M氏:
当初、何をするか、どんなことに取り組むかも分からないとすると、どういうふうに予算を立てるのでしょうか。
室田:
予算の立て方は、プランづくりをしてそれに即したプロジェクトを様々な関係者が提案します。基本的には提案されたプロジェクト別に費用などを検討しますが、一緒に進めることによる低予算化を検討するなど統合的な観点でとりまとめ、その上で関連して使える予算を行政、民間、住民などから集めます。つまり、社会都市の予算でプロジェクトの予算を確保すると言うわけでは必ずしもありません。
住宅団地では、住宅企業が取り組んでいます。
これは日本のURのような公的な住宅会社が民営化されたものです。各都市にそういう企業があります。
そこが昔開発したたくさんの団地で賃貸住宅や分譲住宅などを持っているのですが、設備が老朽化したり、環境が悪化するなどして転居し、空室が増えています。これをどうにかしたい。しかし居住者の合意が得られないという状況があります。
では、どうするか。
合意を得て工事を進めるには、そこに住んでいる人たちの生活を一緒に考え、サポートして、たとえばその人たちが望む公園をつくるとか、教育支援をしていかないと、始まらない訳です。そうしないと空室を埋めることもできない。
というわけで、連邦政府が住宅企業に対して、社会的な支援をしつつ住宅の改善をすることの重要性、住宅の改善をするためには社会的な支援が必要であることを説得してきました。現在では、住宅企業もお金を出す価値を認め定着するようになってきたと聞きました。
ただ、そういう地区でも住宅企業にばかり頼っているわけにはいかないので、住宅企業以外からいかにお金を集めるかが、課題になっています。福祉関係や、ほかの企業からどれだけ集めるか、ということです。
予算の取り方
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