六甲道の住民は、 景観とか環境デザインに関してどんな認識や意識を持っていたのか、 倉橋さんはどういうふうに思っておられますか。
倉橋:
先ほど話題に出ました建物の向きまで決まりましたら、 次の段階で住民が何に興味を持ったかというと、 いわゆる権利変換といいますか、 従前資産評価と、 建物の評価です。 そちらの方に興味が移ってしまって、 実際は住棟配置が決まってから具体的な設計ということになるんですが、 その空間計画に関してはあの時にはまだ興味を示さなかったということです。 ただ公園に関しては、 一度みんなで議論しようということで、 ワークショップを開いたことはあります。
有光:
南面重視の住宅がほしいということから、 超高層でも板状住宅になりそうになるんですね。 板状の超高層住宅については地震の直後ですから、 構造上ロの字型よりも板状の方が不安定だという話で納得されました。
そのときに近隣に対する影響、 要するに北側の日照とか、 あるいは六甲山を見えるようにしようとか、 景観に関する説明をしたんですが、 六甲道南地区から六甲山への眺望が大事だという認識を持った人は少なかったようです。 日陰で周りの人に迷惑をかけるのは良くないとは思っておられたようなので、 都市環境デザインに対しての重要性の認識は低いとは思いません。 でもそれほど高いということもないと思いました。
自分たちの床の値段が決まってから連合協議会レベルで公園検討委員会とか、 管理運営検討委員会とか、 ネーミング検討委員会とかができました。 公園検討委員会ではワークショップも開かれました。 そのうち建物の外壁の色について、 住民の中から希望というか、 あんな建物はいやですよ、 という声が出てきたんです。 そこで我々環境デザインのワーキンググループ会議でも、 建物の外壁の色をどう統一感を出していくかということを議論した結果JUDIのメンバーで東京でカラーコーディネーターをされている吉田慎悟さんに参加してもらうことにしました。 今、 建物の外壁の色は大体決まりかかっています。 それを住民にも説明しています。
会場から:
そのように、 住民の方から景観に関して出てくる意見もあるんですが、 その他に女性の集いというものが生まれたと聞いています。 女性のみなさんの意見が環境デザインにどう影響があったか、 倉橋さんにお聞きしたいのですが。
倉橋:
役員会の構成は、 女性も数名おられたのですが大半が男性です。 女性の集いがどういうところから出てきたかといいますと、 住棟配置が決まって床の値段が決まって、 そろそろ自分はどこの住宅に入るんだろうかという段階の時に、 間取りの話から女性の意見を聞こう、 というところからでてきました。
これは役員でもなんでもなくて、 女性の方で要望したい、 意見を言いたいという人は誰でも集まって下さいという会で、 各協議会単位でできたものです。 したがって中身については、 間取りをどうしようかという話とか、 住宅の内装の仕上げの仕方、 それから設備関係をどこまで入れるかという話が中心になっていました。 女性の方はそういったところに興味がありますから、 新聞に入っているマンションのチラシだとか、 あちこちのモデルルームに集団で見に行って、 それぞれの一番いいとこどりをして要求書をまとめるということになりました。
最終的には「そこまで言ってもなかなかできへんで」ということで収まるところに収まりました。 住宅の間取りについては、 かなりフリープランに近いような住宅棟も出てきました。 我々としても、 余った住宅は一般分譲しなければならないということですから、 女性の方々の新しい感覚のご意見が入ったことで、 かなり売りやすくなったんではないかと思っています。 そういう意味では感謝していますし、 男も女もまちづくりの一端に参画できたんだ、 自分の考え方が取り入れられたんだということで、 まちに愛着をもっていただければ良いと思っています。
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