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21世紀、 自然と人のあり方の思想は共生からどう発展するのか、 その思想を表現する都市像はどのようなもので、 どのような計画論・デザイン論で実現するのか。 それぞれの関係をふまえつつ、 模索してみた。
21世紀の新都市像―山水都市・景観占地主義・ポスト共生の模索
首都機能移転に係る景観検討調査より
アジア航測
野村恭子、 馬木知子
「天人合一」の思想
20世紀、 工業化による自然と人間との対峙の深刻化は、 開発と保護という二分法に根ざす論争を経て、 共生の思想にたどりついた。 来る21世紀には、 共生を超え、 両者が和解し相交わりつつ地球文明を織りなしてゆく現代思想としての「天人合一」を探求したい。
「占地」の発想への展開(図1)
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| 図1 山水都市」のための景観占地 |
今、 自然と人間の対峙、 共生という枠組みを超えた、 「地球」という思想を都市像に翻案するとき、 大地の象徴としての山と、 生命の象徴としての水、 つまり山と水の奏でる山水の美しい景観がみえてくる。 山水は汎地球的な普遍性を志向しつつ、 一方で、 その場所限りの特殊な文化的場所性を示すという両義的な性格を持つ。 東アジアの都市文明において、 地相として尊ばれてきた空間文化の古典でもある。 これを再解釈し、 新たな都市にふさわしい山水の地の占地を試みたい。
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| 図2 山水都市の大局的構造 |
※これら一連の検討は平成11年度、 首都機能移転に係る「景観の魅力」検討会(座長中村良夫教授のもとに篠原修教授、 油井正昭教授、 堀繁教授)において候補地選定を目的に実施され、 著者らがまとめたものである。
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