「まちづくりコーディネーター」セミナー記録
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誰が、なんのためにまちづくりをするのか

 

河原

 私はデザイナーなんで、お客様から依頼をいただいて、そのお客様の利益になることが、自分自身の価値観にもあっていれば、引き受けるという感じですが、二箇所での取り組みのなかで、誰が、どのような利益をもとめてまちづくり活動をしているのかを聞きたいと思いました。

 小野郷なら、若い人を呼び寄せようとしているのか、地域の若い人がそこに生きていけるようにしようとしているのか、といった事なのですが。

リム

 とても良い質問だと思います。付け加えると行政の都合でやったんじゃないかとも思ってしまうんですけど。

佐藤

 立誠は近年集客力のある烏丸に負けないようにというのが第一だと思います。

 住民といっても事業を持っている人ばかりなので、やはり魅力あるまちを目ざしておられます。町のメリットはそこにあります。

リム

 納得できますか?。

河原

 そうであれば、もっとストレートに戦略があって良いのではないかと思います。

 打倒烏丸とか、共存共栄だとか・・・京都市としての戦略もあって良いと思いますが。

佐藤

 私が関わったあとに、地元では木屋町再生宣言を出されていますが、そのビジョンにたどりつくまでにかなり時間がかかるのです。その時々の選択が大事だし、それに苦労した数年間だったと思います。

 目標をぶちあげても、そのまま動くんだとは私は思いません。

リム

 昔から木屋町は魅力なかったんじゃないのでしょうか? 治安も昔のほうが悪かった。

 なのに山本会長も、昔は良かったといった幻想をいただいておれれるんじゃないかと思います。朝倉さんはどうですか。

朝倉

 誰がなんのためにやるかは大事ですが、小野郷については、若い人に戻ってきてほしい、地元で生活できるようにというのが大きいと思います。目標を誰が立てるのかは難しいのですが、流れとしてはそういう感じです。

 ところで、今日お話しした内容は、全体としてまどろっこしい印象をもたれているのではないかと思います。それは、まちづくりコーディネーターは何をデザインするか、という点での認識の違いによるのではないかと思います。私は、地域にお金が入ったらそれでよいとは思っていません。餅米やプランターだけで良いとは思っていませんが、お金を入れて家を作って、というのは違うのではないかと思います。

リム

 それが甘いんですよ。そんなことを言っているうちに地域はなくなってしまうんです。

 たとえば、京都の中心から30〜40分で行ける環境の良いところがあるんだから、素晴らしい別荘地を創出し、そこに、40歳以上は資格がなくなるとか、地域に貢献してもらわないとダメとか、そういう条件を提示してみればどうでしょう。京都に関わってみたいという人が世界中にいるんじゃないかと思います。たとえばそういうことを仕掛けていかないといけないんじゃないかと。

朝倉

 そういうことを何とかしていかなければとは思いますし、その辺りは力量不足かもしれません。お金を回していく仕組みをつくっていく必要があるとは思いますが、こちらが提案してこれをやりましょう、では無理だと思うんです。あんたが儲けたいだけやろ、と思われて終わってしまう。

 そこにもっていくためのプロセスをどう組み立てるか、だと思います。

リム

 あんたが儲けたいだけやろ!と言われたら、一切儲けません、ただし最低限これだけのペイをください、成果はあなた達のものです、と反論すればよい。それでも乗ってこないんだったら、この話はなかったという、ただそれだけのことじゃないかと思います。

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