エデンの園の蛇を崇拝した、2世紀のグノーシス主義の一派。彼らは蛇を、この世界の造物主であるが真の神ではないデーミウルゴス(DhmiourgovV〔「制作者」の意〕)への最初の反抗者として讃えた。今日の研究者は「オフィス派」という語をセ(ー)ツ派[Sethians]とほぼ同義に用いている。
オフィス派の教説によれば、『創世記』第三章に登場する蛇は人類の救済者であるという。エヴア(ヘブライ語で「生命」の意)を知恵と同一視し、『創世記」同章の記述を人類がデーミウルゴスの支配から脱出する物語であるとして読み解くのはグノーシス派の典型である。オフィス派は彼らの儀式に生きた蛇を用いたといわれる。(C・S・クリフトン『異端事典』p.72)