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ギリシア語錬金術文献集成

[ヘルメース]

ヘルメースとアガトダイモーンとの、哲学者の石の謎






ヘルメースとアガトダイモーンとの、哲学者の石の謎
(Ai[nigma tou: filosofikou: livqou +Ermou: kai; =AgaqodaivmonoV)

(e. cod. Paris. B.N. gr. 2327, fol.234r)



002 2 267 16t
哲学の石の謎
002 2 267 17t
ヘルメースとアガトダイモーンとの

 われは9文字を有す。われは4音節なり。われを理会せよ。
 [すなわち〕3つの〔音節〕はそれぞれが最初の2文字ずつを有す。かくして残り〔の音節〕は3文字である。しかも、5〔文字〕は子音で、総計の数は800が2倍に、13と7がともに3倍である〔?〕。われが何ものか知れば、汝はわがもとにある神的知恵を隠された者とはなるまい。

2009.03.08. 訳了。





[註]
 この謎は,『シビュッラの託宣』〔I, line 141〕にある。この謎を解くことに,錬金術師たちは没頭した。それは,偽デーモクリトスやオリュンピオドーロスにより引用され,ステファヌスにより長文で注釈された。ステファヌスのテキストを研究したカルダン〔Jerome Cardan(1501-1576)〕とライプニッツ〔Gottfried Wilhelm von Leipnitz(1646-1716)〕によれば、9つの語はajrsenikovn〔雄黄〕という言葉であろうとされている。また,異なった解釈も与えられている。たとえばZwhs-buqoV〔生命の深淵〕のように。そしてシビリウスの書物の版においては,Qeos-swthr〔神-救世主〕とかAnex-fonoV〔労苦なきもの?〕、Faos-foroV〔光をもたらすもの。アプロディーテー=ウェヌスの添え名であり、それはまた金星、金属の金のことでもある〕などのように。とにかく錬金術の最初の著作品は,われわれを3世紀に運んでくれる。それは他の錬金術の著作品の指摘とも一致する。
 (ベルトゥロ『錬金術の起源』p.130-131)

[参考]
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 いずれにしても、第一質料prima materiaを意味することに間違いはない。そういえば、Mercuriusも9文字である。
 次に続く数字の意味については、ステファヌスに複雑な解説あり〔De magna et sacra arte, Volume 2, page 228〕。

 メルクリウスは作業 opus の始めに位置し、終りに位置する。メルクリウスは「第一質料 prima materia」、すなわち「烏の頭 caput corvi」ないし「ニグレド」である。メルクリウスは龍として己れ自身を呑込み、そして龍として死に、石 lapis となって蘇生する。メルクリウスは「孔雀の尾 cauda pauonis」の目も綾な色彩の戯れであり、分離した四大である。メルクリウスは原初の両性具有存在ヘルマプロディトスであり、一旦は二つに分れて古典的な兄-妹の対(つい)の形をとるが、最後に「結合 coniunctio」において再び一つに結びつき、「新しき光 lumen novum」すなわち「賢者の石」という形態をとって光り輝く。メルクリウスは金属であるが同時に液体でもあり、物質であるが同時に霊でもあり、冷いが同時に火と燃え、毒であるが同時に妙薬でもあり、諸対立を一つに結びつける対立物の合一の象徴なのである。
 (C・G・ユング『心理学と錬金術』II、p.99)

 画像は「合一の象徴」としてのメルクリウス。
 ウァレンティヌス『十二の鍵』(1678年)より。



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