JUDI関西 「ランドスケープにおけるらしさ」 by 上野泰
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4 共有できるテキストとしての
ランドスケープ

 そういった「らしさ」を私たちに感じさせてくれるエレメントは「町」や「場」のスケールによって変わってくるのではないかと思われます。

   

 例えば非常に狭い範囲ですと、 ディティールであるとか、 あるいは素材であるとかといったものによってもある「らしさ」は醸成されてきます。

しかし大きな空間範囲になってくると、 一つの建物とかではなく、 例えば町並であるとか、 あるいは建物群であるとか、 というようなある程度の空間的な大きさを持ったものになってくるし、 さらに大きくなってくると、 例えば通りであるとか公園であるとか、 オープンスペースであるとかといった都市の基盤構造がその町の「らしさ」に関わってくる、 その町の「らしさ」を喚起するエレメントになってくるように思われます。

さらに大きなスケールになると、 地形、 例えば山があるとか川があるとか海があるとか、 あるいはその地域の気象条件であるとか植生であるとかというふうな、 自然の基盤条件というものがその場所の「らしさ」を生み出す要因になってくるのではないかと思われます。

   

 そういうことを考えていきますと、 先程テーマパーク的な町づくりというお話がありましたが、 上もののような持ち運びできるエレメントというものは、 かなり私性へとシフトしていくのではないかと思われます。

そのようなものは、 私性を投影しやすいし、 それぞれの主体が、 それぞれの好みや、 「何々風」のものをやりたいと言うようなことで、 拡散していくだろうと思われます。

そうゆうことを町レベルで全体としてコントロールしていくということは多分現実的には非常に難しいのではないか、 要するにそのようなものは「共有できるテキスト」になりにくいのではないかというのが、 私の問題提起です。

   

 そう考えますと、 やはりもう少しスケールの大きなもの、 特に人為に関わってこないようなもの、 つまり自然的基盤といったものを「共有できるテキスト」として今考えなければならないのではないかと言うのが、 私の話の骨子となるかと思います。

そういった自然的基盤条件と人為の関係の場としてのランドスケープという問題を考え直してみる必要があるのではないかということです。

   

 そのような自然の空間秩序というふうにここではいっておりますが、 都市基盤に関わる自然的空間の秩序というものがどうゆうふうに今現れているか、 あるいは捉えられるかということをスライドを使いながらお話しようと思います。

   

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