JUDI関西 「能勢街道のまちなみ・らしさを考える」 久隆浩
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2 グループ討論の結果
グループ討論の結果概要は、 次の通りである。
Aグループ
最初のグループでは、 まず、 古いたたずまいが残っている一方で、 そうした歴史的な雰囲気にそぐわない新しい建物のデザインが存在することが指摘された。現在の環境について良い点としては、 つぎのような点があげられた。
逆に、 問題点や課題としては、 つぎのような点が指摘された。
歴史的なものがそれほど残っていない。歴史街道として整備するほどのものでもないのではないか。
- 地元の人々が歴史的な雰囲気をあまり意識していないのではないか。
- 道路が曲がりくねり、 わかりにくい。
- 駐車場が家並みの連続性をとぎれさせている。
- 商店街のアーケードが原田神社の鳥居や緑を見えなくしている。
こうした指摘を受けて、 今後の整備方向として、 ヒューマンスケールを大切にし、 できることからコツコツとやっていく姿勢が大事なこと、 また、 建物のデザインコンセプトを揃えて建て替えをすすめていく必要があることなどが提案された。
Bグループ
このグループでは、 現在の環境の良い点としてはつぎのような点があげられた。
- 自動車交通も少なく、 歩いて楽しい。
- 道路の緩やかなカーブや起伏が景観に変化を与えている。
- 道路がほどよい狭さである。
- 畳屋、 建材屋、 鍛冶屋など職人が多い。
- 下町の人情が感じられる。
- 江戸時代以前だけでなく、 大正・昭和初期のモダンな建物など時代の積み重ねがある。
- 地蔵や祠などが雰囲気を出している。
- 生け垣の雰囲気がいい。
- 空き地が空間のゆとりを感じさせる。
逆に、 問題点や課題としては、 以下のような点が指摘された。
- 歴史街道というが大したことはない。
- 道路の路面が雰囲気を壊している。
- 古いたたずまいに合わない建物や店舗のデザインがある。
- 現代の素材や工法で建物を建てると強くなりすぎる。
- 自動販売機が景観を阻害している。
- 生け垣は道を寂しくさせる。
また、 今後の整備についてはつぎのような提案が出された。
- 建物を建て替えるときには「作法」が必要である。
- 新しいライフスタイルに対応できる店も必要である。
- 蔵をギャラリーなど新しい用途に利用すればどうか。
全体を通しては、 単に歴史的なものを大切にするだけでなく、 現代にうまく溶け込ませる工夫が必要である、 そしてそのことによって時代を積み重ねていくことが強調されていたように思う。
Cグループ
現在の環境の良い点としては、 次のような点が指摘された。
土壁や壁格子、 うだつ、 蔵などが雰囲気を出している。
道路が曲がっており、 景観に変化を与えている。
ぶらり歩きにほどよい道幅である。
職人のまちが昔をしのばせる。
原田神社が歴史の核になっている。
鉢植えやプランターがならぶ。
横丁の雰囲気がいい。
また、 課題や問題点としては次のような点があげられた。
- アーケードが神社の緑を遮っている。
- 道幅の割には自動車交通が多い。
- 街道の途中を横断している幹線道路が街道全体のつながりを分断している。
- 建物の高さに統一感がなく、 高層の建物が圧迫感を出している。
- ブロック塀や看板、 マンションなど、 古いたたずまいにあっていないものがある。
- 新しい建物の外壁は白っぽく、 昔の建物に調和していない。
さらに、 今後の整備については次のような内容が指摘された。
- 建物の高さや板塀、 緑、 色彩など建物まわりのデザインを整える。
- 看板でかくされた軒先を見えるようにする。
- 自動車の通行規制をおこなう。
- 道路のアスファルト舗装を変える。
- 電柱を減らす。
- アーケードを取り払う。
- 公園や広場の整備が必要である。
- 住民が街道沿いであることを自覚し、 みずからがまちづくりにとりくむ。
Dグループ
現在の環境の良い点としては、 つぎのような点があげられた。
また、 今後の整備については、 つぎのような指摘があった。
誰のため、 何のための整備かを明確にする必要がある。
愛着を感じさせるものとして残す必要がある。
市民病院跡地など公共施設がデザインの模範となるべき。
ポケットパークなどまちの核となる部分が必要である。
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