モニモス伝
ディオゲネース・ライエルティオス
『ギリシア哲学者列伝』
第6巻4章
オネーシクリトス伝
〔fl. 330 B.C.〕
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Vitae philosophorum, ed. H. S. Long, Diogenis Laertii vitae, vi. 4.
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オネーシクリトス。この人のことを、ある人たちはアイギナ人だと謂っているが、マグネーシア人デーメートリオスは、アステュパライアの出身だと〔謂っている〕。この人もまたディオゲネースの徒のうちの著名な一人であった。ところで、〔彼の経歴には〕クセノボーンのそれと似たものがあったように思われる。というのは、後者〔クセノボーン〕はキュロスの遠征に加わったが、前者〔オネーシクリトス〕はアレクサンドロスの遠征に参加したからである。また、前者は『キュロスの教育』なる書物を著したが、後者はアレクサンドロスはどのように教育されたかについて書いた。さらに、前者はキュロスを称える賛辞をつくったが、後者はアレクサンドロスに対する頒詞をつくった。そして文体の上でも、両者はほぼ似通っているが、ただしオネーシクリトスのものは、〔クセノボーンのものを〕真似たものであるだけに、手本にしたものと比べると劣っている。
なお、メナンドロスもまたディオゲネースの学徒であったが、この人は「ドリュモス」(「樫の木」)と綽名された人で、ホメーロスの賛美着であった。さらに、「クロイオス」(「首輪」)という綽名のシノーぺーの人ヘーゲシアスや、上述のアイギナ人ビリスコスも、ディオゲネースの学徒であった。 |