1998年4月、 神戸市の東部海岸に震災復興のシンボルプロジェクト「HAT神戸・灘の浜」の第1次入居が始まった。 ここは、 工場跡地に住宅・都市整備公団が中心に神戸市・兵庫県が一体となって取り組んだ、 1,886戸の賃貸復興住宅である。
震災後3年間、 仮設住宅に住んでいた被災者をはじめ、 高齢者など当復興住宅に入居される方々の特性を考慮し、 「オープンスペースから新しいコミュニケーションが生まれる街」をテーマに設定し、 植物を育てながら新しい交流が生まれるよう、 住民自身で手入れできる「路地花壇」や高齢者や身障者にも利用可能なプランターを設置した。
その後、 入居がはじまった街では「人と人のかかわりの大切さ」を生かせるコミュニティの形成、 つまり住み手主体のソフトからの街の仕組み作りが重要な課題となった。
そしてそんな取り組みを支援する「灘の浜ガーデンクラブ・支援の会」を、 住宅・都市整備公団や県・市の協力の下、 計画・設計に関わったコンサルタントの自主組織として発足させた。
「灘の浜ガーデンクラブ」は、 数多くの花壇やプランターを利用し、 草花の植え付けのワークショップや日頃の管理育成などを通じて、 自分たちのコミュニティや環境づくりを進めている。 現在、 会員は約30名。 居住者なら誰でも参加でき、 その輪はひろがりつつある。
誰よりも率先して土いじりをする人、 興味津々に話しかけてくる通りがかりの人、 普段口数の少ないお年寄りも、 こと花の手入れのことや野菜づくりのこととなると熱心に話し出す。 緑と共生する住民参加のコミュニティづくりの可能性が見いだせる。
発足後約1年を経過し、 ガーデンクラブは支援の会の手を離れ、 住民自らの組織として活動により、 街のオープンスペースを四季折々の花と緑で彩る環境を創出し続けている。
鳳コンサルタント(株) 堤 肇
住民が育てる緑の住環境
HAT神戸・灘の浜ガーデンクラブ
神戸市灘区
手入れしやすいスケールの「路地花壇」
水やりは雨水貯槽の手回しポンプで
茶話会風景
■住民参加のキーポイント
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