用意しました小冊子には“ハンナ・アレントにおけるデザインと政治”という小論を載せております。 と言いますのも、 私は彼女の論文を目からウロコが落ちるような思いで読んだからです。 まず一つは、 “デザイン、 物を作るというのは非常に孤独な作業だ。 共同作業ほどこれになじまないものはない”ということをはっきりと言いきっている点です。 もう一つはその反面、 “いったん出来上がってしまったもの、 できているまちや街並みなどを扱うのに、 ものを作るデザイナーに任せることほど危ないことはないんだ”ということも明快に言いきっている点です。
ものを作る段階では専門家に任せるべきだけれども、 それを保存する、 維持するということに関しては専門家に任せてはいけない。 アレントは洗練された常識人という言い方をしていますが、 それは質のいい市民が扱うべきであって、 ものを作ることに真面目であればあるほど、 ものを壊すということでもあり、 危ないんだと言っているところに、 目からうろこが落ちたような気がしたのです。
そういう視点も中に織り交ぜながら、 これから時間の許す範囲で、 セッションIIIの議論で展開されるであろう様々な議論のきっかけになる話題を提供させていただきたいと思います。
ハンナ・アレントにおけるデザインと政治
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