参加型都市環境デザインをさぐる
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都市基盤整備公団 千葉桂司

参加企業によるプロムナードづくり

公開空地の連鎖がつくりだす歩行者空間
大阪市

 

改行マーク大阪市都心部にあっては、 格子状の街路パターンができ上がっている。 しかし快適な歩道付きの街路は極めて少ない。 一部には戦前から船場建築後退線が定められ( 現在は、 再開発地区計画)、 建替えに合わせてバックし歩道をとる方法が法的に担保されている。

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平面プラン
画像37b
連続して繋がれた公開空地
改行マークしかし、 ここで取り上げる事例は、 建物の建替えに合わせて容積アップと引き換えに設ける「公開空地」を、 隣地や向かいに呼びかけ、 連続して繋いでゆくことで、 快適な緑のプロムナードを作り出す、 全く任意の、 いわば企業参加による都市デザインである。

改行マーク公開空地は、 えてして敷地の廻りに空地を単に採っただけで、 街並みとか景観に寄与してないシロモノが多い中で、 例え任意であっても街路側に連続して繋いでいく手法は大いに評価されるべきであろう。

改行マークこの手法上の欠点は、 任意の参加によるため敷地所有者の理解がなければ連続的に作り出せないこと、 そして街路沿いの建物が更新される時間がそろわないこと、 従って時間がかかるし、 きれいに繋がるかどうかの保証がないことである。 加えて、 歴史的な価値ある風景を作り出している建物が引っかかる時、 それを移築等できるスベがないといったこともある。 しかし、 一部のストリートでは写真や図に見るように豊かな緑と幅広の歩行者空間が生み出され、 質の高いデザインのしつらえが施されたプロムナードが出来上がっており、 若いOL達の明るく賑やかな声が街に響いている。

改行マークこれまで「計画」とは、 将来的な予定調和の目標を想定した上で、 それを実現化するプロセスを担保しようとしたものであるが、 この事例にみられるように参加による仕組みとデザインが一定のベクトルを持てば、 それは計画に勝る空間を生み出せる事を証明している。 「計画」が必ずしも時代にあった好ましい街を作り出すとはいえない今日、 時間がかかるにしろ、 全体が計画どおりにいかないにしろ、 まちづくりの中で市民や企業あるいはNPO等による参加型のデザイン手法は、 その地域に住み働く人たちに街への目を開かせ、 地域への愛着と理解を育むことに繋がるだろう。

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