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環境基本計画の策定を通して

神戸エコポリス計画及び八日市市環境基本計画から

都市緑地研究所

横山宜致

総合的な環境づくりへの取り組み

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「緑生きものネットワーク」図
 環境庁が、 総合的な環境対策に具体に踏み出したのは、 '80年の「快適環境計画」からである。 総合的な観点で日本の環境を見直し、 自然公園等の貴重な自然の保護・保全に加え、 身近な自然の保全活用を進め、 生きものの里や環境教育の場づくりも施策に組入れ、 人間だけでなく全ての生き物の生息環境を整えることが重視された。 近年では、 地球環境問題に対応して将来の生存を危うくする資源消費型社会から持続可能な低環境負荷の循環型社会を目指すようになっている。

環境基本計画の特徴

 80年代の快適環境整備計画では、 従来の公害対策と自然保護行政から、 緑や潤いを高め豊かな生活環境を築くことに重点がおかれた。 提示された施策は、 自然保護や公害対策を含めた地域環境の保全整備計画を主体としたものであったが、 具体の事業を持たぬ環境サイドでは実現困難な場合が多く、 大半は事業課である土木や都市計画部局に委ねる結果となった。 このため新しい環境基本計画では、 環境整備内容よりもむしろ市民や事業者の実践が重要視され、 ライフスタイルの見直しや日常的な事業活動における具体の「環境行動指針」に重点が置かれている。 土木等の事業部局の取り組みに対しては、 「環境指標」によって環境に配慮した事業の進捗をチェックする形となっている。

都市環境デザインとしての環境基本計画

 都市デザインとして捉えたとき環境基本計画や建設省のエコシティは、 環境負荷の低い循環・共生型の都市形成に向けて都市全体のシステム改変に重点が置かれている。 つまり環境技術として都市を持続可能な循環・共生型の構造システムに改善することであり、 具体の施設デザインまでは言及したものとなっていない。 このため都市のエネルギー循環や自然環境の再編を含めた環境管理システムを計画主眼とする環境基本計画では、 都市構造や土地利用の改変等が主体で狭義の意味での都市環境デザインは、 これまで通り設計者に委ねられる形となる。 従って環境共生の都市デザインは、 環境負荷の少ないしくみを踏まえつつ設計者が如何に地域特性にあったデザインを行うかにかかっている。 すなわち都市環境の共生デザインも、 環境への配慮技術と同時に地域を捉える目が大切であり、 生態系等も踏まえて地域の環境特性を把握し活かす技術が今後益々重要となる。
 豊中市のようにアジェンダ21を策定した自治体では、 市民や事業者協働による「参加型デザイン」の実践が始まっている。 21世紀は、 ユニバーサルデザインや環境共生技術は当然として、 市民が主体の参加型デザインを積み重ねることによって都市の環境共生を促すこととなろう。 その一翼を担っていきたい。

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