それから、 この住民のまちづくり提案と併行し、 行政主体の基本計画会議の中で我々コンサルタントと、 それぞれのブロックごとの設計者で、 環境デザイン基準をつくり、 それにもとづく施行者案を作っていたんですね。 それと住民が作ったまちづくり提案と、 ちょっと違うところがあるんです。 それについて、 倉橋さんなり私なりが思っていることについて、 ちょっと触れたいとおもいます。もう一つのまちづくり提案
図18 基本計画会議における検討案 |
それともう一つ、 公園の周りには、 権利者の店舗には公園の周りにふさわしい店はほとんどなかったので、 わりとおしゃれな店舗を誘致して入れたいと思っていました。 ところが街区6については地元の権利者の商業以外はいれないということになって、 結局街区6の公園側は商業なしでいくということになったんです。 この街区の人が、 自分たちがこの街区に戻ってもう一回住むんだからと南面を非常に重視したのとできるだけ住宅専用街区にしたいとの主張で、 我々の意図は実現できませんでした。 このことについては所長さんはどのように思っているんですか。
倉橋:
我々は住棟配置と言っておりましたが、 それ以前に公園と道路の形が決まったという背景があります。 その決まり方は、 おおむね1haの公園をとろうということでした。 あとは建物の計画で微調整しようという感じです。 1haということには、 地元もおおむね了解していただけたということで、 我々は精神的には非常に楽になったという段階でした。
次に建物の話になりました。 そこではできるだけ地元の人の意向も聞き入れていこうということです。 まず、 住棟配置の話で、 説明会、 役員会を開いたり、 全体集会を開きましたが、 女性陣から南向きの住宅をつくれ、 という大合唱ということになってしまいました。 ならば極力そういう形にしていこうじゃないかと、 我々再開発事務所のほうにはあまり抵抗感はありませんでした。
ただ一つ、 残念だったと思うのは、 有光さんも触れました公園沿いにおしゃれなお店をはりつけて、 楽しい雰囲気を作っていくことができなくなったとことです。 それから住棟配置についても、 東西軸の住棟ですから、 あまりおもしろくないデザインになりつつあったのですが、 その辺は設計事務所、 コンサルタントの方のチームワークで、 ある程度分節化したり、 工夫をしていただき、 今はけっこういい形になっているんではないかと思っています。
有光:
4つの設計事務所でやっているわけですが、 その4者が一つのまとまった地区の設計をするということで、 みんなで環境デザインのワーキンググループ会議をやっています。 現在も続けているんですが、 みんなの合意の上で環境デザイン基準を作って、 その上でみんなが設計していくというやり方をとっています。
これ自身は幕張で試みられたことと似ていますが、 幕張のように更地のところに建物を作るんじゃなくて、 たくさんの権利者がいる中でのまちづくりです。 公園を囲みたいということはあったけれども、 囲み型が一部破れていることがかえって自然なまちづくりに近いかっこうで、 まあ風通しもよくなっていいんじゃないかと思っています。