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ギリシア占星術文書目録0656_004

芍薬について、また、どれほどのことを実行できるか


[人物]
 DioskourivdhV または DioskorivdhV。c, 40-c. 90活躍。植物学者、医師。キリキアー内陸の町アナザルバの出身。若い頃から薬草に興味を持ち、広く各地を旅行して植物の知識を蓄え、『薬物誌(Peri; u{lhV ijatrikh:V)』5巻を執筆。約700種の植物と1000近い薬効成分をみごとに列挙し、この書はラテン語やアラビア語に翻訳されて、16世紀まで薬学・本草学の権威として重んじられた。迷信を離れた冷静かつ犀利な観察眼の持ち主で、避妊に薬剤を塗ったベッサリーの使用を勧め、マンドラゴラの根から採れる外科手術の麻酔剤の製法を記述、蛇毒・劇薬などに対する各種の解毒剤やテーリアカの材料についても言及している。ローマ帝国の軍医としてクラウディウス、ネロー、ウェスパシアーヌス諸帝(41-79)に仕えていたと思われる。そのほか、毒薬や薬草に関するいくつかの著書が彼の名に帰せられている。
          (松原國師『西洋古典学事典』)


[底本]
TLG 0656
DIOSCORIDES PEDANIUS Med.
Dioscurides Pedianus
A.D. 1
Anazarbensis

0656.004
Peri; paiwnivaV kai; poiei:n duvnatai (e cod. Matrit. Bibl. Nat. 4616, fol. 159)
Astrol.

K.O. Zuretti, Codices Hispanienses [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 11.2. Brussels: Lamertin, 1934]: 164-167.



11,2..
(164)
 

芍薬について、また、どれほどのことを実行できるか

 これをローマ人たちは Casta〔純潔な女〕と名づける。パイオーニアと呼ばれるのは、パイオーンがこれを見つけたからである。これはダイモーンたちを追い払い、生き物のあらゆる病状を、栄養によって根治し混合されて療治する。蜂蜜酒〔Dsc.V-16〕に入れられると、毒獣の脅威を排除し、有毒な薬によって前述のようになった者たちをも救う。また携行されると、何か有害なものらが携行者にもたらされることを許さない。なぜなら、近づく物をなくすからである。また、いろいろな場所に置かれると、雹や???(ijriouvbaV)や大嵐を退散させるからである。また、船の中に縛られると、黒雲や、破壊的な星辰の危険を追い払う。携行されると、あらゆる人間を無病に保ち、疫病をも遠ざけ、あらゆるダイモーンはこれを恐れ、激昂する。なぜなら、(165) ダイモーンたちに配置されている大天使たちに委ねられているからである。また、あらゆる人間の穢れや(procumavta)や邪視をも癒やす。またあらゆる病や道中の天気の脅威をも恢復させる。そこで、これの用法。打ち砕かれ、蜂蜜を加えられたら、肝臓患者たちや脾臓患者たち腸患者たち与えられ、葡萄酒で結石患者たちに、熱病患者たちには水で、座骨神経症患者や神経に痛みのある者たちにはオリーブ油で塗布する。嗜眠性熱病患者たちや夢精患者たちには、白いエレボロス〔Veratum album, Dsc.IV-150〕で巻きつけ、腸患者たちには珊瑚草???や(kolivtala)で巻け。(o[lisqon)を持っている患者たちには???(memukovta)アーモンド〔Dsc.I-176〕を巻け。

 雄のパイオーニアあるいはグリュクシデー。ある人たちはプロートロボン(prwtovrobon)〔〕、ある人たちは(ojrobavdion)〔山を歩くもの〕、ある人たちは(ojrovbax)〔「山地性のもの」〕、ある人たちは(aiJmagwgon)〔「血を導くもの」(月経促進剤)〕、ある人たちは(monievnion)、ある人たちは(lauvranta)、ローマ人たちは Casta〔純潔な女〕と<呼ぶ>。雄〔のパイオーニア〕は、胡桃(ka;ruon basilikovn)〔Juglans regia Dsc.I-178〕に似た葉を有するが、雌〔のパイオーニア〕は、スミュルニオン〔セリ科の植物。Dsc.III-79〕のように葉が裂け〔鋸葉〕、茎の尖にアーモンドに似た一種の鞘のようなものができ、それが開くと、柘榴〔の種子〕に似た粒が多数含まれていて、鞘の真ん中は紫がかった黒色で、〔実は〕5ないし6つ見出される。雄の〔パイオーニアの〕根は指の太さで、長さは1スピタメー〔約23Cm〕で、味わう者にとって渋い。雌〔のパイオーニア〕にはドングリ〔Dsc.IV-160〕のように枝分かれしていて、ツルボラン〔Dsc.II-199〕のように根に7ないし8つの副根を持つ。乾燥したものないし根は子を流産した女たちに与えられ、アーモンドの大きさが飲用されると月経血を排出させる。葡萄酒で飲用されると、腹の痛みに効き、腎臓患者たちや黄疸患者たちや膀胱炎患者たちに益する。葡萄酒で煮られ、飲用されると便秘になる。実の赤い10ないし12粒がきつい黒葡萄酒で飲用されると、婦人の異常出血(ejruqrovV rJou:V)を止め、食されると胃痛患者たちと魂に喰いつかれた者たちに効き、子どもらによって飲用されたり食されると、出来はじめの結石を避ける。また悪夢による窒息、子宮の梗塞、陣痛に苦しむ者たちにも、黒い種子15粒が蜂蜜で割った葡萄酒で飲用されると効能を発揮する。ところで〔芍薬は〕高山やその頂上に生育する。

 雌〔のパイオーニア〕も同じことを為す。人間であれ犬たちであれ、(166) 狂っていなくても実効性を有す。鳥類の餌にも与えられる。食事の時に添えられると、水洟を払う。〔毒〕薬に取り憑かれた者たちにには次のようにして解放せよ。その葉を水で煮つめて、煎じ薬でその患者を沐浴させ、飲用させ、彼の鼻に巻け???。さらに次のように扱われる。3日間潔斎して、早朝この植物のところへ行ってこれに挨拶し、3度言え。「ご機嫌よう、聖なる植物パイオーニアよ、御身あらゆる王中の王よ」。3日の間に太陽が沈む時は、同じことを言え、次いで4日目、太陽が地上の矩角にあるとき、この植物から1ペーキュス離れたところを掘り、その枝を縛り、次いでこの植物の根を注意深く掘って引き抜け、あるいは、これに犬を繋いで、〔根が〕抜けるようこ〔の犬〕を殴れ、そうして綺麗な亜麻布に包んで、蜜と乳を混ぜた(eJrmeiva)と金屑・銀屑をその穴に投げこみ、大地のその場所を覆い隠してはならない。これ〔パイオーニア〕の方は携行して汝の家に運び込み、時節の花に飾られた鼎に恭しく収めよ、そうして石炭を反対にして???、さまざまな香草で???、そうして次の言葉を言え。「宇宙の永遠のロゴスよ、天よ、強く万物みそなわす太陽よ、ここなる聖なる誉れ高きパイオーニアを嘉したまえ、御身の力もてまったくわたしに留まり、わたしを逃れることなく、万人の救いと不屈のためにこれを持てるように、そうして、わたしのあらゆる行為のためにこれを強めたまえ。わたしに聴従するこの世のいずこにわたしがあろうとも、わたしとともにありたまえ、主なる神イアオー・イアオーよ」。

 女の子宮が精子を定着させないなら、大地に散った神的な蕾をして帯せられしめよ。出産したい女には、口を開けた種子を、半驢馬〔騾馬〕の糞で巻け。陣痛の中で出産する女たちとか危険状態にある女たちには、この植物の口を開けた種子を、その臀部か下腹部に塗布せよ、そうすれば分娩するであろう。

(167)
 ミソサザイ(trwgloduvthV strouqivon〔「穴住まいの雀」)は、いわゆる「小王」〔basili;skoV(キクイタダキgold-crest, Perry434)〕を別にすれば、どんな鳥類よりも小さく、とくに囲いの中で暮らすのだが、これは焙って塩漬けにされた生肉が食されると、腎臓の結石を砕き、またこれの焼かれたものの灰は、飲用されると同じことをする。

2018.01.07. 訳了

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