参加型デザインの実践
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土地をめぐる価値観の壁

後藤:

改行マーク最後のスライドで見ていただいたように、 細い道の拡幅や自転車置き場のようにみんなで議論するときは賛成なのに、 いざ実行しようとすると当該者から「反対」の声が出てくるのが現実です。 ゴミ処理場を作る話と一緒です。 その辺のお悩みについてはどうでしょうか。

西崎:

改行マーク南北道路についてですが、 もう両側に家がびっしり建っています。 それを広げようとすれば、 再開発事業しかないのです。 つまり、 家を中高層化することでスペースを作って道にすることです。 しかし、 土地を神戸市が買い上げて事業を進めるようなことはしてくれません。 必ずゲタを地元に預けるようにしてくるのです。

改行マークそこに問題があるわけです。 この地域は昔、 本山村役場があった頃から住んでいる人たちがいるところで、 その人達に「土地は個人資産ではなくて社会資産として考えて欲しい。 個人の資産は土地じゃなくて床面積で持って欲しい」と言っているのですが、 それを理解してもらえない。 自分の土地は絶対に手放そうとしない。 それじゃあ、 駄目ですよね。 ここに南北道路が通せない理由のひとつがあります。

改行マークもうひとつ考えられるのは、 あの地域が旧岡本と旧田辺の接点になっていることです。 この二つは昔から仲が悪かった。 旧田辺地区は岡本の発展を指をくわえて見ているという状況が続いていて、 いわばジェラシーみたいなものがあったと思うのです。 だから、 岡本側から声をかけた南北道路は「なんでそんなものが必要なんだ」という姿勢で、 いくら説いても納得してもらえません。 旧田辺地区のお寺も道が細すぎて霊柩車が入らないのですが、 道を広げる数坪の土地さえ駄目だと言っている状況です。

改行マークこういう住民の考え方が一番大きな問題です。 都市化が進んだ場合、 土地の利用について住民の考え方を変えていかねばならないのですが、 そこから説いていくのは気が遠くなるような話です。

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