するでしょう。基本的に発想を変えた案を作らないと、家族制度も無くなっている現在、これからの老人は年金のない生活を考えなければならず大変です。

◆私のような古い宗教的な「」の思想の中でも生きた経験を持つものには、天皇家に男子が誕生しないのも、前の戦争で「天皇陛下万歳」といって生への執着を持ちながら亡くなっていった「英」達のある種の天上での想念の凝集かも知れないと思えてくるのです。高松宮家には子どもがなく、三笠宮家でも現世代は女子ばかりの出生です。私は科学者ですが、科学では割り切れない運命現象も経験上ないとは言えないのです。小泉さんも靖国神社に参拝されるなら、ただ平和を祈る、国への尽忠報国を讃えるのでなく、台湾・朝鮮出身英霊にも通じる怨みを呑み生への執着を持って亡くなっていった人々の魂を鎮めるための参拝であってほしいと思います。これは、日本の神社本来の伝統の一つなのです。京都の白峰神宮、北野神社、上御霊神社、下御霊神社創建の主旨にさかのぼり見られる神社の姿でもあるのです。天皇家の為にも。

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いま考えていること 176(2004年06月)
――竹中氏の参議院選立候補について――

竹中平蔵氏が参議院選に、自民党比例代表候補として出馬することが決まりました。心情としては政治家になるよりも、学者でいてほしいとは思うのですが、いろいろの評判の中で経済面での小泉改革を実質導いてきた人ですから、やはり政治家としての責任をはっきりさせる為に自民党からの出馬も当然の帰結と思えます。このホームページで私は一貫して竹中路線を基本的には認めてきました。この内閣は将来の日本について、ことに対米関係で重要な危惧を生み出してきているのですが、当面の経済再建には竹中方式しか現実的ではないと思っているのです。最大の評価点は公共投資を縮め、補助金政策を転換して民間の力に委ねる路線を執ったことです。国家財政の行き詰まりが主因ではありましょうが、民間に政府を頼らずに自力で困難を打開しようとする気風を回復させたことは、私の人生観とも一致するので、評価するのです。そのためにリストラや所得の減退など重要な副作用を招き、国民にも苦痛を与えたことは否定できませんが、今までの政治の精算を行おうとするとこの基本姿勢は正しいと思います。今後も抜本的な年金制度の構築と国家財政の赤字、銀行の不良債権の解消は避けられない問題です。この大きい改革をプランでき、実行できるのは当面竹中氏しかなさそうです。その意味でも自民党からの参議院選立候補は竹中氏にとって避けられない運命であったと思います。

民主党は今ひとつ信頼できません。歩む道は苦渋に満ちています。妥協すべきでないところで与党に妥協したり、年金問題の採決で執った作戦も賢明さが窺えませんでした。参議院選でも自民党を破るだけの支持は期待できないと思います。共産党は数が少なくまた大企業の回復を基本的に支持できず、年金の一人当たり5万円支給案でもその財源は専ら大企業からの吸い上げに依存する考えですから、現実の政治を動かす力には当面なれない党だと思います。しかし前回でも述べたように、現行憲法の擁護を真正面に掲げ、政党助成金に頼らず出版収入と党員からの党費とで主に運営を賄うある種の純粋さは評価でき、共産党の存在を嘗てのように許さない日本にはなってほしくないので、頑張ってほしい党です。

公明党はともかく自民党は参議院選挙後も政権を確保するでしょう。この間国会で強引に通した年金案の破綻する前途は、おそらく自民党の皆さんもよーく分かっていることと思います。人口構成がすっかり変わっているので遠からず抜本的な改革に迫られます。竹中氏が参議院選で民意による公認が得られれば自民党内からの反撃も殺がれるでしょう。小泉・竹中コンビが選挙後の政治−−財政改革・年金改革・不良債権処理など−−のリードをとり続けることになるでしょう。郵政民営化担当にだけするには惜しい人材と思います。

(7月12日追記)昨日の参議院選の結果は、肯ける結果であったと思います。自民党の退潮は当然ですし、公明党の応援を受けてやっとこの結果を維持できたのです。しかし竹中平蔵氏の上位当選は結構なことでした。2位の西島氏は日本医師会をバックにしての当選で基本的には小泉改革反対の立場です。国民の医療を守るための立候補と言われても、根本は医師自身の権益擁護の代表です。未だに自民党内には小泉改革反対勢力は根強く、早くも次の内閣改造は派閥の意向を反映させよという動きが頭をもたげ復活しようとしています。私は自民党反対の立場ですが、公平に見て、現在の日本は最早財政的にも余裕はありませんから、以前の様な自分の利益を優先させたバラマキ財政はしようとしてもできなくなっています。ですから方向としての竹中改革を評価しているのです。竹中氏が選挙に勝利されたので、小泉氏が賢明であれば党内の懐古派の意向に耳を傾けるのでなく、より一層竹中路線を徹底する事が可能です。

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いま考えていること 177(2004年06月)
――米大統領選挙世論調査(6月21日現在)――

先にいま考えていること 167(2004年03月)でワシントンポスト−ABCが共同して3月4日 から7日にかけて行った1202人を対象とする 世論調査の結果およびいま考えていること 174(2004年05月)で 5月20日から23日にかけて1005人を対象として行った世論調査結果を紹介しましたが、6月17日から20日にかけて1201人について同様に行った結果がワシントンポスト紙に出たので5月の結果と比較しておきます。

調査大項目は39、さらに小項目に分かれているものもありますが、紹介するのは5月と6月の結果を比較できるものを中心にします。

今後の推移が注目されブッシュへの批判も強まり、ケリーへの支持が強まってきているようですが、今後の動きが注目されます。大統領選の行方はまだなんともいえないように思います。

ブッシュの大統領としての仕事ぶりは如何ですか
               5月    6月
    是認(%)           47          47
    承認できない(%)        50     52
        意見なし(%)       3           1
  
◆ブッシュの「経済問題」のやり方(手口)は如何ですか
               5月    6月
    是認(%)           44          46
    承認できない(%)        54     53
        意見なし(%)       2           1

◆ブッシュの「イラク問題」のやり方(手口)は如何ですか
               5月    6月
    是認(%)           40          44
    承認できない(%)        58     55
        意見なし(%)       2           2

◆ブッシュの「テロ撲滅キャンペーン」のやり方(手口)は如何ですか
               5月    6月
    是認(%)           58          50
    承認できない(%)        39     48
        意見なし(%)       4           2
    
◆今年の大統領選に対する関心
               5月    6月
    大いに(%)          33          33
    多少(%)                41     45
        あまりなし(%)     17          15
    全くない(%)            9           7
        意見なし(%)       0          0
◆仮に今日大統領選が実施されたらどちらを選びますか
               5月    6月
    ブッシュ(%)       45          44
    ケリー(%)              44     48
        ネダー(%)         6           6
    棄権(%)                 2           0
    意見なし(%)             1           1

◆投票にあたって重視する問題は(多い方から少し挙げます)
                  5月    6月
    経済と雇用(%)         32         26
    テロ反対キャンペーン      14     19
        イラク戦争              18         19
        教育             8         9
        
             以下略 

◆次の9つの主要問題の処理手腕の6月時点での評価を比較しておきます。
ブッシュがケリーを上回った項目はイラク問題だけでした。
               ブッシュ    ケリー      1.経済             45 50 2.イラク情勢 50 45 3.教育 42 52 4.連邦の歳入欠陥 44 48 5.老人への薬の処方 38 50 6.テロへのキャンペーン 47 48 7.健康対策 37 58 8.税金 40 53 9.国際 43 51 ◆イラク戦に払ったコスト(戦死者の数も含め)と戦争で得た利益をどう評価しますか                     3月    5月   6月     戦っただけのことはあった(%)   52 48    29      利益はない(%) 44     50 71 意見なし(%)       3 1 1 ◆ブッシュ政権はイラク処理の明確なプランを持っているのでしょうか                3月    5月 6月     はい(%)      43 40     48     いいえ(%) 53     58 50 意見なし(%)       3 2 1 ◆イラク戦は長い目で見てアメリカの安全に貢献しますか                3月    5月 6月     はい(%)      57 54 51     いいえ(%) 40     43 46 意見なし(%)      3 3 2      新しい項目から: ◆イラク戦は世界の他の諸国にアメリカのイメージを悪くしたと思いますか                 6月     はい(%)          77     いいえ(%)    23  意見なし(%)      1 ◆戦死者の数から考えてイラクの秩序が回復するまで軍を駐留させるべきですか
、それとも引き上げるべきですか
                      6月     駐留させるべき(%)     57     引き上げるべき(%) 42  意見なし(%)      1 来るべき12ヶ月を考えてどう思うかと言う設問が6月にはある。

この国の状態はうまく行く                 6月     はい(%)          62     いいえ(%)    36  意見なし(%)      2 ◆イラクの状況はよくなる                 6月     はい(%)          52     いいえ(%)    45  意見なし(%)      3 ◆テロ攻撃に対する国の対策は大丈夫と思う                 6月     はい(%)          66     いいえ(%)    31  意見なし(%)      3 前大統領クリントンについて:(民主党への郷愁というつもりで読んだのですが!) ◆大統領としてよくやったと思いますか                 6月     はい(%)          62     いいえ(%)    37  意見なし(%)      1 ◆個人としての彼をどう思いますか                 6月     好ましい(%)       50     いやな人物(%)  49  意見なし(%)      2 今回の世論調査結果を見ますと、ケリーに対する支持は次第に上がってきているようです。その点を
ブッシュ・ケリー両候補の素質についての結果で比較しましょう。                     −−ブッシュ−− −−ケリー−−                     5月   6月   5月   6月                    yes no yes no yes no yes no 正直で信用できると思いますか 53 45 39 * 48 42 52 * 人々の問題点をよく理解していますか 42 57 36 * 52 43 56 * 強い指導者ですか 62 36 51 * 52 38 43 * 自分の職務に忠実ですか 75 20 * * 41 50 * * 違った意見に耳を傾けますか 49 50 * * 69  25 * * 国をさらに安全にしてくれましたか 52 47 54 * 39  50 40 * 危機に当たって信用できますか 60 39 53 * 46  42 41 * あなたと価値観を共にしていますか 49 50 46 * 48  46 48 * *は6月では調査されなかった。

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いま考えていること 178(2004年06月)
――イラク暫定政府――

2004年6月20日迄に15省庁の行政権限がイラク暫定政府委譲されましたが、先週さらに内務、財務、国防など11省庁の権限もイラク政府に委譲されました。30日に予定されていた主権移譲は28日午前10時(日本時間同午後3時)すぎに前倒しされ、CPAと暫定政府関係者の記念式があり、イラク暫定政府が発足しました。

NHKラジオ第一放送朝のニュースアップは今日から3日間これに関していろんな意見を紹介するというので今朝は京大大学院教授の某氏が登場していましたが、要点は国連の支援を強めること、そのためには日本は国連拠出金第2位の国だからこの点に関して発言を強化し、国連にイラク政府を支援させることに力を入れようと言うことでした。これを聞いて私は日本に独・仏などを含めて他の国々に国連支援を説得し、リードしていく力があるだろうかと思ったものです。その理由はブッシュのポチといわれる我が小泉首相はアメリカが国連無視の行動を起こした時には、国連のコの字も言わなくなっていたのですから。教授も先ずアメリカ一辺倒からの脱離を勧めた上で国連重視を説き、国連内部での日本の説得の役割を説くのが、本筋であったのではないかと思ったものです。京大大学院教授の肩書が泣く話しでした。

イラクでは政権委譲が終わっても、国防省には10人の、他の省庁にも同様のアメリカ人顧問を配置するといいます。思い起こすのはかっての満州国です。当時満州国の樹立は国際的な批判を浴びたのですが、満州国の仕組みに似た体制がイラクでも執られるのではないでしょうか。ウィキペディア によりますと満州国行政機関“国務院”の長、国務院総理は、満人でしたが、実際の政治運営は日本の駐満州大使と関東軍司令官の指導下にあり、各省の大臣は皇帝溥儀任命の満人でありましたが、各省庁の次官・長官は関東軍任命の日本人で、「内面指導」の名の下ですべての局面で行政の実権を握っていたのは日本人だったのです。

 
イラクの混乱は政権委譲後も続くと思います。

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ホルブルック米元国連大使は語る
     "プールに水があるかどうか分からないままに、
         飛び込み台から飛び込むようなものだ。”

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いま考えていること 179(2004年07月)
――曽我ひとみさんのこと(U)――

2004年7月2日の報道は曽我さん一家がインドネシアで会合し、家族水入らずで懇談できる喜びであふれています。私も率直に喜びたいと思います。しかし物事というのは一時の興奮した状態で判断してはより大きい悲しみに後悔しなければなりません。この問題についてはいま考えていること 117(2002年11月;2003年4月)に書きましたが、その主旨は国の意向にかかわらず、今度こそ曽我さん一家の幸せを中心に考えよう、そのためには曽我さんが再び朝鮮に帰られるのも一つの道だという風に主張したのです。

今回のインドネシアでの遭遇について、それが当分続けられる、あるいは極端な場合曽我さん夫婦が、一生をその地で幸せに送られるのならそれもよかろうと思うのですが、もし伝えられる様にたかだか1ヶ月程度で、その後どうするかは御本人達の話し合いで決めろというのであれば、それは政府の無責任な、事の運びとしか言えません。なぜなら一家が仮に日本へ揃って帰ることを望まれたとしても、ジェンキンスさんのアメリカ引き渡し問題が、日米両国家間で解決していないと、曽我さん一家の希望を実現することはできないからです。一家が揃って暮らすことが可能な土地はインドネシアか北朝鮮しかないからです。再び一家は日朝に分かれてそれぞれ帰国することになるかも知れません。

一時的な一家のインドネシア滞在は手放しで喜ぶことはできないのではないでしょうか。

(7月8日追記)曽我さんは今日ジャカルタに向けて出発されました。明日御家族をジャカルタで迎えられる運びです。 一部にジェンキンスさんの日本帰化をウルトラC にして来日を考えている人もいるようですが、簡易帰化条件でも


  1)日本人の配偶者 : 住所条件が緩和され、能力条件が免除されています。
                                  
     − 住所条件は、次のどちらかで足ります。

        ・ 引き続き3年以上、かつ、現に日本に住所を有すること

        ・ 婚姻後3年経過、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有
           すること

     −  婚姻が日本法上有効に成立していることが必要で、内縁の配
         偶者には適用されません。

となっていますから、不可能です。政府が米国政府と脱走兵訴追の免除を獲得する必要がどうしてもあります。

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いま考えていること 180(2004年07月)
――またおかしな事が起こりそう――

手術後のジェンキンスさんの病状が思わしくないというので、日本に強引に療養に連れてこようとしていますが、ジェンキンスさんは曽我さんのご主人ではありますが、イコール日本人ではありません。おそらく未だに米国国籍を持たれ、身分は朝鮮民主主義人民共和国に投降してきて抑留されている、あるいは捕虜になっている、保護されている人であると思われます。ですからインドネシアの北朝鮮大使が言うように「彼らは公用旅券で北朝鮮から出国した人たちである」わけです。その人たちを日本の病院で介護するならば先ず北朝鮮からその件に対する依頼がなければなりません。たとえ病気が重くてもそれは日本が踏まなければならない当然の道なのです。人道上の措置を建前に拉致に等しい勝手な行為をしてはなりません。このことは曽我さん自身もわきまえなくてはなりません。

 

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