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back.gif女預言者イシスが、わが子ホーロスに(redactio prima)

ギリシア語錬金術文献集成

TLG4334

[女預言者イシス]

002
女預言者イシスがわが子ホーロスに
(redactio secunda)





002 女預言者イシスがわが子に(redactio secunda)
(e cod. Paris. B.N. gr. 2250, fol. 217r)




2.33."4t"
アイギュプトスの女王にしてオシリスの妻イシスの、
2.33."5t"
真正な術について、わが子
2.33."6t"
ホーロスに。
2.33."7t"
女預言者イシスが、わが子ホーロスに

2.33.8
 おまえが、おお、わが子よ、テュポーンとの戦いに出かけ、おまえの父の王国をめぐって〔テュポーンを〕打ち負かすことを望んだ。2.33.10そこでわたしは、おまえの旅出の後、ホルマヌゥティ、アイギュプトスの聖なる術知が神秘的に備えられているところに赴きました。そこで、充分な時間を過ごし、隠退を望みました。ところが、わたしが引きこもっているときに、預言者たちあるいは天使たちの一人が、第一の大空に暮らしていましたが、わたしに目をとめ、わたしに近づき、わたしに交合の相手をさせようと望みました。しかしわたしは、そうしようとする彼に身をまかせることなく、2.33.17金と銀の調整法を〔教えるよう〕彼に要求しました。しかし彼は、それは度はずれた神秘ゆえ、それについて口外することは自分にはできないと自分で答えました。

2.33.20
 しかし次の日に、第一位の天使にして彼らの預言者、アムナエールと呼ばれるものがわたしのもとにやってきました。そこでわたしは彼に、金と銀の調整法についてもう一度問いただしました。すると彼は、2.34.1自分の頭の上にある徴のようなものと、両手に持った、透明な水に満たされ、瀝青を塗られぬ壺のようなものをわたしに示し、真実を云うことを拒みました。

 しかし、次の日、再びわたしのもとにやって来つつ、わたしに対する情慾に取り憑かれて、わたしのいるところに急ぎました。しかしわたしは、彼のことを気にかけませんでした。彼はしきりにわたし誘惑し、懇願しました。

 それでもわたしは身をまかせることをせず、彼の欲望を支配して、ついに、彼の頭の上の徴を見させ、求められている秘密を2.34.10惜しみなく、かつ、真実に伝授させました。

 さらにその後、徴も示され、秘密の伝授もなされましたが、それに先立って、彼は指示と誓約をわたしに次のように言いはじめました。われは御身に誓う、云々。

われは御身に誓う、ヘルメースとアヌゥビスにかけて、また、ケルクゥロボロスの龍と、冥府の番犬、三頭のケルベロスとの鳴き声にかけて。われは御身に誓う、かの渡し場と、アケローン河を渡す渡し守にかけて。われは御身に誓う、云々。

 これらすべてのものらにかけてわたしを誓わせたうえで、ひとりわが子と真正のともを除いて、2.34.20 他の何びととも〔知識を〕分け合わぬことを命令しようとしました。しかしおまえだけは、おお、わが子よ、農夫のもとに出かけて行き、彼に質問しなさい、種播かれるものとは何であるか、収穫されるものとは何であるかを、また、彼から学びなさい、小麦を播く者は小麦を収穫もし、大麦を播く者は大麦を収穫もする、ということを。

 さらに以下のことも、おお、わが子よ、序を通して聴きとって云々。 というのは、自然は自然を喜び、 自然は自然に打ち勝つのですから。

 そこで、砂から — そして他の諸々の有性からではなく — 材料を備えなければなりません。というのは、小麦は小麦を生み、2.35.1人間は人間を〔生む〕と前言したように、金もまた金を〔生む〕のですから。また見なさい、あなたにあらゆる神秘があることを。

 そこで、水銀をとって、土塊よってか、磁石の体よってか、硫黄によってか、これを固定し、保持しなさい。これが、諸々の形相の混合による易融物cliaropaghvVです。易融鉛の一部分云々。

2009.04.07. 訳。





[参考]

「創世記」第6章
 人が大地の面に増えはじめた時のことである。彼らに娘たちが生まれた。神の子らが人の娘たちを見ると、彼女たちは美しかった。そこで彼らは、自分たちが選り好むものをすべて妻にめとった。ヤハウェは言った、「わが霊が人のうちに永遠に留まることはないであろう。彼もまた内なるもの〔に過ぎないの〕だ。彼の生涯は百二十年であろう」。
 その時代、またその後々までも、地にはネフィリムがいた。それは、神の子らがひとの娘たちのところに入り、彼女たちが彼らによって生むからである。この者たちは、昔からの勇士、名だたる男たちである。

「エチオピア語エノク書」第6章・第7章・第8章
 そのころ人の子らが数を増していくと、彼らに見目麗しい美人の娘たちが生まれた。これを見たみ使いたち、(すなわち)天の子たちは彼女らに魅せられ、「さて、さて、あの人の子らの中からおのおの嫁を選び、子をもうけようではないか」と、言いかわした。彼らのなかの筆頭たるシュミハザが言いだした。「実は、あなたがたはこういうことが実行されるのをひょっとすると好まず、わたしだけがこのけしからん悪事のしりぬぐいをするはめになるのではないかと心配なのだ」。彼らは異口同音に答えた。「この計画をふいにしないこと、これを確実に実行することをいっしょにはっきりと誓い、(誓いを破った者は)仲間はずれにするとしよう」。そこで一同は誓いをたて、そこで仲間はずれを罰とする誓いを結んだ。そこに居合わせたのは合計二〇〇人であった。彼らはヤレデ〔の時代〕にヘルモン山の頂におりたった。この山をヘルモンと名づけたのは、そこで仲間はずれを罰とする誓いを結んだからである。以下はみ使いたちの名である。彼らの長たるシュミハザ、アラキバ、ラメエル、コカビエル、アキペエル、タミエル、ラムエル、ダネル、エゼケエル、バラクエル、アサエル、アルメルス、バトラエル、アナニエル、ザキエル、シャムシャエル、サルタエル、トゥルエル、ヨムヤエル、サハリエル。以上は二〇〇人のみ使いの首長たちであり、他はみなこれに従った。

 彼らは妻をめとり、各人ひとりずつ女を選びこれと関係をもち、交わりはじめた。また女たちに医療、呪いを教え、(薬)草の根や潅木の断ち方を教えこんだ。彼女らはほらんで、背たけがいずれも三〇〇〇キュビトというとてつもない巨人を生んだ。彼らはすべての人間の労苦の実を食いつくしてしまい、人間はもはや彼らを養うことができなくなってしまった。そこで巨人たちは人間を食わんものと彼ら(人間)に目をむけた。彼らは鳥や獣、(地を)這う生き物や魚に対して罪を犯し、互いの肉をくらいあい、血をすすりはじめた。そのとき、地はこの狼籍着たちに対して非をならした。

 アザゼルは剣、小刀、楯、胸当ての遣り方を人間に教え、金属とその製品、腕輪、飾り、アンチモンの塗り方、眉毛の手入れの仕方、各種の石のなかでも大柄の選りすぐったもの、ありとあらゆる染料を見せた。(その後)はなはだしい不敬虔なことが行なわれ、人々は姦淫を行ない、道をふみはずし、その行状はすっかり腐敗してしまった。シェミハザは、すべての魔法使いと(草木の)根を断つ者とを教え、アルマロスは魔法使いをいかに無効にするかを教え、バラクエルは占星家を、コカビエルは(天体の)兆を、タミエルは星の観察の仕方を教え、サハリエルは月の運行を教えた。人間どもが、滅んでゆくと彼ら(天使たち)は大声にわめき、その声は天に達した。

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