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ゼウス(ZeuvV)

 サンスクリット語Dyaus pitar(「天界の父」)をギリシア語に転写した形。この神はおそらく、バビロニア神話の嵐のズー(雷霆を投げるもの)と関連があると思われる。ローマ人はゼウスをユーピテルJup(p)iter、またはDjêusと呼び、ユダヤ人はエホヴァJehovahと呼んだ。

 ゼウスのさまざまな属性を取り入れたユダヤ-キリスト教の神とは違って、ゼウス自身は人類の創造者ではなく、また立法者でさえもなかった。真の創造者-立法者はゼウスの母または妻と言われる女神、すなわち、レアーへーラ−ガイアであった。どの女神も「神の処女母(virgin mother)」である。ゼウスはマルナスMarnas (「処女から生まれた」)という添え名をつけて呼ばれた[1]。ゼウスはまた、ゼウス・サバージオス(Zeu;V SabavzioV)、ゼウス・ザグレウス(Zeu;V ZagreuV)、ゼウス・サバオート(Zeu;V Sabawvq)のような多くの生贄として死んでいく神々とも同一視された。ルシフェルと同じく、ゼウスは母親、すなわち大地を豊穣にするために雨または稲妻となって「天から降りて来た」。大地を肥沃にする稲妻の神であるゼウスは、ゼウス・カタイバテース(Zeu;V KatabavthV「降臨するゼウス」)として知られていた[2]。彼はそれまでガイア・オリュムピアの神域であったオリュムポス山を手中に収めた。

 ゼウスは結局、オリュムポス山のプラトーン的な家父長となり、自分の頭からアテーナー(女性の知恵を司る古代リビアの女神)を生んだと主張さえした。「プラトーン哲学の普及とともに、それまで知性面で支配的な立場にあったギリシアの女性は、ゼウスとアポッローンが支配的な神々として君臨している地域ではどこでも、ただ働きを強いられ、単に子供を生むだけのものになり下がってしまった」[3]


[1]Graves, W. G. 320.
[2]Guthrie, 38.
[3]Graves, G. M. 1, 117.

Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 サンスクリット語の d.gify.gifa.gifu.gifs3.gifp.gifi.gift.gifa.gifr.gif(「父なる天よ!」)に由来するギリシア語。

 "d.gify.gifa.gifu.gifs3.gifp.gifi.gift.gifa.gifr.gif"は呼格。"d.gify.gifa.gifu.gifs.gif"の基本形は"d.gifi.gifv.gif"あるいは"d.gify.gifu.gif"(「天」「天空」を意味する)。"p.gifi.gift.gifa.gifr.gif"(基本形"p.gifi.gift.gifar.gif")は、ギリシア語"pathvr"の語源でもある。
 ここでウォーカーが呼格形を持ち出したのは、呼格がギリシア語の語形に最も近いこともあるが、"Jupiter"が、「父なる天よ!」(d.gify.gifa.gifu.gifs3.gifp.gifi.gift.gifa.gifr.gif)を一語にした形(ギリシア語では"Zeu: pavter")に由来することが視野にあったものらしい。---> 多謝、佐藤宏宗さん。
 なお、ローマ神話でゼウス=ユーピテルを"Jove"と表記するのは英語で、ラテン語では"Jovis"である。

zeus and hera
 上の画像は、ゼウス(左端)ヘーラーとの結婚を描いたといわれる壺絵。

 いずれにしても、世界を創造した太母神に比べれば、天空の神ゼウスは二流三流の神格にすぎない。