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back.gif第2章 ラテン語による「蟻と蝉」


インターネットで蝉を追う

第3章

Ademar写本






DER ILLUSTRIERTE LATEINISCHE AESOP IN DER HANDSCHRIFT DES ADEMAR
CODEX VOSSIANUS LAT. OCT. 15/ FOL. 195-205
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EINLEITUNG UND BESCHREIBUNG von Dr. GEORG THIELE
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Mit 5 ABBILDUNGEN IM TEXT / LEIDEN / VERLAG VON A. W. SIJTHOFF, 1905

TAFEL XVI (Fol. 202v)
Ademar202v.jpg

[Fable 52の挿し絵の説明]

Fable 52 ライオンと人間の口喧嘩

 この挿し絵は三つの場面に分けられる;最初は口喧嘩そのものが、次いで二組の争いの事例が提示される。われわれはまた三つのグループをも見ることもできる。左上の普段着の人間は、両手で仕草をしている;これに対して、ライオンは注意力を集中し、口を開けて、静かに耳を傾けている。その右下が第二グループで、人間の事例 — ライオンが人間に絞め殺される記念碑 — である。この素描家は、ライオンとの戦いが浮き彫りに描かれていた石碑をもっていたけれども、書き落としをした、というのは、彼はその戦いの意味を知らず、このグループのみが残ったからである。頭をねじ曲げられ、へし折られようとするライオンの上に、普段着の髭のある男が馬乗りになり、両手で野獣の口をむんずとつかんでいる。このグループの記念碑的特徴は、明らかに、ライオン固有のたてがみ — いつものふさふさしたものではなく、鱗状に定型化した、すこぶる大きくなっている — を示している。ここにわたしは彫刻の名残を見る;疑いもなく、挿画家の原本には、ライオン殺しヘラクレスのよく知られた話が役に立った、このことは、他の場合であれば全く動機とはならない男の髭もそれを語っている。右の第三のグループも、またもや写字生たちによって、場所に関するあらゆる付属物がはぎ取られた。後にTrier Codex fol.XXXiiiには依然として保たれていた曲馬場が抜けているのだ。ここに絵として残ったのは、不安に満ち、両手を広げて、地面に横たわる一人の男を、牙と前肢で襲っているライオンだけである。


[Fable 53の挿し絵の説明]

Fable 53 鵞鳥とコウノトリ

 三つの場面が連続的描画法によっていっしょになっている。川の流れ(stagnum)に意味はなく、使い古された類型によって、壺からの流出、すなわち、泉を描いたものである;そのそばに粗っぽく表された鵞鳥が足で立ち、水を飲むときのように頭を高く上げている。はるか左の方に、鶴類の類型をもったコウノトリが見え、鵞鳥といっしょに散歩に出かけようとしている。背景には、大鷹が鵞鳥をその鈎爪にかけて飛んでいる。そのたびに鵞鳥は小さく表されるのが常である。


[Fable 54の挿し絵の説明]

Fable 54 豚小屋の中の孕んだ雌犬〔寓話の内容は、point.gifバイユーのタピスリー〔Ademar 54〕参照〕

 豚小屋は、Nr.45の犬小屋と同様、まったく人家の様式を保っている。入り口には、高い壁の敷居 — その上で雌犬が雌豚に吠えながら跳びかかっている — 、小さな切妻壁がついている。屋根と切妻壁はNr.45の家屋と一致している。そこと同様に、長い側壁の下半分はタイル造り?(opus quadratum)を見せ、上半分はなめらかで、窓を一つもっている;後部の狭い場所?(Schmalseite)には低い塔が建てられているが、これの土台もやはりタイル造り?(opus quadratum)を見せている。"Augentore"?が塔と、入り口の上にあり、切妻には窓。


[Fable 55の挿し絵の説明]

Fable 55 烏と羊

 叢生の草が、垣根に囲まれていて、想像の上で牧場を暗示できる(Nr.62の下方、ウサギの原の暗示を参照)。羊は草を食べている、その間、烏は背中にとまって話しかけ羽ばたいている。


[Fable 56の挿し絵の説明]

56話 蟻と蝉

 この絵は部分的に破損しているので、蟻穴はもはやはっきりしない。わかるのは、(地面に掘られた)漏斗状の蟻の巣。この漏斗〔巣穴〕は穀物で満たされている;当の蟻は、輪郭がひどくぼやけていて、穀物の上にいるのがわかるだけである:だから、描かれている蟻が一匹なのかそれ以上なのか(Korais 134番を参照)さえ言うことはできない。

[蝉の部分の拡大図=下図]
Ademar16cicada.jpg

 蝉は、ひどく不格好に描かれており、一本の樹にとまっている — この樹は頑丈な幹と、羽根のような樹葉を持った細い枝とを持っているが、この樹はオリーヴだと序説で説明ずみ。





 ここで、わたしたちは、"cicada"という言葉で当時の人たちがイメージしていたものの姿を初めて眼にすることができた。しかし、それは現実の蝉とはあまりに懸け離れたものであった。
 これは、いったい、何なのか? わたしたちは再び出発点に引きもどされたことになる。


【原文】
 hiemis tempore formica ex caverna frumentum trahens *secabat, quod aestate colligens collocaverat. esuriens autem cicada rogabat eam, ut aliquid sibi daret. cui formica, quid agebas in aestate? at illa; non mihi vacabat, *spes oberrabam cantando. ridens formica et frumentum includens ait, si aestate cantasti, hieme salta. -- pigris, ut tempore certo laboret, ne dum minus habuerit, dum petierit, non accipiet.

Adn.
secabat: orthographische Korruptel aus siccabat. --
non cod., quia las Nil. --
spes korrupt aus sepes. --
minus: manus las Nil., minus richtig L. M殕ler.
     (以上、p.59)


【試訳】
 冬のよい日に、蟻が穴から穀物を引っ張り出して 乾かしていた、夏の間に集めて貯めていたのを。そこに 腹をすかした蝉がそれを求めた、どうか自分にちょっとたもれ、と。相手に蟻が、「夏の間、何をしておいでやったん?」。相手が言った、「あたしには暇がなかったの、 生け垣で歌うことに夢中やったもんやから」。蟻が笑い、かつ、穀物をしまいこみながら言った、「夏のあいだ歌っておいでやったんなら、冬には踊りゃんせ」ーー 〔この寓話は〕怠け者たちに、時宜を得て真に働くなら、ものに事欠くときさえ、物乞いすることはなく、歓迎されぬこととてない〔と教えている〕。
back.gif第4章 Tettix, Cicada, そして……?
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