「支配」または「勝利」を意味し、生誕の川の擬人化であるステュクスStyxから生まれた古代ギリシア以前の時代の女神。ニーケーの生んだ子がパッラス〔男根の意〕であった[1]。
Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)
《勝利》の意で、その擬人化された女神。ローマのウィクトーリアVictoria。
ヘーシオドスは彼女をティーターン神族のパラースとステュクスとの娘で、ゼーロース《競争心》、クラトスKratos《支配》、ビアー《暴力》の姉妹としている。オリュムポスの神々をたすけてティーターン親族と闘ったので、ゼウスに賞せられた。
彼女はまた競技の勝利の女神であり、ペルシア戦争の勝利は彼女の人気を急激に増大させた。
彼女はよく軍の女神としてアテーナーに従って表されている。普通有翼の若い女神として造形美術で表現され、オリュムポス出土のパイオーニオスPaionios作およびサモトラーケーSamothrake出土の有名な像が残っている。彼女はギリシア各地に神殿を持っていた。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)