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エコビレッジ整備構想

環境デザインの視点から発想する農村整備のスタディ

大成建設環境デザインGr

蕪木伸一

 我々環境デザインを専門とするメンバーが、 敢えて農村の問題に取り組み、 それを都市の視点から発想することで従来の農村整備とは異なるありかたの議論を展開した。 農業・農村整備は、 当面の農業対策とともに、 長期的な農村の存立を保証する社会基盤の整備に向けることが重要と考える。 それには、 一度農村を都市との関係で見直し、 機能的役割分担や都市機能の共有を確認し、 さらに、 農村部が都市部のそれよ豊かで快適な生活環境の基盤を持ちうる可能性を検証する必要があろう。 本来的に農村は、 環境に調和したコンパトな技術を受け入れる土壌があり、 都市交流、 自然保全、 生活インフラの多面的価値を統化した空間インフラの整備が実現可能であると考える。


農村の類型化

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農村の類型化:中核都市(10万人以上)からの時間距離1時間を隠された境界として大きく3つに分類する。
 農村をその存立をサポートしうる地方中核都市との関係性において捉え、 国土の多極多圏域の地域構造の確立を目指しながら、 地方中核都市を核とした広域生活圏を構想する中核都市の条件を人口10万人以上の都市と設定し、 そこからの時間距離を地理情報システを利用して求めると、 中核都市から一時間圏内の農業従業者は全体の75%にのぼり、 多数の農村は、 中核都市との関係付けが有効であることが判明した。


空間システムとしての統合化

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整備事業の系統化:生活インフラと自然環境保全と都市農村交流の実現という3軸の統合を図り機能連関を求める。
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ケーススタディ:中山間型と都市郊外型の2つの農村を対象にケーススタディを行い、 理論的展開を試みている。
 生活インフラシステム、 自然環境整備、 都市農村交流各々のありかたが、 相互関係によるトータルな社会基盤として空間化され、 環境の質の向上が図られなければならない。 農村と都市を一体的に捉えながら、 循環型地域整備を構想し、 生態系や農村地域の伝統的な物質循環システムやエネルギー循環システムを再評価するととものに農村の国土保全機能に注目した生態系保全や生活利便性や快適性の確保と矛盾なく進めうる新しい整備システムの構築を目指した。

 本研究は、 東京大学武内和彦教授を代表とし主要メンバーが大成建設の設計部である農村生態系計画研究会の成果であり、 詳しくは「環境時代の農村整備―エコビレッジの提案」(ぎょうせい、 1996)を参照されたい。

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