星占いの入門と基礎(序論と諸章の抜粋)
ギリシア占星術文書目録4384_003
星占いの入門と基礎(第9章)
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[底本]
TLG 4384
ACHMET Astrol., Onir.
vel Achamet, vel Achmates, vel Achmes, vel Achmet ben Sirin
A.D. 9
Astrol., Onir.
Persicus
4384 002
Introductio et fundamentum astrologiae (caput IX) (e cod. Venet. Marc. 334, fol. 116)
Astrol.
Date of manuscript = A.D. 14
F. Boll and A. Olivieri, Codices Veneti [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 2. Brussels: Lamertin, 1900]: 153-157.
2.
(153)
12宮のデカンについて、あるいは、形と顔について、また、7つの星々のどれと同類性を有するか。
それぞれの宮は3つの顔、あるいは、3つのデカンを有し、それぞれの顔は、7つの星々の1つと同類性を有する。
白羊宮の第1デカンは火星と〔類同〕である。その手中に斧あり、これを投げようともしている。色黒く、狂人じみている。眼は血走っている。長衣をまとって坐り、跣足。
白羊宮の第2デカンは太陽と〔類同〕である、獅子宮がその〔太陽の〕宿だからである。女性。そのまわりに紅い長衣、その脚は消えている。その形は馬形。これの関心事は心配事、衣服、黄金。
白羊宮の第3デカンは木星と〔類同〕である、その〔木星の〕宿が<人馬宮だからである。人間。その手中に>笏、その上に休んでいる。激情的、黄色。その上の長衣は紅。善を欲するが、実行することはない。というのは、顔が木星の〔顔〕であるゆえ、善を欲するが、火星がその宿であるため、これに障害されるからである。だが、重くなった両手を持ち、鉄を制作するからである。
また、金牛宮の第1デカンは金星と〔類同〕である。額広く、巻き毛の女性。その形は自由人の女の形。その長衣は火がついている。この女の心配事は衣服の縫合。端正な子どもらを有する。自身もますます向上しようとする。??
<金牛宮の>第2デカンは水星と〔類同〕である、処女宮がその〔水星の〕宿だからである。人間。その形は駱駝の形だが、頸は牡牛の〔頸〕である。これの関心事は種子と家の拡張と、これに尽きる??。
(154) 金牛宮の第3デカンは土星と〔類同〕である、磨羯宮がその〔土星〕の宿だからである。<人間>長くて白い歯をもち、肌と髪とが青白い。その形は獅子と象の形。その脚に塩のごとく。魂において変わり易い。その関心事は????と絨毯?。その上に黒??。
双子宮の第1デカンは水星と〔類同〕である。背が高く器量よしの女。関心事は生子たちと妊娠すること、裁縫とそれに似た事柄に知識を有する。
双子宮の第2デカンは金星と〔類同〕である、天秤宮がその〔金星の〕宿だからである。<人間>。その形は禿鷲の形。その頭にその権章をつけている???。その身に胴鎧と兜、弓と矢を携えている。この者の関心事は秩序そのものに関与することと、菜園に坐ること、諸々の匂いはここにある。
双子宮の第3デカンは土星と〔類同〕である、宝瓶宮がその〔土星の〕宿だからである。人間どもを探している人間。その身に胴鎧。身に弓と矢。これの関心事は悲劇と各種の音声。装身具と長衣を身にまとうこと。
しかし、巨蟹宮の第1デカンは<月の>〔同類〕である。小指と体の曲がった人間???。その形は象と馬の形。その両脚は汚れている???。その衣服は樹木の葉と果実。その関心事は森と、そこに住むこと。????
巨蟹宮の第2デカンは火星と〔類同〕である、天蝎宮がその〔火星の〕宿だからである。恰好よい女性。その頭の上によい匂いのする火色の冠が打ちこまれている。その関心事は悲劇と富裕。その手に木の枝。この女性も喚いている。
巨蟹宮の第3デカンは木星と〔類同〕である、双魚宮がその〔木星の〕宿だからである。人間、その手に蛇を掴んでいる?。その後ろに彼の脚。美しさが彼の上に。彼のまわりは端正。その関心事は船に乗り、海で金や銀を求めること。女たちを飾る。
獅子宮の第1デカンは木星〔太陽?〕と〔類同〕、人馬宮がその〔木星の〕宿だからである。人間。その頭に白くよい匂いのする冠。盗まれたものらについて喋っている。その手に弓。その鼻は芥子のよう。獅子の背中。その身に魚の鱗に似た長衣。
(155) 獅子宮の第3デカンは火星と〔類同〕である、白羊宮がその〔火星の〕宿だからである。その形は、人間の〔形〕。これの似像が猿の〔似像〕。その上に長衣。そのぐるいにも疥癬と櫛の歯。その手に笏。
処女宮の第1デカンは<木星と〔類同〕>。乙女。その上に必要上<白い>長衣。よい匂いのする籠を身に携えている。その関心事は父親と母親と教師たちを見守ることと、装身具や衣裳や花の収集。
処女宮の第2デカンは土星と〔類同〕である、人馬宮がその〔土星の〕宿だからである。形姿の黒い人間。身体は髪のようにひどく美しい。その上に毛皮の長衣。樹木の薄くて最善の〔長衣〕をも。その手に筆箱。その関心事は投票と学問。
処女宮の第3デカンは金星と〔類同〕である、その〔金星の〕宿が金牛宮だからである。高貴で、色白の人間。その身に洗濯された長衣。その上に眠る者。その関心事は教会や神殿の建造。
天秤宮の第1デカンは金星と〔類同〕である。人間。その手に物差と天秤。仕事場や耕作地、計測や計量に〔従事〕。売却や購入の監視を行っている。
天秤宮の第2デカンは土星と〔類同〕である、宝瓶宮がその〔土星の〕宿だからである。人間。その形は、貧しく渇いた鷲の形。その欲求は緊縛と子どもらのこと。
天秤宮の第3デカンは水星と〔類同〕である、双子宮がその〔水星の〕宿だからである。人間。形は馬の頭と、その身体の残りは人間の形。その上に長衣。何かを狙っている弓と、矢を掴んでいる。その関心事は森や材木???。
天蝎宮の第1デカンは火星と〔類同〕である。女性。その形はミルテの。生まれ良きと名づけられる女。その関心事は生まれと家と財産と食料。
天蝎宮の第2デカンは木星と〔類同〕である、双魚宮がその〔木星の〕宿だからである。その脚に釣り糸を結びつけた眉目よき女。またその上に装身具なく何かをまとってもいない。海が彼女の住処で、外国を好まない。
天蝎宮の第3デカンは月と〔類同〕である、巨魁宮がその〔月の〕宿だからである。身に犬皮をまとった人間。金剛石?。頭を取り除いた獅子を持っている。大頭。他人から1つの善をなそうとしている。??
人馬宮の第1デカンは木星と〔類同〕である。その半分が馬。また (156) 頸と頭も人間の〔もの〕。弓と矢を掴んでいる。亜麻布の2枚の長衣をまとっている。<……>の場所を見張って……
人馬宮の第2デカンは火星と〔類同〕である、<天蝎宮が>その〔火星の〕宿だからである。器量の良さと不器量さとの中間の女性。ぼさぼさの髪。膝をついた女。箱を開けて、それを見つめている。
人馬宮の第3デカンは太陽と〔類同〕である、獅子宮がその〔太陽の〕宿だからである。人間の。その色は金色。快適な寝椅子の上に〔横たわっている〕。その上に長衣〔ヒマティオンをローマ人が使ったときの名称〕と樹木の薄いの。その手に笏と、〔寝椅子の?〕上に休んでいる。
磨羯宮の第1デカンは土星と〔類同〕である、磨羯宮がその土星の>宿だからである。<人間>。身体中多毛。猪の形。その歯は薊のよう。魚類の[???と]糸、言葉なき〔動物〕の???を有する。
磨羯宮の第2デカンは金星と〔類同〕である、金牛宮がその〔金星の〕宿だからである。人間。身に獅子皮の長衣。外套をまとっている。飾られた長衣を有する。
磨羯宮の第3デカンは水星と〔類同〕である、処女宮がその〔水星の〕宿だからである。眼うるわしく、見た目に恰好よく、蜂蜜色の、その行いにおいて器用な女性。その関心事は諸行事の用意と共有。
宝瓶宮の第1デカンは土星と〔類同〕である。<人間>。その形は二羽の鷲。その手に(gonavcion)と絨毯と外套。その関心事は軟膏と葡萄酒と水が与えられる諸々の行事。
宝瓶宮の第2デカンは水星と〔類同〕である。双子宮がその〔水星の〕宿だからである。長い髭。その顔の形は馬の形。その手に矢をつがえた弓。肩には、ヒュアキントス石やスマラグドス石や、自余の諸々の鉱石から〔の鉱石〕を入れた水差しを担いでいる。
宝瓶宮の第3デカンは金星と〔類同〕である、天秤宮がその〔金星の〕宿だからである。色の黒い人間、その耳に多くの髪が懸かり、軽蔑されやすく、病弱な者。その上に、葉と液汁と果実から出来た冠。彼によって製造された鉄器を持つ。また???でもある。
(157)
双魚宮の第1デカンは木星と〔類同〕である。その手に敷布??と2匹の魚。その上に亜麻布の長衣。彼の関心事は船と自分の事への転向。自分の妻の旅行。
双魚宮の第2デカンは月と〔類同〕である、巨蟹宮がその〔月の〕宿だからである。船中に女性、恰好よく、海上にあり、白く、顔かたち良く、自身の自然本性を証明し、球体を持っている〔女性〕。また両親や友たちも。彼女の関心事は乾燥へと向かうこと。
双魚宮の第3デカンは火星と〔類同〕である、天蝎宮がその〔火星の〕宿だからである。自分の脚に蛇を、裸になるまで引き延ばしている人間。長衣を着ていない。盗賊どもになる。
2019.04.29. 訳了
[デカンと三角宮]
1つの宮は30度だから、これを10度ずつ3つの部分に分けたものがデカンである。これの第1の部分はその宮の支配星〔惑星〕が支配する。第2の部分はそこから5番目の宮の支配星、第3の部分は最初のもの〔つまりアセンダントの宮〕から9番目の宮の支配星が支配する。つまり、デカンを構成するのは、それぞれの宮の三角宮である。(大橋喜之訳『ピカトリクス:中世星辰魔術集成』p.180の訳註(3)を参照せよ)
三角宮については「盗品と盗人についての諸章」を参照せよ。
ところが、太陽〔獅子宮〕と月〔巨蟹宮〕とを除いて、その他の惑星は2つの宮を支配する。その順番は、白羊宮を基点として、右図を左廻りする。
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