預言者イシス

［人物］

　1世紀ごろの女錬金術師．10世紀のアラビアの『キタブ・アル・フィリスト（図書解題目録参照）』にはユダヤ婦人マリアとともにこの名が記されている．もちろん有名なエジプトの女王クレオパトラとは別人であるが，多国語を解し諸学問に通じていたこの女王の名にちなんでいることは疑いない．彼女の作品としては『クレオパトラの錬金法』，『重量と容量について』，『哲学者たちの石』などの断片が残っている．とりわけ『クレオパトラの錬金法』と題する一葉の図では，溶解器・蒸留器を記し，金を太陽，銀を月で記号化しているほか，ウロボロス，八光線をもつ星（太陽）のようにグノーシス派特有の象徴が記されている．したがって彼女の作品は1世紀のものではなく，後期グノーシス派の影響を受けてそれ以降に成立したものと考えられる．
　（大槻真一郎編著『記号・図説・錬金術事典』p.152）

　『重量と容量について』<……>は、聖マルコの写本と他の多くの写本の中にも見受けられ、またガレノスの著作品やそれに類する他の問題を扱う種々の写本の中にも収録されている。
　(ベルトゥロ『錬金術の起源』p.103)

78."prol".1
　重量と容量に関するクレオパトラの書から、ムナース、リトラウゥンギア、ドラクメー、グラムマのそれぞれが、オボロス、テルモス、、ケラティオン、カルコスではどれくらいに相当するのかの説明。これによって、(ejn toi:V dunamidivoiV)〔？？？〕わたしが指示した微妙な重さが容易に見出される。そして、それらの微妙さの後で、おのおのの重量を大雑把にも指示したのは、求められている重量を水差し(teu;coV)によってでも見出せるためである。

78.1.1
　ムナース(mna:V)は、重さの名称である。1ムナースが相当するのは16〔ウンキア〕、128ドラクメー(dracmhv)、384グラムマリオン(grammavrion)、2304ケラティオン(keration)、614カルクゥス(calkovV)、96ノミスマ(novmisma)である。１アッティカ・ムナースが相当するのは12+〔1/2〕、100ドラクメー、300グラムマリオン、600オボロス(ojbolovV)、90テルムゥス(qevrmoV)、1800ケラティオン、480カルクゥス、75ノミスマである。１プトレマイオス・ムナースに相当するのは、18、144ドラクメー、432グラムマリオン、864オボロス、129テルムゥス、2592ケラティオン、また691カルクゥス、108ノミスマである。

78.2.1
　１リトラ(livtra)が相当するのは12、96ドラクメー、288グラムマリオンである。

78.3.1
　１が相当するのは8ドラクメー、24グラムマリオン、48オボロス、7テルムゥス、144ケラティオン、38カルクゥス、６ノミスマである。また、１は４イタリア・アッサロン(tetrasavrion =Italikovn)とも呼ばれる。

78.4.1
　ドラクメーが相当するのは３グラムマリオン、６オボロス、テルムゥス、18ケラティオン、4カルクゥス、’’〔2/3〕ノミスマである。そしてイタリア・デーナリオン(=Italiko;n dhnavrion)は１ドラクメーに相当する。またドラクメーや他の〔単位〕は、エジプト〔単位〕と同名で呼ばれ、これはアッティカ単位の1/6で、１オボロスの重さである。〔？？？〕

78.5.1
　グラムマリオンが相当するのは２オボロス、３テルムゥス、6ケラティオン、16カルクゥスである。

78.6.1
　オボロスが相当するのは１+1/2テルモン、３ケラティオン、８カルクゥスである。

78.7.1
　ヘーミボリオン(hJmibovlion)が相当するのは１+1/2ケラティオン、４カルクゥス。

78.8.1
　テルモスは２ケラティオン、３カルクゥスに相当するが、アッティカ・ヘーミオボリオン(hJmiobovlion)は４/５である。

78.9.1
　ケラティオンは２アッティカ・カルクゥスに相当する。したがってカルコスは2/5である。

78.10.1
　カルコスはヘーミオボリオンの1/4に相当する。したがって、４カルクゥスはヘーミオボリオンの重さである。

78.11.1
　スタテール(stathvr)は4ドラクメー〔？？？〕、3ノミスマに相当する。そこでそれはテトラドラクモンtetravdracmon〔「4ドラクメーに相当する」の意〕と呼ばれる。

78.12.1
　ディドラクモン(divdracmon)は１+1/2ノミスマ、36ケラティオンと同じ重さである。また二倍のディドラクモン〔「2ドラクメーに相当する」の意〕は同じく4ドラクメー、3ノミスマと同じ重さである。また、バシリコン・カリュオン(basiliko;n kavruon)は同じく４コテュレー(kotuvlh)と同じ重さである。

78.13.1
　大キメー(civmh hJ megavlh)は３〔ドラクマ〕に相当する。また小キメー(hJ mikra; civmh)は、２に相当する。

78.14.1
　アサリオン(ajsavrion)は２に相当する。

78.15.1
　コクリアリオン(kocliavrion)に相当するのは……

78.16.1
　キュアトス(kuvaqoV)は10〔ドラクマ〕だが、1+2/3、30グラムマリオン、60オボロス、90テルムゥス、ケラティオンでは180、カルクゥスでは480、７+1/2ノミスマ。

78.17.1
　タラントン(tavlanton)と同じ重さは、125リトラ、9000ノミスマ。

78.18.1
　また、１〔キュアトス〕は1/6〔コテュレー〕である。は、分量は6キュアトスだが、重さの〔ドラクマ〕では60である。７+1/2の重さは、グラムマリオンは180，360オボロス、540テルモン、1080ケラティオン、2880カルクゥス、45ノミスマである。

78.19.1
　トリブリオン(triblivon)はと同じ容積をもつ、すなわち、容量では6キュアトス、重量では60〔ドラクマ〕である。

78.20.1
　アレクサンドリア・クセステース(xevsthV)は［6002に相当する］、容積では２、重さのでは120に相当する。アイギュプトス人たちの間ではクセステースはヒニオン(iJnivon)と呼ばれる。

78.21.1
　オクシュバポン(ojxuvbafon)が相当するのは1/4、１+1/2キュアトス、重さのでは15。

78.22.1
　大コンケー(kovgch hJ megavlh)はオクシュバポンと同じ容量を確保する。すなわち、容量では１+キュアトス、重量では15、小コンケーはヘーミキュアトス、重量では５に相当するからである。

78.23.1
　キュアトスに相当するのは(drac...)1/６。

78.24.1
　農夫たちについても同じ。

79.1.1
　ムナースが相当するのは、16、96ノミスマである。アッティカ・ムナースに相当するのは、12+〔1/2〕、75ノミスマ。ローマ・ムナース〔が相当するの〕は20。プトレマイオス・ムナースは18、108ノミスマである。

79.2.1
　カルクゥスは、アッティカ・ヘーミオボリオンの1/5である。そしてヘーミオボリオンの

79.3.1
　が相当するのは８である。が相当するのは1/4.....２オクシュバポン。しかしオクシュバポンは3キュアトスである。

79.4.1
　キュアトスが相当するのは小ミュストロン(muvstron mikrovn)２である。

79.5.1
　コンクリアリオンはミュストロンのである。

79.6.1
　オクシュバポンは６にあたる。

79.7.1
　キュアトスは２にあたる。

79.8.1
　ミュストロンは〔1/2〕にあたる。

79.9.1
　ミュストロンは２コクリアリオン。コクリアリオンはほぼ1/4である。

79.10.1
　ムナースが相当するのは15、112+ホルケー(oJlkhv)。また90ホルケーが相当することもある。

79.11.1
　デーナリオン(dhnavrion)は４グラムマに相当する。

80.1.1
　コドランテース(kodravnthV)はの1/4である。

80.2.1
　アルタベー(ajrtavbh)は72に相当する。

80.3.1
　セミダリス(semidalivV)の容量は1アルタベーにあたる。

80.4.1
　ネベル(nevbel)は葡萄酒300分である。

80.5.1
　カムプサケース(kamyavkhV)は24、12クセステース(xevsthV)である。

80.6.1
　銀子(ajrguvrion)30枚は、300ノミスマになる。というのは、銀子は10ノミスマ、4、２に相当するからである。これこそ、イウゥダス〔ユダ〕が受け取ったものである。

80.7.1
　サトン(savton)は、穀物の容量であるモディオス(movdioV kouvmouloV)である。3サトンは３モディオス。

2009.05.01.　訳了。