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クテイス(kteivV)

kteis.jpg  櫛、タカラガイ、ホタテガイ、または、女陰を指すギリシア語で、女性の「生命の門」のシンボルだった。アプロディーテーの礼拝堂に向かう巡礼たちは、「恩寵」charisの状態にあることを示すしるしとして、クテイスを身につけていた。クテイスを持つというこの風習は、後世になっても、コンポステラの聖ヤコブJames of Composteraの名において継続された。


Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 櫛を意味する。ここから、歯のついたものをいう。
(1)機織機の(縦糸を分離しておく)櫛。
(2)くま手。
(3)リュラの
(4)。「足ゆびのところや、手のが、櫛のように揃った先は」(アイスキュロス『アガメムノーン』1594)
(5)肋骨。
(6)陰部、陰毛、外陰部。ヒポクラテス『箴言』VII_39「尿といっしょに血や血のかたまりが排出され、しかも排尿が困難で尿が滴状となり、会陰や恥部(kteivV)に痛みがおこってくるなら、それは膀胱のあたりに疾患があることを示している」。
(7)〔複数で〕糸切り歯つまり門歯。
(8)ホタテ貝〔右上図〕。
(9)涙丘(Caruncula lacrimalis)〔両眼の内眼角にある半月ヒダ(他の動物の瞬膜に当たる)の肉質隆起〕。アリストテレース『動物誌』491b25。
(10)包帯。
 以上、L & Sによる。

 タカラガイのことをギリシア語で何というのかよくわからないが、アテナイの裁判官が投票に使うcoirivnhがそれだという説がある(アリストパネース『騎士』1332、『蜂』333, 349。アテナイオス『食卓の賢人たち』93b)。