倉橋:
有光:
都市計画決定の変更までの時間について
住民参加で公共施行の再開発をやっていくとき、 六甲道南の場合は、 都市計画決定を変更するまでに最初の都市計画決定からいうと約2年、 まちづくり協議会ができてからは1年半ほどかかっています。 この時間は、 むしろ早かったのか、 住民の意見をまとめるためにずいぶん時間を使いすぎたと思われているのか、 その辺はいかがですか。
コンサルタントの方も、 我々行政も、 それから地元の方も、 よくこれだけ熱心に会議を開いたと思います。 会議を開くということは、 その前に打ち合わせをし、 資料を作って、 それから事前に会長さん、 副会長さんとお話をして、 ということです。 特に4つの協議会がありますから、 それぞれ曜日が決まってまして、 しかも晩です。 それぞれの協議会が2週間に一回は最低やっていこうということで、 ずっとやってきました。 それでも一所懸命やって2年かかった。 役員もがんばっていただいた。
役員になられた方は、 建物が残っていて地区内におられる方が大半だったんですが、 遠く避難されている方、 あるいは応急仮設に入って一刻も早く戻りたいという方、 そういった方々の思いが役員さんにも伝わってきて、 一所懸命になっていただいたということだと思います。
通常の再開発ですと、 地元に入りだしてから計画決定まで5年ぐらいはかかります。 それから事業計画決定まで1年。 権利変換で1年。 それから工事で3年で、 全部で10年はかかるという話です。 今すでに14棟のうち7棟が着工しておりまして、 そのうち1棟は完成しております。 しかも残りの7棟のうち2棟は今年度内には着工できるだろうということで、 残り5棟は、 12年、 13年度にかけて着工できるという段取りになっております。
震災復興の都市計画を決めたとき、 区画整理は5年、 再開発は10年ということだったんですが、 なんとか10年たてば建物は全部完成するのではないかということです。 ですから地元の協力を得て、 早く進んでいると見るべきではないでしょうか。 それと、 この2年間地元と、 言葉は悪いですが喧嘩というか議論をし尽くしたということが、 かえって今の段階では円滑に事業を進められている原因になっているのではないかと思います。
住民が被災してちりぢりばらばらになっている中で全体集会を開いて、 委任状をとって、 アンケートないしは投票によって住民の意志決定をしていく、 いわゆる直接民主主義の方式でこの事業は進められました。 こういうやり方ですから、 中にはいろんな住民がいて、 意識的に意志決定を遅らそうとしたり、 意思決定と交換に別の条件を施行者から勝ち取ろうという人もいるし、 議事運営のプロみたいなのもでてきました。 そんなことでやっぱり何回か流会しているんです。 コンサルタントとしては、 直接民主主義は時間がかかるなあと思いました。 今倉橋さんがお話しされたとおり、 まちづくり提案が終って都市計画変更ができてからは事業計画決定、 管理処分計画決定は順調にいっていると思います。 結果的には最初の2年間という時間は生きていると思います。
しかし妨害をする人が住民の中にもいるということを知りましたし、 今後もこういう人に対してはなんとかしたいと思うんですが、 かといってこういう人の言論の自由を封じることはできませんので、 非常に難しいところがありました。
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